ゲームクリア感想2:レッドシーズプロファイル

まず後悔している事があります。
このゲーム、実は発売日(2010年3月11日)買いするつもりでした。
数少ない新規のアクションアドベンチャーゲームということで、「レイニーウッズ」として雑誌発表された時から注目していたのです。

しかし、日に日に詳らかになってゆく(一昔前のグラフィックなどの)前情報から、これを本当に新品で購入した良いものかどうかと悩み出してからは購入意欲が衰える一方で、更に当時は愚かにもアフィリエイトゲハブログなどにアクセスしていたので、そこに掲載されていたネガティブキャンペーン記事(終盤のネタバレを思いっきり掲載。今思うとあの頃からあからさまだった……)を見てしまい、最終的にはスルーすることに決めてしまいました。

しかしある日、 ゲーム関連のサイトを閲覧していると「レッドシーズプロファイル、ディレクターズカット版開発中!」との記事が。フルプライスで発売した日本では振るわなかったものの、海外では(日本より価格が安いのもあり)「隠れた名作」として熱烈なファンがいるとか。
そしてディレクターの方のブログを一通り読んで、今更ながら後悔の感情に襲われたのです。

 あの時、自分の期待と直感を信じて買うべきだったと。
そしてクリアした今は、偏向した情報に流されて買わなかった事に申し訳なさを感じています。

XBOX360版、難易度ノーマル、クリア時間約23時間です。

 【良い所】
  •   ゲームを始めた頃には想像も付かない展開を迎えるシナリオ。
このゲームの根幹。事前にネタバレを見てしまった私でも、「えっ、どうしてこんな話に……?」と意表を突かれっぱなしでした。世界観にそぐわない演出もあるけど、人物の描き方が丁寧なので感動もひとしお。エピローグのカットシーンは全て必見。
  •  車の運転が楽しい。
無目的にドライブしているだけでもそこそこ楽しいし、(期間限定の)主人公や同乗者の会話も独特のノリで面白い。更には新車も購入できて、車ごとにBGMが違ったり、ただの背景のカーナビも現在地に対応していたりで芸が細かい。非レースゲームでここまで車の運転が楽しいゲームは他に知らないです。対向車の走行音やすれ違った際のライトの当たり方もリアルを感じる。
  • 意外とホラー要素が強め。
期待していなかったので嬉しいサプライズ?でした。敵であるシャドウ(ペルソナ3じゃなく)はそれなりに強く、油断してると急接近されたり、画面外からの銃撃であっさりコンティニュー画面とこんにちはしたりで緊張感はあります。
  • 音楽が良い。
 これも予想外でした。車で長距離移動する際にも好きな曲の流れる車に乗ると気分が良い。
  • スキップ可能なシーンが多い。
QTEイベント以外は大体飛ばせます。短い会話シーンもしっかり飛ばせるので感心しました。
これが出来ない大作ゲームが結構多い(様に感じる)ので見習ってほしいですね……
  • 実績が集めやすい。
ストーリークリアだけで大半埋まります。好事家?の間ではその意味で有名だとか。
推測ですが、約40~45時間程でコンプリート可能ではないでしょうか。
  • バランスの取れた収集要素の数
サブクエストもトレーディングカードも多すぎず少なすぎずでモチベーションが保てます。
  • このゲームにしか無いであろう要素
クリーニングや髭剃りがシステムとして搭載されているゲームは人生初です(他にあったらすみません)。
話が進めば店で新しいスーツを買えたりして、着替えが楽しくなること請け合い。
髭やスーツをそのままにしておくと何故か被害額(微々たる額だけど)が天引きされるのが面白い。
空腹や睡眠も無理なく成立している(寝るとしっかり腹も減る)。
他にも、訳の分からない理由(覗きとか)で収入が入ったりする。のがツボに入る。
  •  充実したクリア後
ムービーやBGMが再生できたり、チャプターセレクトで未収集アイテムを回収したり。
  • その他
マップの広さが広大すぎず狭すぎずで丁度良い、テキストだけなのに食べ物アイテムが美味しそう、スタッフロールにも発見がある。ゴリゴリのオープンワールドじゃないので取っ付きやすい。



【悪い所・システム編】あまりに多いので分割しました。
  • 悪名高き即死QTEがある。
そもそもQTE自体の頻度が高く、加えてかなりしつこいのでコントローラを酷使します。
即死QTEで死んだらかなり巻き戻される時もあってストレスでした。
比較的意味ある使い方をしている方だと思いますが……長いQTEでスティックを痛めるのが嫌で周回プレイは躊躇います。
  • 地図が信じられない位使いにくい。
拡縮機能が無いも同然です。迷わせるために敢えてやっているのかも知れません。
お陰で、地理自体は中盤あたりから大体把握できましたが(幹線道路を抑えておくのがコツ)。
  • ローディングが長い。何をするにも2テンポくらい遅い。
メニュー画面の重さと扉の開閉がとにかく気になります(頻度が多いので)。
そのメニュー画面のUIも使いづらいし。
  • 独特の操作
話しかけるのはAボタンで、テキストの早送りがBボタンで、アイテム入手報告のスキップがSTARTボタン。
3つも押させる意味が解らない。指体操をさせたいのでしょうか……
  • 基準がわかりずらい上に収納上限の低いアイテム所持関連
大した数を持ち歩けなかったり、物を売れないのは現実感があるけど、何をどれだけ持ち歩けるかがアイテム毎で異なるので、アイテムの入手にすらエラーが発生して手間がかかる。
アイテム倉庫的な存在はあるけど、大して収納できないですね。
  •  ゴーストタウン
いくら田舎といっても、モブの一人も屋外を歩いていないのには違和感があります。
車は走ってるのに。
  • 屋外のグラフィックが流石に古い。
屋内や建造物はまだ相応なのですが、2010年発売でPS2初期みたいな緑ベッタリの草原はちょっと……
屋内も、病院だけは施設というよりいかにもダンジョンな作りで(他のゲームも似たり寄ったりだけど)、 そこが気になりました。


【悪い所・戦闘編】
  • 戦闘がつまらない
戦闘に面白さを求めるタイプのゲームではないですが、武器のSEがしょぼくて爽快感はないし、その癖シャドウは硬いし、出現即強制戦闘させられるタイプは2回空振りさせて攻撃して1回避ける、のパターンを延々と続けるだけ。それを連続して3,4セットさせられた時は泣きたくなりました。
  • 近接武器の使い勝手の悪さ
SEが銃以上にショボすぎて当てている感じがまったくせず、当てても大して怯んでくれないので頻繁に反撃も喰らうので、障害物破壊にしか使わなかったです。
  • 一定時間放置すると勝手に武装解除してしまう。
武器の構え直しにも時間がかかるので、立て直し中に攻撃を食らうことが多いです。
  • 狭い道におけるシャドウの無限湧き。
 
【悪い所・シナリオ編】
  • 主人公の言動がカンに障る
人の話は聞かないし、つまらない皮肉で人を怒らせるし、誰に対しても上から目線だし、殺人現場でタバコは吸うし、緊迫した状況なのに小粋なジョークを飛ばしてプレイヤーの緊張を台無しにするし、こういう人物像が魅力的だというのは理解できないですね……
マイペースなのはいいのですが、しょうもない格好つけは寒いです。
  • 犯人は簡単に予想出来る
推理モノとしての面白さは無いです。
  • 本編シナリオにミニゲームの強制
釣りのミニゲームはHITまでの待ち時間が無駄に長すぎるので出来ればやりたくないです。
  • 同じBGMが何度も掛かる・切り替わる
曲自体は良いのに、流れる場面に合ってなかったり、会話の最中コロコロBGMが変わるので落ち着かなかったりしている内に聞き飽きてきます。
「それをまた流すくらいなら無音でいいよ……」と何度も思いました。
  • 一部のイベントが必要以上に長い
 3分の1くらいで十分でしょう、あそことあそことあそこは……


【まとめ】
正直、「この手のジャンル」に特定の思い入れが無いと厳しいかなとは思います(中古価格も高いし)。
シナリオや独特のシステムは面白いけど、ゲームとしての完成度は他のソフトと比べるとどうしても物足りない面があるので……
それでも、自信を持って薦められる人がいます。

私と同じ、「気にはなっていたけど結局買わずじまいだった」人、期待していた内容とは違うかも知れないけど、その期待以上のものがこのソフトには詰まっているよ。
難易度も選べるしクリアはそう難しくないよ。
本編だけでも結構なボリュームがあって、なかなかに没頭できるよ。
すっかり覚えてしまった道を車で走りながら、初めあんなに迷いまくったのになとか、そういえばあのQTEはコントローラ投げたくなったな……もう勘弁して欲しいな……とか思い返しながらスタッフロールを迎えて、最後の最後を迎えた時には今までのイライラとか不満とかが吹っ飛ぶよ。

個人の感想だけど、この話を最後まで見届けて良かったと思います。
ディレクターズカット版が日本で発売されるとしたら今度こそ買おう。



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