ゲームクリア感想267_プレイグテイル:レクイエム(XSS版)

前作の記事はこちら

あの前作の続編ときたらもう間違いないでしょうということで。前作の記事は過疎ブログには珍しく批判コメントをいただいたので、その意味でも印象深いです。

ちなみに元々昨年遊ぶ予定でした。というのも、本作がXbox GamePassで配信されたのは昨2022年10月で、日本語ローカライズが施されたのは2023年6月のPS5版のタイミングからとなります。そのため昨年の段階では肩透かしを喰らい遊ぶのを見送りました(この経緯はautomatonの記事が詳しいです)。
昨年はGOTYにノミネートするレベルの高評価だったので、その意味でもかなりハードルの高い状態から始めました。


サムネイル用。フォトモードあり

【主なプレイ環境】

ハード XBOX Series S(Xbox Game Pass)
バージョン ver.1.6.0.0
難易度 ノーマル(一周目) 強くてニューゲーム(二周目。究極の難易度モードとのこと)
クリア時間 約 40時間(一周目25時間、二周目15時間程度)
実績取得数 31/35


【良かった点】


◎大ボリューム


予想していた倍のボリュームでした。RPGかと思うくらい。もうここでエンディングだろうという山場が3つくらいあって、それをすぎてもまだ続くので満腹になれました。
緊迫感ある攻略パートのあとは自由探索に移ったりとペース配分の緩急もついているのでダレにくいです。
流れとしては前作からの完全な続きもので、弟の治療に向けて各地を巡っている途中というところから始まります。前作にはなかった海のロケーションは新鮮味があります。


そういえば今年は海どころか海岸にすら行かなかった



深層にある真相とは



◎音楽


音楽は個人的に推しているOlivier Deriviere氏が前作から続投。弦楽器やコーラスが印象的な楽曲はどれも聴き応えがあり、操作を止めて曲だけ聴いていたこともしばしば。序盤で流れる「The Rage Within」とノリの良い「The Child」が好きです。更にインタラクティブミュージックを採用しており、発見されて戦闘BGMに切り替わった時は緊迫感で焦ると同時に燃えます。


◯大掛かりになった演出


ネズミの群れが前作よりもダイナミックになり、序盤から前作ラスボス戦並みの勢いと物量の集団が襲ってきます。アンチャーテッドシリーズみたいな全力逃走パートは場合によってはシビアで、間一髪になるように調整されており手に汗握ります。
前作は比較的攻略メインだったところ、本作では演出面が強化されて、ストーリーに突っかかりなく流れるように進みます。探索・攻略・ストーリーのパートがしっかり区分けされた印象です。ただ前作の攻略も好きだったので、ちょっと淡白に感じなくもないです。


前作を思い出す光景。やっぱりこうじゃないと



無数のネズミの視線。まるで現代SNSの縮図



◯良くも悪くも親切なシステム


この手のゲームで面倒な点はある程度先回りして対策してある感じです。
たとえば探索を終えて次の章に進む時は、扉を開ける前に一旦声かけしてくれるので、うっかり探索前に正解ルートを踏んでしまっても問題なしです。
また、会話しながら歩くパート(また正式用語忘れた)は適当なところで理由をつけてダッシュ可能にしてくれるので、周回でもそんなに気にならなかったです。
もっとも、事前声掛けもダッシュもすべてのパートに適用されているわけではないですが、周回のことは念頭に置いた作りです。

またオートセーブがかなり小刻み。体感としては地形を移るごと(実際には小エリアを移るごと)にセーブされるので、遠くからやり直す面倒とは縁遠かったです。また敵に追われてエリア奥に追い詰められてゲームオーバーになった場合でも、ちゃんとチェックポイント通過認識されてそのエリアからリスタートできるのである程度ゴリ押しも有効。
もっともその分敵の攻撃が痛く、また親切すぎて満足度に欠けるきらいはあります。


【気になった点】


×一部ギミックの解りづらさと誘導・チュートリアル不足


ゲーム序盤、荷車をうまく操作できなくて詰みかけました。

左スティックで前進と後退、右スティックで画面のアングルを傾け進行方向変更なのですが、「画面を傾けるだけでそっちに進む」というのが直感的すぎて逆に把握しづらく。


あとは仲間への指示出しもチュートリアルでつまづきました。器具を操作した後にチュートリアルが表示されるので、てっきり自分がその器具を操作しながら仲間に指示を出すのだと思っていたら、一旦自分が離れて、仲間にその器具を操作してもらう指示を出す、というのが正解でした。


そして一番手こずったのが背景と同化しているギミック。特に船の碇上げと鎖の足場は諦めかけました。前者はハンドルの近く、後者は鎖の中央あたりにほんのり光るポイントがあるのでそこを壊すのが正解でしたが、どちらも視線誘導などがなく、この流れでそこに目を向けないだろうという場所にあるので苦労しました。


そして、これらギミックのわかりづらさと悪い意味で好相性なのが初回しか表示されず後で読み返せないチュートリアル。自分が見逃してなければ、過去のチュートリアルリストなどがないので、カンと記憶が残っているうちに一気にクリアするのがベターです。


自分の勘のにぶさは認めますが、割と独特な操作体系の割にチュートリアル・誘導がわかりにくいことが多かったです。なんなら最序盤のかくれんぼですら全部負けました。



でもこの鏡を使った新ギミックは好き。その手があったかとテンション上がった




×不快なストーリーと退化した主人公


ここまで不快な主人公、The Suicide of Rachel Foster以来です。

きょうだいというカテゴリならライフイズストレンジ2以来。 


主人公姉弟が前作からなにも学んでいないのか?と思うほどあらゆる選択肢を間違え、周囲の諫言にも耳を貸さずひたすら状況を悪化させる。しかも実害が大きく、行く先々で災害を起こしてるのに碌に反省もせず周りに当たり散らしてますます不穏になる始末。

ここだけ読むと『火垂るの墓』みたいですが、本当にフランス版火垂るの墓みたいなノリです。


もちろん主人公姉弟だけが最悪なのではなく、ルカやソフィアや親切なモブなど人格者を除けば周りも大概なキャラクターばかり。母親でさえ前作の頼もしさはどこへやら不安定になってるし。もっとも主人公姉弟はその人格者たちですら1,2回はキレさせるので不快度はダントツです。

主人公が散々周囲の人間に世話になっておきながら「弟以外はどうでもいい!」と口に出した時には愕然としました。本当に前作からなにも学んでいない……まるで成長していないどころか退化している……勝手にその土地に押しかけたくせに災害を起こしたら「こんなところ早く沈んで欲しい」とか言い出したときはもうキレました。


そりゃ他の何を差し置いても家族が大事なのは理解できるし、疫病あり戦争ありと他人に愛想なんて振りまいていられる状況でもないですが、なんかこの主人公一家って家族愛と言うよりも共依存で共感できないですね。周りは無理解な奴らばっかりで家族だけが弟を救える! みたいなスタンスを公言して、あまつさえ周囲にもそれをうっすら強要するので本当にイラつくし、民衆の死を悼む発言なんかポーズに思えてしまう。弟の部屋に入らせてもらえない時の異常な苛立ちとか、愛情じゃなくて支配欲に思える。


もっともラストは因果応報とも解釈できるので、それまでの独善的な行動は良くも悪くも結実したと思います。かといってあの展開じゃ溜飲など下がるわけもなく、こんなことならスタッフロールを迎えず電源を落とすなり最終盤わざと死ぬなりで未完にしたほうがマシだったかも知れません。


本作、システム面だけでなくストーリーもラストオブアスパート2に似ているのですが、ストーリーの納得感、ひいては心に迫ってくる描写の迫力に差があるなと感じました。余裕のなさからくる感情の爆発ひとつとっても説得力が違うというか。


いや、もうやめましょう。前作の記事を見返すと当時からストーリーにモヤついていたので、このシリーズの倫理観と自分が合わないのでしょう。それでも前作のときはそんなに気にならなかったのですが。



△育成システムがうまく活きていない


パーツを集めて装備をアップグレードするよくあるやつと、特定の行動を取るとポイントが溜まって段階ごとに新たな能力を覚えるアビリティシステムがありますが、特定の条件が揃わないと効果がない、またはそもそも有用ではない手段が多くて、せっかく覚えても活用の機会が少ないと感じました。


たとえば序盤にステルスキルのチュートリアルがあり、基本的に非武装(兜を装備していない)の敵にしか効果がないと説明されるのは良いとして、それ以降の敵はほとんど武装しているというオチなのでろくに活用しませんでした。

そもそも非武装であれば遠距離からスリングなどで対処したほうが早く、ステルスキルといってもアサシンのように手早くいかないし音も立てるという高リスク手段なので、スリングやボウガンなどの遠距離攻撃さえあればほぼ不要です。


特定のアビリティをMAXまで育てるとナイフでフルアーマーの敵をステルスキルできますが、その頃には大抵クリア間近だし、ナイフはカウンターや貴重な宝箱を開けるのにも使うのでどうとでも回避できる敵に使う理由もなく。前作から通じる隠れながらの遠距離各個撃破が一番強いです。



△淡白になったステージ攻略


なんかこう、前作のほうがステージに多様性があってパズルもやり甲斐があったと思います。

本作はストーリー展開の都合上、廃墟や洞窟が多くて代わり映えせず、また前述の通り、ゴリ押しして先のエリアを通過してしまえばリトライの際にそこから再開するので、初回は達成感なく釈然としないままクリアしてしまうことが多かったです。


前作は比較的小さいステージで完結していたのもあってそんなに気にならなかったものの、広くなったことで妙に漫然としてやりがいのない攻略になったと感じます。前作よりできることが増えたけど前作よりつまらないです。



△日本語ローカライズ


ひと悶着あった件を除けば特に問題はないのですが、元より8ヶ月待たせたのだから、字幕の改行にもう少し気を払っていただきたかったところ。固有名詞がぶつ切りだったり句読点が文頭に来ていたりと惜しい。



【まとめ】

 
ゲームとしては飽きることなく二周も楽しめました。チュートリアルや誘導、攻略など気になる点はありましたが、そもそも前作からのベースが良いので引き続き楽しめたというのが近いです。全体的にアクション寄りになったのが少々寂しいけど同時に進化も感じました。

結局、シリーズ2作続けて主人公一家に好感を持つことはできなかったです。もっとも疫病と戦争が蔓延する世界なので独善的なくらいがちょうど良いとは思いますが、この主人公に命の尊さを説かれてもという感じです。弟も大概な性格ですが、まだ弟のほうが事態の重大さを認識していたので、結局最後まで学べなかったのは主人公だけ。そう考えると悪いストーリーではない気がしてきました。あと弟と世界の二者択一でセカイ系っぽさがなくもない。

総合的な結果としては、前作のほうがコンセプトに忠実かつ内容もまとまっていて好きです。今回は妙にAAAアクションアドベンチャーのフォーマットを意識しているような作りで、人間との強制戦闘が増えてせっかくの個性が影を潜めた感じもします。ネズミ対策の手段も増えた(緊急回避アイテムが実装された)ので、慣れてくるとネズミもそんなに怖くなく。
あと探索が楽しそうに思えてあまり見るべき場所がないのも淡白に感じた原因かも知れません。前作は戦場とかお城とか図書館とか夜の市街地とか良い感じのシチュエーションが多かったのでワクワクしましたが、今回はそこまでという感じ。

とりあえず、ストーリーの完結を見届けられて良かったです。


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