ゲームクリア感想145_Deadly Premonition 2 -A Blessing in Disguise-(ミニアドバイスおまけ)

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前作の記事はこちら

↑なんと約7年10ヶ月前の記事です。ナンバリングも2→145と過去最大の幅があります。
文章に気恥ずかしさもありますが、そのままにしてあります。
タイトルが今作と違いますが、今はシリーズ2作とも海外版準拠の「Deadly Premonition」表記となっているようです。


 まさか続編が制作されるとは思いませんでした。
前作で綺麗に完結していたし、失礼ながらゲーム自体の完成度が高いとは言えなかったので、このまま「昔評価された怪作」として存在してゆくものとばかり……

 しかし嬉しいニュースには変わりなく、改題前から数えれば約10年4ヶ月ぶりの続編ということで、さすがにそれなりの進化をしているだろうと期待して楽しみにしていました。
 そして2020年7月中旬、ダウンロード版限定でNintendo eshopよりひっそりと発売……大したプロモーションもなく、話題作の影に隠れて静かに……

 結論から言うと、期待するような劇的な進化は遂げていませんでした。

 それどころか、前作と同様に序盤で挫折しかけました。ゲーム内容も自分の遊び方も前作をなぞるような流れで、連休の可処分時間を注いで、ひとまず本編クリアとなりました。


バージョン 1.0.0
クリア時間 145:26:29 

…となっていますが、これは恐らく総起動時間で、実際のクリア時間は30~35時間程度だと思います。


【良かった点】


○先が気になるストーリーライン


 先にいうと、前作ほどの感動はなかったです。
演出がくどい、会話がダラダラ長ったらしい、なんとなく犯人の目星がついてしまうなどの不満点もあります。序盤は先を追いたい気持ちよりもかったるさのほうが勝ると思います。
 
 それでも、いざクリアしてみると「全体的には良かった」という感想にまとまりました。
特に中盤辺りから真相に近づいてゆき、そこからは先が気になって仕方がありませんでした。そして前作からプレイして良かったと思えるラストバトルからエンディングへの流れはまさに最高潮でした。

 色々強引だとか、せっかく前作で最高の終わり方をしたのにとか、細かい所を挙げだすとキリがないので、終わりよければ全て良しということにします。

 

○比較的改善されたUI


 あくまで前作と比較してですが、UIは今風にシンプルになったと感じます。
ゲージやコマンド表示は画面を邪魔することなく収まっており、地図もわかりやすいです。「ジャーナル」でメインクエストとサイドクエストが綺麗に整理せれているのも好印象。
 メニュー画面が一見わかりにくいのが惜しい程度です。


○ホテル生活


 個人的にこのシリーズの大きな魅力です。
セーブ・身だしなみ・買い物・食事、果ては配車サービス(ファストトラベル)までワンストップで出来る拠点で、憧れのホテル暮らしができます。前作とは違って宿の中にもそれなりに宿泊客がいます。

 朝起きたらシャワーを浴びて髭をそって、クリーニングに出した服に着替えて3階のレストランへ。クレオール料理で腹を満たしたら部屋に戻って準備をして、1階の配車サービスカウンターから今日の目的地に……みたいなロールプレイが捗ります。
 ロールプレイする必要は一切ないものの、真夜中に起きて廊下の自動販売機で缶ジュースを買いに行く、みたいな実際の旅先での過ごし方を再現できるので、なかなかプレイヤーごとに違いが出そうな面白い要素だと思っています。
 

○前作よりも機能した身だしなみシステム


 「シャワー」「ひげ剃り」「クリーニング」などの身だしなみが今作も健在です。
前作はそこまで気をつけずとも良かった覚えがありますが、今作では取れる行動が増えたのに比例して汚れる頻度も高く、このシステムが割と機能しています。
 特に目立ったシステムではないものの、不思議と注意を払ってしまいます。
 

○BGM

 
 BGMに限れば前作よりも好きです。スタート画面とショップの曲が良い。
ヴィジョン使用時に同期された別アレンジに切り替わるのも芸が細かいです。
 

○戦闘の易化


 はっきり言って退屈な戦闘ですが、難易度自体は負けるほうが難しいほどに低く、苦痛の時間が短くて済みます。シューターとしては前作のほうがまだそれなりだった気もします。前作は中ボス〜ラスボスまでボス格全部に苦戦したのでありがたいです。

 FF15のように、回復アイテムが山ほど手に入る上に使い放題なので、まず負けません。自分で縛っても良いかも知れない。

 あとQTEは激減しています。前作で手こずった人も安心。


【気になった点】


×不具合の多さ


 もう何を差し置いてもこれでしょう。

  • 突然の強制終了(クリアまでに3,4回発生。セーブ画面ですら起こる)
  • アイコン消失(これが一番多かった)
  • 常世化の出現敵の攻撃エフェクトが常世化明け後も鳴り響く
  • 常世化の敵の出待ち(会話中も攻撃される)
  • 画面のカクつき(低いフレームレートのせい?)

 などなど、クリアまでこまめなセーブが欠かせませんでした。オートセーブがあるのが救い。しかしそのオートセーブも痒いところに手が届かず、ハラハラすることには変わりありませんでした。

 他にも、屋内と屋外を出入りする際のローディング時間が長い(屋外→屋内は約15秒、屋内→屋外は約30秒)、カメラが劣悪、ちょっとしたことで会話が途切れるなどの問題があります。

 とまぁ、難ありだった前作とさして変わらない体たらくで、到底進化を感じられませんでした。
 グラフィックだけは多少良くなっていますが、それすら昨今のゲームに慣れた目では古臭いです。

 もっとも、AAA大作みたいな予算をかけられる筈もないのは理解できますし、実際やればなんだかんだで慣れてしまいます。ただこれを「そういうものだから」で甘やかしてしまうファンの人たちには賛同できないです。
 高クオリティを目指して開発難航するよりも完成したほうが何兆倍もまし……ではあるものの、何度も再起動させられるゲームを何周も遊びたいかというとNOですね。


×ゲームテンポが非常に悪い


 これ、序盤の脱落者を多発させていると推測します。とにかく話が長い。
上述の不具合やローディングの長さも加わって、今のゲームに慣れると覚悟が必要です。

 特に序盤が酷いです。開始90分のうち、主人公を操作できたのは体感で15〜20分くらいでした。あとは没入を阻害するような、話の長いムービーやイベントがことあるごとに挟まります。キャラクター紹介がまとまって来るためそうなります。

 前作でも話が長かったものの、ここまでではなかった記憶があります。
映画の雑談なんかはほぼほぼ運転中に限られていたのに、今作ではメイン進行中に長々と語られるため、うんざりさせられます。ここがこのシリーズの売りでもあるので、削減する理由は無いわけですが、そこまでの濃いファンではない身としては単に辛かったです。

 序盤さえ越えれば自操作時間も長くなりマシになるのですが、そこまで辿り着くプレイヤーは限られているでしょう。特に昨今の親切なゲームに慣れていると……


△つまらないサイドクエスト


 まず、戦闘で詰まることはないので報酬が魅力的ではないです。あると快適ですが。
クエストの内容も、多くのゲームと同様に、敵を数十体倒す、特定のアイテムを持ってくる、ミニゲームをクリアするなど、たたでさえ難ありのゲーム上で時間を費やすには躊躇するようなものばかりで、途中から放置してました。

 特にアイテム系は基本ノーヒントで、根気が持たないです。他にも時間制限や曜日制限、たらい回しやその場で追加注文などの「サブクエストでやられると腹立たしいこと」が勢揃い。


△メインクエスト進行にミニゲーム必須


 条件は緩いものの、メインを進めるにはミニゲームが必須です。このミニゲーム自体も別段面白いというものはなく(スケボーくらい)、今以上に条件が厳しかったらと思うとゾッとします。


△今となっては愉快とは言えないキャラクター造型


 前作のように、色々と奇抜な登場人物が街の住人として登場します。
なんと言いますか……奇を衒った結果、逆に凡庸に思えてしまいました。

 むろん、製作者にはそういう意図はなく、むしろ個人の生き方を尊重する姿勢だと思うのですが、なにぶん我を通す主人公と関わると、主人公の無礼な言動が相手を尊重しているようにはまったく思えなかったです。
 
 海外で騒動にもなっているらしいトランスジェンダーの登場人物に関しても、自分で選んだ性を尊重しようみたいに主人公が言及して、それ自体は正しいし炎上は行き過ぎだと思うのですが、主人公の態度を思い返すと、今ひとつ説得力に欠けるというか。

 あと、キャラクターの奇抜さを、さほどの尊重も伴わずキャラクター文脈として消費していいのか? という私の勝手な問題意識もあります。
 一応、トランスジェンダーのキャラクターは主人公と同様に重要人物なのもあって、シリーズの奇を衒ったキャラクター造型からは別の立ち位置にある感じですし、この人物相手だと主人公の言動も割とまともになります。
 
 ただ、他のキャラクターに対する主人公の無礼さを思うと、やっぱり他よりは描写を厳しく見られてしまうかもと思いました。
 うまく整理できていないのですが、2010年当時ならともかく、今となってはキャラクター造型に軽率さを感じます。日本語字幕だと一部のキャラクターがいかにもなテンプレになっていて、う〜んという感じ。


△やっぱりモヤモヤする主人公


 そして、シリーズファンに愛される名物主人公……ではあるものの、やっぱり好感が持てないままでした。前作よりはマシになっているだろうという希望は希望のままで終わりました。
 自分は町の住人(家族を亡くしたばかりでも)相手に失礼な言動を取りまくる癖に、自分が責められると口だけ反省して何度も繰り返すので辟易します。

 あと「飲食物を粗末にする描写」が多いのも好きになれない理由です。
料理人の前で食事に手を付けない、コーヒーをこぼす(複数回?)など、製作者はギャグ文脈あるいは格好いいものとして描写しているのかもしれませんが、ひたすら無礼な奴だといういう印象が強いです。食事自体はできるので不食というわけでもなく。
 緊迫した状況でいちいちタバコを吸い出すのもなんだかなぁという感じです。逆に格好悪くない?

 一応、終盤になって本編での態度を心底反省するし、ラスボス戦では唸る見せ場もあるのですが、個人的には2作続けて悪い所も良い所も十分堪能したので、もう次はいいかな……



【まとめ】


 まず第一に、ゲームとしての品質に難があります。
それもあって、残念ながら前作を超える体験はありませんでした。

 戦闘も前作のほうがまだシューターとしては遊べた気がするし、オープンワールドにしても、スケボー移動もいいけど車移動が懐かしいし、その車がないせいか前作よりも狭く感じます。ストーリーにしても、今作も悪くないけどやっぱり……という感想です。

 もうちょっと遊びやすさの面で進化が欲しかったところです。
正直、遊びごたえでは前作のほうが上に思えます。

 考えてみると、車の不在が想像以上の影響を及ぼしています。
車があるから仲間を乗せて移動する展開ができたし、マップも広く作れたしと思うと、スケボーが味気なく思えます。
 前作プレイ当時は気にしてなかったものの、現代オープンワールドで車がないのは思いのほか寂しいという気付き。

 とはいえ、やっぱり「不具合の多さ」と「序盤のだるさ」が大きな関門だと思うので、少しでも楽になるよう、今から始める奇特な人向けにミニアドバイス集を設けました。下記にあるのでよろしければご参考程度にご覧ください。

 続き物の話で次回作を作ろうと思えば作れる展開でしたが、個人的には、ゲーム面で今作以上の改善を期待したいところです。
 あとは比較的楽に達成できそうなサイドクエストだけちょこちょこやって終わりにします。ダウンロード版(そもそも日本ではDL版しか発売していない)なので、暇があればまた起動するかも。


【Deadly Premonition 2 ミニアドバイス集】


※クリアまでモチベーション維持するための助言となっております。


1.前作プレイ推奨!


 完全続き物の話なので、前作の「Deadly Premonition Origins」をやったほうがいいです。
今ならNintendo eshopでDL版を買うのが一番楽です。
 今作よりもホラー色強め、バトル難易度高めかも知れません。


2.序盤はメインのみ進める!


 スケボーが解禁されるまでメインクエストだけ追って大丈夫です。
スケボーなしだと効率が悪いですし、メインを進めないとクリアできないサイドクエストもあります(ガリーナの人形など)。


3.かったるいムービーはスキップ!


 特に序盤は長めのムービーが連発されるのでダレがちです。
話の内容に興味がなかったら飛ばして問題ないです。序盤すぎれば長さも会話内容もマシになります。


4.育成は「スタミナ」「スケボー加速度」を最優先!


 バトルではまず負けないので、体力や銃の強化はそこそこでOKです。
スタミナとスケボー加速度を上げるだけで世界が変わります。ショップで祭壇拡張するとなお良し。
 ちなみに銃の強化は、私の場合「威力」「徹甲榴弾」でゴリ押ししました。


5.ダンジョンの木箱はスルー


 全部壊す必要はなく、どうしても足りないアイテムが有るときだけ現地調達のために壊す感じで問題ないと思います。敵を倒せば回復アイテムはバンバン手に入ります。


6.セーブはこまめに!


 本当にすぐ不具合に見舞われます。オートセーブに過剰な期待はしないほうがいいです。


7.アイテムサーチ及び進行フラグ確認は「ヴィジョン」発動で!


 かなり広範囲サーチできます。ヴィジョン使用のための集中力回復アイテムも山程手に入るのでバンバン使います。

 また、2019年パートの進行フラグオブジェクトもヴィジョンで確認できます。
強く光っているオブジェクトを全部調べると次に進んでしまうので、はじめは光の弱いオブジェクトから調べていくと取りこぼしが少ないと思われます。


8.サイドクエスト関連(把握しているのだけ)


  • キラービーは教会隣の公園と墓地の樹木に巣がある。巣に接近しておびき出して倒さないとカウントされないのに注意。警察署前の空き地にも数個あり。
  • 「米」はサトウキビ農場の小屋周辺(川側の茂みあたり)、「ピーマン」はアレクシスの家のベンチ(マップ右)
  • 「ガリーナの人形」はメインクエスト道中で入手可能。戻す先は敷地内の白い家のブランコ






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