ゲームクリア感想144_ラストオブアス パート2
結論から申し上げます。
これは“本物”です。
実のところ、この11ヶ月間、総合的なゲーム体験としてファイアーエムブレム風花雪月を超えるものがないというのが体感としてありました。贅沢な話ですが。
といっても他のゲームが劣っている、という訳ではなく、むしろ楽しめました。
Return of the Obra Dinnの新鮮さや、
十三機兵防衛圏の高い完成度、
シンプルさが逆に楽しいデイメア:1998、
汚名返上した聖剣伝説ToMに、
予想以上の出来だったFF7 REMAKE
など、これらをすべて楽しんできたものの、どうにも自分の中で消化できた感覚が希薄で、プラチナトロフィー取得などをして一段落したら、少しずつ存在感が萎んでしまったというか。それがようやく断ち切られたという手応えがあります。
(余談ですが、キャラクターの所業などを中心としたファンによる喧々諤々の論争が盛り上がっているのも本作とFE風花雪月の共通点ですね)
とはいっても、発売直前まで警戒していました。
延期を繰り返していたり、開発現場の混乱が報道されたり、リークを踏んだりとなにかと騒がしく、システムなんかは進化していても、総合的には前作を超えられないのでは? という不安が生じた時期もあります。
ですが、それは杞憂でした。
はっきり言って前作を超える名作だと思います。
思い返せば、前作を遊んだのは7年前、フリーター生活を脱却するため再就職活動をしている期間でした。
当時はストレスで手足口病のような症状が出て毎日が辛かったのですが、遊んでいる間はそれを忘れて夢中になっていたと記憶しています。トロフィー回収やら高難易度やらで、結局5周してしまいましたが、未だにプラチナトロフィー未取得でグラウンドモードも未クリアなのがやや心残りです。
ちなみに周回プレイを想定して、ダウンロード版を購入しました。
バージョン 1.02
難易度 ノーマル
クリア時間 31:58
トロフィー取得率 41%
収集品 191個
【良かった点】
◎特大ボリューム
これは本当に驚きました。
この手のゲームにしてはちょっとしたRPGくらいのボリュームがあります。
なにしろ細部までの作り込みを売りにしているシリーズなので、ハードの進化を考えればボリューム面は前作と同じくらいあれば御の字、くらいに思っていたのです。ところが蓋を開けて見れば、ジャンルを再確認するほどのシンプルなボリューム増で、そのパワフルさに圧倒されました(同時に莫大なコストに思いを馳せました)。
具体的にどの辺りのボリュームが増えているのか、と言われると全体的に、としか答えられず、とにかくもうあらゆる要素が純粋に増えています。シンプルな加算・乗算という趣で、続編のボリュームとしては教科書に載せたいくらい理想的。
アンチャーテッド初代から数えても最大ボリュームなのは確実でしょう。
もう二度とこんな贅沢な作り方は出来ないんじゃないかという疑念に駆られるほどなのですが、技術の進化いかんではこれ以上の世界が到来するのでしょうか。
◎バトル面およびステルス両面の進化
これも大きい進化要素でした。
バトルにおいては特に近接戦闘の強化が大きく「回避」を採り入れたことで攻略パターンが増えました。
弾薬が不足・かつステルス攻略が難しい場合でも、上手くすれば突破可能なのは大きいです(エイム不安定な身としては)。
あと、前作にあったような機銃防衛などの、他でもお馴染みだから採用しました、みたいな(あまり楽しくない)バトル要素が少なくなっていたのも良かったです。7年前の当時はラストオブアスと言えどそういう流れに取り込まれていた印象ですが、本作では攻略に集中できました。
ステルス攻略では「草むら・水中」と「匍匐」の採用が好感触でした。
これによって複数のルートが取れるようになったので、試行錯誤が楽しいです。
全体的に、発見状態・未発見状態ともに取れる作戦が増えたので、やり直しがそこまで苦ではなかったです。
感染者・WLF・セラファイトそれぞれの勢力に特色があるのも面白かったですし、ステージによってはうまく誘導して争わせて漁夫の利を狙えるのも楽しかったです。
漁夫の利作戦は大好きなのですが前作ではほとんど狙えず、DLCでちょっと出来ただけだったので、続編でちゃんと可能になっていて安心しました(もっと狙えるステージが多ければなお良かった)。
◎ワイドリニアによる探索の楽しさ
アンチャーテッド4や同古代神の秘宝で採用されていた、オープンワールドとリニアの中間のようなこの仕様が、本作でようやく本領発揮できたと感じました。
アンチャーテッドの時はマップこそ広大なものの、インタラクトできる箇所が少なく、風景は綺麗だけどやりがいのある探索というわけでもなかったので、そこまでピンとくる仕様ではなかったです。
しかし本作のワイドリニアは、程よい広さに十分な探索要素が詰まっていて、非常に楽しめました。
またステージ自体も作り込まれているので、じっくり観察しながら進めていました。
市街地探索大好き人間としても満足です。かなり念入りに調べたつもりでも、クリアして見直すと収集物の取りこぼしがかなり多く、その密度に驚きます。
◎流れるようなスムーズな操作
思い返してみると、操作で理不尽を感じたことがほぼないです。
直感的に動けるしダッシュも速いので、操作面のストレスは0でした。
スティックの微弱な傾けによる忍び足も、前作よりもやりやすくなっている気がします(前作は忍び足しているつもりでも理不尽に見つかることが多く、傾けの調整で指が痛くなった)。
◎頻繁なオートセーブ&速い読み込み
初めてゲームオーバーを迎え、また戦闘の頭からやり直しかと思いながら再開したら、ついさっきの戦闘途中から再開されて腰を抜かしかけました。申し訳なさすら芽生えるほどの細かさ。
微かな衝撃や操作ミスで数多のセーブデータを消滅させてきた身としては、もうセーブで泣く時代は終わったのだと優しく諭されたような温かい気持ちになれました。
そして前作同様にローディングが速く、やり直しもさほど苦にならないです。
◎引き継ぎありニューゲームの存在
何しろ一周が長いので、武器や強化を引き継げるモードがあって安心しました。
無いのを覚悟していたので。
◎ストーリー・演出
初めに申し上げますと、私は今回のストーリーは好きです。
好きというか、全体を通してみるとしっかり説得力がある内容だったと捉えています。
それはストーリーラインを顧みてもそうですが、自分自身のゲームプレイを振り返ると、より納得できました。
前作から数えて、自操作キャラクターで道中何人殺してきたかを思うと、エンディングにそこまで違和感はなかったというか、どうしてそうなる! という憤慨はなく、不思議と納得感がありました
もちろん悲しい気持ちにはなりましたが……
考えれば、ある意味ではゲームならではの死の語り方だったのではないでしょうか。
例えば、似たような世界観と展開があるコンテンツに人気海外ドラマのウォーキング・デッドがありますが、あちらには露悪的な衝撃展開に(押し付けがましい)あざとさを感じてしまい、私は途中で視聴をやめました。
一方で本作の場合は、ハードな殺しの描写などに露悪的だな〜とは感じつつもあざといとは思いませんでした。
なぜかというと、やはり自分で操作して自分で決めた選択の積み重ねだからじゃないかと……
ストーリー自体は一本道展開で選択の余地は殆どないのですが、進めようによってはスルーできるモブ敵を「そのほうが楽だから」「ボコボコにされて腹がたったから」「戦闘が楽しいから(実際この手のゲームの戦闘システムではトップクラスに完成度が高い)」などの理由で殺しているのは自分なので、そういう選択をしたということになります。
ゲーム開始までは、出来る限りワンコは殺さないで進めよう! と思っていたのに、いざのしかかられて噛み殺されそうになると半狂乱でナイフを突き立てている始末。
しかもワンコは追跡能力が高いので、優先的に排除したほうが安定するという。
そして、序盤はあれだけ主人公の復讐心に感情移入していたにもかかわらず、終盤はそれも忘れて新たなる復讐に狂っていました。
戦法も狡いし、罵倒してくるし容赦ないしで本当に憎たらしくて、QTEのボタンを押す指に自然と力が籠もっていました。ゲームならではの語り方でメッセージを伝えてくるそのパートをクリアして、ようやくストーリーに対する得心がいった、という感じです。
また、ご多分に漏れず、私も操作に抵抗がありました。もちろん話題の新主人公(とその仲間たち)のことです。
そこまで苛烈な拒否反応は湧かなかったにせよ、マイナス印象からのスタートでどうなることか……と思いながら進めていたら、いつのまにか感情移入していました。
同時に、7年の月日を経てなんだか漠然と良い感じのキャラクターたちという印象だった前作キャラクター勢に対しての見方が変わり、その転換の上手さと、前作キャラクターという聖域をこういう形で掘り下げる大胆さに感心しました。
蓋を開けてみれば、ストーリーのクオリティは期待通り非常に高かったです。
○リアルなキャラクター造型
前作に引き続き、心の動きがリアルで身につまされました。
主人公格まで行くとさすがにヒロイックな面はあるものの、このあたりのノリは変わらずでした。
ある種の思い込みに囚われた人物の性格や顔つきの変わりようだったり、辞世の句を呟く暇もない突然の死だったり、
ちょっと込み入った会話を交わしてなんとなく解りあったと思っていたら、比較的善良な性格の相手が我慢していてくれていただけで最終的には爆発されたりと、すべて身に覚えがあるので、観察力に唸らざるを得ませんでした。
人やワンコにはそれぞれの個体に名前が設定されており、殺されると名前を呼ぶ仲間の悲痛な声が響くという仕掛けがあるのですが、ゲーム序盤はそれが思ったよりも効果的に機能しているとは思えず、演出の一環という感じでした。
ところが、各勢力の背景を知った終盤になるとそれが響いてきて、終盤になっても殺しに慣れるという感覚はなく、常に緊張感がありました。
○細部まで設定できるアクセシビリティ
不安になるくらい手を加えられるので、快適に遊べました。難易度を始めとして、設定の変更がトロフィーに影響することはないのでその点も安心です。
○ホラー要素もしっかり健在
前作ほどのインパクトはないと感じましたが、ホラー要素に対する意識が薄れた頃合いを見て驚かせてくるので、なんだかんだ緊張しました。勿論、感染者が出てくるパートの緊張感も健在です。個人的には下水道とフェリーが怖かったです。
○高品質なローカライズ
これはもうそのままですね。
○その他親切設計
・探索済みの箇所はチェックがマップに付く(ワイドリニア時)
・チャプターごとに各収集物の数量が表示される
・馬に騎乗しながらでもアイテムのアイコンが表示される(拾うには降りる必要がある)
・同行者が道を塞ぐことが少ない。
・マルチプレイがないのでプラチナトロフィーが前作よりも取得しやすい
【気になった点】
△メインメニューから収集物を確認できない
確か前作は出来たはずなので、今回見返せなくなっているのは残念です。
対策としては、各主人公のラストの操作パートのセーブデータを保管しておくのがベターでしょうか。
【まとめ】
前作より好みです。
これといった不満点もないし、続編としては理想的なまでに正当進化しているし、ストーリーも納得行くものでした。あれで完結とも取れるし、続きも制作しようと思えば作れる、感慨深い終わり方だったと思います。不具合にも遭遇せず。
おそらく本作の購入を迷っている方は、ネットの悪評やネタバレ内容を気にかけているかと存じます。
同じように警戒していた身から言わせると、心配無用です。ちゃんとラストオブアスなので。ネタバレも、発売前に出回っていたのは不正確な情報なので、踏んだところで-3%くらいのダメージです。ネタバレが気にならないくらいの大ボリュームなので、変わらず新鮮に遊べました。もっとも一切シャットダウンするのが理想ですが。
あと、いわゆるポリティカル・コレクトネスに関しては、強く意識されているとは感じたものの、実際遊ぶとそこまで気にならなかったです。
懸念点としては、愛犬家にとってはワンコと強制的に戦うパートがあるので、辛いものがあるかも知れません。道中のワンコも避けようと思えば出来るのでしょうが、おそらく成り行きで戦うことになると思います。
シングルDLCの制作予定はないことが明言されたので、あとの公式展開としてはアップデートとマルチプレイ実装が主なものでしょうか。
前作のマルチプレイは今なお根強い人気ですし、別作品として独立して出そうではありますね。前作マルチはほんの触りだけしか遊んでいませんが、プレイ感が本編と著しく乖離していないので、スムーズに遊べた記憶があります。
続編も欲しいですが、このボリュームの作品をまた作れるかというとかなり厳しいと予想します。こんなに盛り沢山なのはシリーズで唯一この作品だけになることを覚悟していますし、会社の内情報道が事実だとすると、そもそも新作自体が無事に出るかどうか……
なにはともあれ、2020年上半期トップはこの作品となりました。
今はプラチナトロフィー取得と、難易度サバイバル+クリアに向けて二周目を始めたばかりのところです。難所がいくつかあるので、それを超えられるかどうか……難易度トロフィーはないので、どうしても詰まったら難易度を下げて進めます。
といっても現状、そこまで難易度の差は実感していないので、なんとかなりそうではあります。
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