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このブログのメインコンテンツ(?)たるアサシンクリード新作の記事です。
アサシンクリードの最高傑作とはなにか?
しょっちゅうこのことを考えます。そしてたいてい一作には絞りきれず終わります。
現代編に喰らったブラザーフッド、とにかく衝撃的大傑作の4、今なお唯一無二のプレイ感があるユニティの三作のうちどれかひとつ選出するとするなら……というところで思考が止まるのが恒例です(もちろんどのシリーズも楽しめました。アプリのリベリオンすら)。
ですが、ようやく回答が出ました。
アサシンクリードシャドウズ、シリーズ最高傑作です。
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日本昔ばなしPlayStation 5 Edition |
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この風景に見慣れたアサシン衣装があるだけで一種の感動がある。とうとうここまで…… |
【主なプレイ環境】
ハード PlayStation 5
バージョン ver.1.0.3
難易度 戦闘・隠密ともにノーマル。一撃暗殺はオフ
クリア時間 約 137時間(かなり寄り道してからのクリア)トロフィー取得率 97 %
【良かった点】
◎探索・報酬の改善
一番最初に扱う項目にしては地味では? という感じですが、個人的にこの改善が一番大きいです。このシリーズでなかなか改善されない不満点として、探索やクエストの報酬がパッとせずやりがいに欠けるというのがあったので、ようやくという感じです。
まず拾得アイテムがかなり取捨選択されています。大別すると、むき出しの素材・素材や金などが複数入っている通常の宝箱・レジェンダリー装備が入っている至高の宝箱・同じくレジェンダリー入の城攻略報酬の大きな宝箱に分けられ、配置数が減った分中身が充実しています。何を入手しても最低限の満足感はあるので徒労感は希薄です。金はそこそこ、小物は2つ3つまとめて入手できるし、配置場所も特定の場所に集中しがちなので「しょぼい報酬目当てに開けて回るのが面倒」という感情がほとんど起きなかったです。もちろん無視してもOK。どちらにせよ、季節が変われば低グレードの宝箱は更新されます。
また、いわゆるボス敵や小ボス(侍大将や浪人)撃破時もそれなりの装備や金を落とすので、戦闘の報酬も満足感があります。小ボスが落とすまとまった金は終盤まで重要な資金源となりました。もうずっとこのくらいのバランスを保ってほしい。
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暗殺ターゲットとの死闘(奈緒江だと被ダメが大きく歯ごたえある戦闘に) |
ちなみに探索ついでに言うと、地図もかなり便利になっています。凡例から各目的別に場所を順繰りに示してくれるので、馬のオートランで道中のポイントを見逃した! という際も目を皿のようにして地図を睨む必要はなく、凡例から飛べます。オープンワールドゲーム、意外と地図とその凡例が不便なことが多いので、地味ながら美点だと思います。
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告白すると滋賀県に行ったことがないので、数年以内に行こうかと思っています |
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安土城(だったはず)でシンクロ完了 |
◎移動速度・パルクールの向上
まず目を見張ったのは主人公の奈緒江の足が速さ。馬を呼ぶ必要がないくらい快適で、冬の降雪でスピードが落ちてやっと旧作と同じくらいの速さというレベル。対して弥助は従来通りの速さですが、馬を呼べるし、主人公は切り替えられるのであまり気になりませんでした。
そしてパルクールもかなりストレスフリーになりました。大体意図した操作が反映されるし、旧作で多発した地形への小さい突っかかりやまごつき、ジャンプ暴発がかなり減っています。せいぜい山の斜面で地形ハマりが発生するくらい。旧作でいうとユニティの特徴的なパルクールと古代三部作の自由度が合体して、格好良さと操作感の両立に成功した印象です。
ついでに鉤縄や匍匐など、これまで同ジャンル作品にあってシリーズになかった要素がほぼ揃い、移動に関してはシリーズ随一です。ここまでストレスフリーに進化するのは予想外だったので、これに関しては本当によくやってくれたと絶賛したいです。
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パルクールの暴発がかなり減ってアプローチがスムーズに |
◎美麗なグラフィック
景色があまりに綺麗すぎて隙あらばフォトモードを起動してしまいます。
インゲームの映像が十分すぎるくらい綺麗なので、シネマティックトレーラーが見劣りするくらい。何気ない山道や小川、遠くに望む山麓に「日本」を感じる説得力があるといいますか。体感としては1、2世代くらい前のムービーの中を自由に操作できる感じです。
加えて雰囲気作りが巧いです。豪雨の豪雨感をここまで再現できたゲームを他に知りません。そして雨上がりにもちゃんと空が晴れたまま水たまりや路面の濡れが残るのも細かい。
地味に環境ストーリーテリングもちょこちょこあって、何気ない場所にも物語性を感じたりします。とにかく移動しているだけで毎秒雰囲気が心地よい。
自分の腕ではいいショットがなかなか撮れないので、これを機にカメラを勉強しようかと思うくらいです(記事内に掲載してあるスクリーンショットももっと良く撮れたはず)。
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いい雰囲気 |
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これ自分にしてはよく撮れた気がする |
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静止画だと伝わりにくいが白く煙る冬の空気の再現がすごい |
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磨崖仏と落石と至高の宝箱。何かがあったらしい |
◎王道ストーリーとそれを盛り上げるローカライズ
ストーリーが歴代でもかなり丁寧です。過去作も良いシーンは沢山あるけどやや説明不足や物足りなさもあったので(前作のミラージュが顕著ですね)、主人公ふたりについてじっくり描いているのが新鮮です。別媒体での展開に頼らず、ふたりの前日譚をゲーム内でしっかり描写しているので旧作シリーズに感じた唐突さもないです。敵幹部勢揃いや修行パートなど(これらは過去作にもある描写だけど)少年漫画っぽさもあります。ロゴが出るシーンはちょっと泣きました。
またストーリーの本筋も最高。当初の敵である「百鬼衆」からシリーズお馴染みのあの集団に迫ってゆく二段構えが個人的に盛り上がりました。そして、いざストーリーを体験すると今作で弥助が抜擢された理由も頷けました。確かにこれは抜擢したくなる。そしてエンディングもシンジケート並みに比較的明るい終わり方で、読後感も良いです。
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奈緒江、歴代でもかなり好きな主人公 |
あとローカライズも全盛期ばりに大規模で凝っています。正直なところ、このシリーズの日本語ローカライズはいつなくなってもおかしくないと思っていましたが、満を持しての日本舞台で本領発揮されたと思います。声優陣も豪華かつ実力者ぞろいだし、過去作主人公の声優がほとんど集結しているのも嬉しいポイント(何か別展開を期待してしまう)。
そして、多くのプレイヤーが同じ意見に達すると勝手に想像しているのですが、主人公ふたりの声優がほかに考えられないほどぴったりで没入感が高まりました。演技が大変素晴らしい。失礼なところ事前情報からは予測できなかったです(特に弥助役の方は
FE風花雪月だとやや浮いていらしたので)。もっと言うと裏刀衆(本作の味方陣営)はみんなハマり役です。
現代編がアニムスに統一されてしまったのは寂しさもあるけど、興味ないならオープニング以外深追いせずともよくなった(恐らく)し、変にストーリーを付けて整合性や外部展開の是非で揉めるよりかはゲーム内で完結するぶん良い落とし所かなと思います。こちらに関してはシリーズの共通フォーマットとして展開することを期待しています。賛否両論の現代編に関してもやっと落とし所が見つかりましたね……個人的には現代編が大好きなので新展開や伏線回収が楽しみです。
◎ゲーム再開・主人公交代のシームレスさ
まずオートセーブがかなり細かく、負けたのにかなり前まで戻された! というのがほとんど発生しなかったです。ほぼ直近で再開されます。
というか、ゲーム再開に関しての全般がスムーズです。起動時のアニムスからシームレスにゲームに入るのもそうだし、主人公交代も大抵は同位置から再開されるので「待ち」「巻き戻り」がほとんど発生せず快適です。
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例えばここで主人公交代するとまったく同じ座標で弥助に交代する |
◎長く楽しめる育成
レベル制の旧作では割とすぐ頭打ちになった印象ですが、今作はレベルキャップがはじめからかなり高めで、全地域をざっと回ってようやく頭打ちという感じでした。そしてレベルMAXに達したら次は上位の「達人レベル」が解禁されて経験値が腐ることはありません。そして経験値を溜めて入手した育成ポイントはスキルツリーに相当する「熟練」だけでなく「知識の道」というエンドコンテンツにも使用できるようになり、ずっと育成を続けられます(これ自体はよく見かけるシステムですが)。
これに限らず、本作は常になんらかの目標があるので、これまで自分が遊んだオープンワールドゲームの中でも相当ダレにくかったです。
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この武器が強すぎる。まず負けなくなる |
◎世界観・テーマに合致したBGM
BGMも秀逸だと思います。笛の音色が響く純和風のいかにもな曲から洋ゲーおなじみのデジタルな曲、和デジ折衷(?)な曲、一部ボス戦で流れるボーカル曲まで意外とバラエティ豊か。そしてなにより弥助のストーリーで流れるアフリカンなルーツBGMと安土桃山時代の雰囲気が絶妙にマッチングしており、これらの曲が流れる戦闘はいずれも盛り上がりました。ここ、下手なクリエイターだといかにもなHipHop曲を設定しかねない危ういところだったと感じるのですが、本作はそういうのに流れずストーリー設定をしっかり捉えているのも誠実なクリエイティブに感じます。
個人的に、ゲーム中は純和風な曲よりも先述の弥助の曲やデジタル風味な戦闘曲のほうが印象に残りますが、不思議とそれらの曲がアンマッチに感じることはありませんでした。
余談ですが、アサシンクリードで一番好きなサウンドトラックは4DLC「自由の叫び」です。今聴いてもまったく古びない。
◯取捨選択されたアクティビティ
ヴァルハラで顕著だった面倒でさほど楽しくないアクティビティ(石詰み・しょぼい報酬しかない地形パズルなど)は減らされ、神社・九字切り・形・流鏑馬の4つに取捨選択されました。神社は特定ポイントを見つけて参拝するだけ、九字切りと形はQTE、流鏑馬は読んで字の如くです。これらがすべて楽しい! と言い切れる内容ではないものの、そこまで理不尽さはなく、いずれもクリアすれば育成ポイントが手に入るので納得の範疇です。世界観にも合っているし。
余談ですが、これまで見様見真似でいい加減にやっていた二礼二拍手一礼の所作を今作を通じて正しく把握しました。
◯索敵の仕様変更
オリジンズからミラージュまでの4作品で共通していた、相棒の鳥を飛ばして敵地を偵察してもらうシステムが廃止されました。かわりに視界に入った敵や目的を捕捉する「注視」と、奈緒江限定の「イーグルビジョン」が採用されています。
個人的に、鳥をドローンのようにして飛ばす偵察はダイナミックではあるものの毎回やるには重かったし時間もかかったので、今作の仕様のほうがしっくり来ます。これにより弓兵(鳥に攻撃して偵察を妨害する)がかなり弱体化しましたが、その副作用こみでも嬉しい変更でした。
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ステルスも雰囲気抜群。左上の火元も消すと闇に紛れることができます |
◯そのほか種々の改善点
細かい点でも旧作からかなり改善されて快適な体験になっています。
- 糧食補給の際、今減っている体力も入手時に全快する。
- 目標探索の際、設定しているのとは別件の目標が探索エリア内にある場合、それも併せて発見してくれる。
- 馬を呼んだ際、よほど呼んだ位置から動かないか地形の問題がない限りそのまま自動で騎乗できる。
- ランダムイベントの人助けをした際、情報か密偵一人補充か選べるが、すでに密偵が満タンなら自動で情報獲得になる。
- 長時間(沖合か沖合に近い場所で?)泳いでいると、どこからともなく乗れる小舟が現れる。ほかに船影の見えない僻地でこれを体験したので偶然ではないと思う(ホラー演出かと思って最初怖かった)。
- 課金アイテムをアニムスで単品ポイント交換できるようになった。従来通りストアで購入する際も交換済みの分はヘリックス・クレジットが値引きされるのでお得。ちなみに旧作でパック類を購入したことは一度もないが、予約特典などを除けば、このポイント交換で初めて課金装備に手を出したかも。
【気になった点】
△相変わらず動作の重いアイテム売買
数多くの改善が施されたというのに、この点だけは頑なに改善されていないのが不思議です。
たかだかアイテム売買(という言い方は乱暴ですが)でこんなに動作がもっさりしているゲームをほかに知らない。もう、ただでさえもっさりなのに換金アイテム以外はひとつずつしか売買不可なうえ、売買のたびにメッセージが挟まるのでテンポが最悪です。一時期のアップデートで装備の一括処分が可能になったのですが、現在(ver.1.0.3)一時停止中です。実際に一括処分しようとしたら強制終了に見舞われたことがあったので納得の措置ではありますが……
そもそも、店主に話しかけたら即売買画面に遷移してほしいですね。基本は用事があって話しかけるので、毎回挟まる「売買する・しない」の選択肢が不要です。ロマンシング・サガ3ばりに無言接客即売買とまでは言わないので。
アイテム売買とは言いましたが、そこまで店に用事はないので、実際は拠点での装備強化の際にこれを感じます。頻繁に用があるのに、毎回もっさりを体験しないと武器のひとつも強化できないのはせっかくの優れた体験に水を差しています。
ついでに言うと、この装備強化も不便です。夜間は担当してくれるキャラクターが店の暖簾の奥に引っ込んでしまうことをクリア後(鍛冶屋が解禁されてから約110時間後)に気がつきました。アイコンを注意深く観察すればよかったのですが、てっきり夜間は武器強化できないものと思い込んだままゲームを終わりまで進めてしまいました。
△切り替わりが頻繁で煩わしい季節変化
最初は新鮮で、グラフィックの美麗さも相まって大変素晴らしい要素でした。ただゲームを進めていくにつれ、思った以上に切り替わる間隔が短くて煩わしさが強くなってきました。季節が移り変わると拠点の敵配置も低ランク宝箱も全リセットされ、うっかり拠点攻略中に切り替わるとそれまでの攻略が水泡に帰してしまうのも気になるところ。また冬は雪中だと徒歩移動速度が下がり、探索や移動が少し面倒になるので、雪景色の美麗さや一寸先も見えない吹雪のリアルさを体験できる以外は割とハズレの季節でした。
△広すぎてダレがちな城攻略・地味な古墳攻略
城自体はリアルに再現されていて素晴らしいです。ただゲームとして実際に攻略するとなるとバリエーションの乏しさが目立ちます。基本的に攻略は同じでバリエーションも乏しいため、ストーリーで攻略必須の城だけでお腹いっぱいというのが実感です。これはオデッセイやヴァルハラの砦攻略でも同じことを感じました。
体感だと、ストーリーやサブクエストで全体の7~8割くらいは足を運ぶので、先にクエスト類を片付けてから余った城を攻略すると高レベルの武具も手に入って楽だと思います。といってもメインストーリーで訪問する有名どころの城はメインストーリー仕様で侍大将が配置されていないため、二度攻略する必要もありますが……
城の二度攻略に関連して言うと、地域ごとにある討伐サブクエストにしても、受託前に倒した分も計算されてほしいところです。新しい地域に入ったらまずすべてのクエストをクリアしてから自由攻略を始めると効率的ではあるものの、そもそも論として受託前から計算してくれればという。
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大規模な城は侍大将探しがネック |
そして古墳の探索も発売前の期待とは違うものでした。このパートだけ悪い意味でヴァルハラを継承してしまっており、薄暗い地下(古墳なので当然ですが)で迷いながらヴァルハラみたいなチマチマ地形パズルに勤しむ弥助の背中には哀愁を感じました。古墳ごとに攻略できる主人公が限定されており、対象外の主人公で入ったらメニュー画面でもう片方を呼び出さないといけないのも地味に面倒。
個人的に言えば、古墳はもっと先史種族(シリーズで言うところのイス)的な非現実的なエリアに仕上げてしまって良かったと思います。こんなの現実だと信じるほうがおかしいくらいの。大半の日本人でもろくに中の様子を知らないし、ここは冒険しても良いポイントだったと感じます。惜しいです。
△名物の起動時メッセージの変更
あれが変わってしまいました。
本作を巡る諸々の騒動を思うとリスク回避として必要だったと承知していますが、わがままを言わせてもらえると外部の声に折れないで欲しかったところです。あの短い文章をゲーム画面で読むと「今からアサシンクリードの世界に没入するぞ! 」という気分になるので、本当に魅力ある名文だったと思います。過去形で語るしかないのが残念です。書籍『メイキング・オブ・アサシンクリード』で語られる誕生秘話込みで好きでした。
△表現規制
告白すると、これまで本シリーズの表現規制を問題視していませんでした。このシリーズの魅力はグロテスクな殺戮表現にはないと考えていたからです。
ただ、新世代のアサシンクリードを体験したいま、スタンスが変わりました。これだけリアリティある体験に「斬首しても首が落ちない」などの規制があると、ハッキリと体験が損なわれたと感じるようになりました。同時に、自分がこれまで問題視してこなかったのはゲームの表現能力の限界に納得していたからに過ぎないのでは? という疑問も生じました。規制問題で炎上したヴァルハラですらもう4年半前の発売で、それから本作までの短期間でシリーズ自体がここまで凄まじい進化を遂げるのは予想外でした。
勝手に価値観を変えておいて調子の良い話ですが、ここもできれば踏みとどまってほしかった点です。
【まとめ】
重ねて申し上げます。シリーズ最高傑作です。
パルクール含む操作、グラフィック、シームレスなダブル主人公とそれらをしっかり描ききったストーリー、過去最大級ボリュームの標的ボード、豊かで見ごたえのある世界観、そして進化したゲームシステムと、いよいよこのシリーズが新世代に突入したと思います。4やユニティやオリジンズなどの節目作でもそれぞれ感動しましたが、今回が一番進化を感じます。ようやく本来の構想どおりに動かせる内容になったというか。
ヴァルハラで総決算ののちミラージュを足がかりにして、本作シャドウズでアクションアドベンチャー路線とRPG路線の真なる融合を果たせた印象です。そして新世代へ……
正直、UBISOFTを侮っていました。シリーズファンの自分ですら「ヴァルハラの進化系であればまぁひとまず満足かな? 」くらいの温度感だったので、ここまで先に進んでいるとは思わず、あまりの進化具合にこちらが慌てました。
同時に、UBISOFTが最低限の声明を出したのち、プロモーション時期まで余計な発信をしなかった理由もわかりました。ゲーム本編がこれだけ充実した内容に仕上がっていたらそれ自体が説得力を持つので、外部の声に振り回される必要もなかったということだと捉えています。
本作を巡っては発売前に色々あったので、購入を先送りしている方もそれなりにいらっしゃると思いますが、心の準備が整ったタイミングや暇ができたタイミングで手を出してみてもよろしいかと思います。
とは言っても、やはり気になる点やシリーズ通しての課題だと感じる点はあるので、次回作やアップデートでの進化を期待しています
。発表されたばかりのロードマップによるとかなり先までの展開がありそうなので、ヴァルハラみたいに2年くらい続いてくれると嬉しいところです。
それにしても発売まで本当に長く感じました。ただ、待った甲斐はありました。本作自体が良作であったことに加えて、シリーズ自体にほんのり明るい兆しが見えたのも救いです。どういう最期を迎えるにせよ、ここまで来たら見届けるほかありません(毎回言っている気がする)。
以下はあまり愉快でない話かつネタバレもあるのでスルーして構いません。このゲームにまつわる炎上騒動についてです。
率直なところ、2024年6月の炎上から発売までかなり辛かったです。燃やしている人たちに話が通じないのことは早期に理解したのであまり表に出さないようにしましたが、そういう人間の悪意やそれに対抗できない自分の臆病さを認識し続けることも含めて辛い時期でした。
ゲームなんだから製品版を遊ばないことには決着がつかないのに初期のインタビュー発言や開発中動画を半年以上ネチネチと認知の歪みで叩かれ、単なる一ファンでしかない自分でも辟易しました。もう認めますがこの約10ヶ月本当に疲弊しました。
大体「史実に忠実」なんて常識的に考えれば単なるセールストークでしかないし、ゲームメディアという広報の場で自社製品を過小評価するわけがないでしょう。こういういかにも欧米的な尊大な語り口が癇に障るというのはわからなくもないですが(自分もあのインタビューは危うい言葉選びだったと思います)、じゃあ日本人なら日本人であるという理由で満足な歴史描写のゲームを作れるわけでもないし、むしろ本作が出るまでこの規模の安土桃山時代オープンワールドが日本国内から出なかったことに国内メーカーの不甲斐なさを感じます。そんなに言うなら同じ時代背景で同じオープンワールドを日本が早く出せばよかったのではないでしょうか? いずれにせよゲームを完成させて世に出したのはUBISOFTなので、そこでひとつの結論が出ているし、何を言うにせよ製品版の内容を大前提にする必要があると思います。自分はクリアしたので好きに言います。
今振り返ると、UBISOFT・ゲームメディア・ファン・ゲーマー層・外野など登場人物の多くがそれぞれ初動を誤ってここまで話が拗れた気もします。UBISOFTもまさか日本舞台でこんなことになるとは予想外だったでしょう。昔から望まれていた日本舞台を満を持して発表したらこの反応で。
そしてUBISOFT自身も日本人の反発に気づくのが遅れた・そもそもモチーフの扱いが危うかったなどという初動ミスがあると思います。
7月23日に出した声明ではあまりにも遅すぎて、もうその頃には手遅れでした(想像でしかないですが、日本法人はすぐに問題を把握したのにフランスの本社が深刻に捉えていなかったのではないでしょうか)。
タイミングも悪かったですね。国自体の貧困化(格差拡大)やオーバーツーリズムの問題で日本人がピリピリしている真っ最中に「待望の日本舞台だけど男主人公は外国人(黒人)です」と打ち上げたものだから一部の層に大変刺さってしまい……少し前、まだ日本人の心に余裕がある時に発売できればこんなに燃えなかったような気もします。でもそれだと最新技術の恩恵には与れなかったので、終わってみれば2025年3月に発売するのが最適でしたね。
そもそも巷で言われている日本軽視どころか、舞台としてはシリーズ最高待遇だと思います。ここまで気を遣われている国は過去になかったという認識です。悪役にしても救いがたいような奴はほとんど外国人で、メインの百鬼衆にしても大半は事情あっての悪という感じだし、織田信長はじめ戦国武将もわりかし美化されている方です。世界観にしても限られた資料から可能な限り当世の状況を再現しようと努めたのが窺えるし、ここまでされてまだ不満ならもう不満のある人たちで安土桃山時代ゲームを作ったほうが早いくらい。こんな厚遇、シリーズで後にも先にもあるかどうか。
つらつらと書きましたが、率直なところ、批判している人の気持ちもほんの少しだけわかってしまうところがあります。
ゲームとは話がズレますが、ここ最近はあまりにも社会の人心荒廃と環境変化が急速で、ただでさえ余裕がないのにこれ以上誰にも何も奪われたくない、という切実さをネットでも実世界でも感じます。よくわからない他者に侵略されたくない、そこまでいかずとも煩わされたくない、同じ人種でも不快な人間は遠ざけたい……怖いから遠ざけたい……
実のところ本作は、これと似たテーマがラスボス戦で語られます。すわゲームに見透かされたか!? と慌てたと同時に、そのシーンに至るまでの体験を振り返ると、主人公を奈緒江・弥助のふたりにしたのは正解だったと確信しました。そしてシリーズの伝統の価値観をしっかり継承していることも確かめて安堵しました。そういう意味でもテーマを貫徹したストーリーになっていると思います。
ということで結論としては、やはりシリーズ最高傑作です。
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