ゲームクリア感想155_HAVEN(PS4版)



 青田買い。
とまではいかなくても、発表当時から不思議と惹かれるものがあったタイトルです。 
低空飛行の移動方法、アクションかと思いきやRPG風の戦闘、ありそうであまりないカップル主人公、浮遊感あるサウンドなど、かなり新鮮みを感じました。
 できればPS4かSwitchで出てくれるとありがたい……と思っていたら、実際にどちらでも出てくれたので本当に助かりました。


バージョン 1.00
難易度 NORMAL
クリア時間 22:33:56
トロフィー取得率 73%


【良かった点】


◎既存のフォーマットに依らないゲームデザイン


 勿論、すべてが完全オリジナルという訳ではないです。ADVぽく見えてアクションかと思いきやRPG要素もあり……と、色々なジャンルをうまく撚り合わせて独創性を感じられる一本に編み上げたというイメージです。

 ごく個人的な例を挙げると、シャドウハーツ、3以降ペルソナゼノブレイドクロスFF15あたりのRPG群を思い出しました。それは目押しの戦闘システム、ビジュアルイメージやコミュ上げ、世界観、食事システムなどに類似性を見出したからなのですが、プレイ感はいずれとも異なり、オリジナリティの創出には成功していると思います。JRPGのエッセンスを採り入れている(ように見える)のが本作のユニークな点です。

 また、フィールド上で片方に接近すると抱き合って体力回復(回復手段は別途存在する)したり、戦闘や探索で親密度を高めて能力を高めたり、二人同時に同じコマンドを選ばないと無力化出来ない敵がいたりと、主人公のカップル設定がゲームにしっかり落とし込まれているのも面白いです。
 恋愛関係を結べるゲームは数あれど、そもそもカップルが主人公となると数少ないのではないでしょうか(パッと思いつかない)。バディもの縛りでも、きょうだいや同僚などはあっても恋人同士というのが意外にないので、その意味でも新鮮でした。
 

◎浮遊感が快適な移動操作


 戸惑うのは初めだけで、方向転換に慣れると気持ちよく動けます。
落下ダメージも存在しないので気楽に移動できるのも嬉しいところ。「スレッド」追跡は後半で重要になってくると思い積極的に練習したら、案の定でした。


◎最高のBGM


 もうオープニングムービーから一撃でした。
サウンドトラックも購入予定です。その筋では有名らしいミュージシャンを起用しているだけあっていわゆる外れ曲がなく、ゲーム開始からエンディングまで聴き飽きることがありませんでした。


○洗練されたキャラクター・ビジュアル


 愛を貫くカップル、という古典的な題材でも古臭さを感じないどころか、センスの良さで次世代感を出しているのもかなりの見所です。主人公のケイとユウはキャラクターデザインもオタクすぎずリアルすぎずの広範囲に響くデザインで、性差を強調しない清潔感を保ちつつもしっかり男女の関係を描いている、というバランス感覚も凄いなぁと思います。

 デリケートな話ですが、異性愛カップルを嫌味や押しつけなく描くというのが個人的には新鮮に感じました。
 この手の海外インディーズ作品といえばLGBTに代表されるマイノリティのキャラクター、という(自分の中で勝手に)固着したイメージが見事に剥がれました。
 揺り戻しとかそういうものではなく、愛を貫くカップルというテーマの一貫性を最初から最後まで維持しているクオリティの高さが好印象です。


○会話イベントたっぷりの惑星ライフ


 ストーリーのボリュームに対して凄まじい量の会話があります。大体本拠地に帰還して食事したりクリエイトしたり寝たりすると発生します。
 普通に進めていると全回収する前にクリアしてしまいます。実際、キャンプなんて2,3回しかしなかったので、キャンプ専用会話をかなり取りこぼしています。

 何が凄いというと、そのいずれも主人公2人の演技力もあってクオリティが高いこと。
細部まで設定が詰められているのを窺わせる細かさで、より身近に感じられます。ここまでしないとキャラクターに活力ある命を吹き込めないんだなぁと参考になりますね。


○序盤の丁寧なチュートリアル


 各操作の試行回数を表示してくれるので、操作に不慣れなうちでも戸惑わずに進められます。動画を見ても具体的なゲーム内容が想像しづらく、やや不安もありましたが、序盤の丁寧な導入で自然と操作を覚えられました。
 対して中盤以降がやや不親切かも(後述)。



【気になった点】


×エラー落ちが多発


 かなり深刻で、約22時間の間に15回近く発生しました。
特にエリア切り替えが魔境で、隣のエリアに行こうとしたらエラーで強制終了、というパターンが多いです。PS4版だけかと思ったら、Twitterで検索した限りではSwitch版でも報告多数とのこと。

 もっとも、オートセーブかつエリア自体も小さめなので、致命的な巻戻りはほとんどないのが救いです。エリア探索が佳境に入ったところで強制終了すると、そこそこ大変な戦闘も全部やり直しになるのが辛いところですが……


△バトルがやや惜しい


 本作の独創性の大きな要素を占める(と勝手に思っている)のが、このRPGライクな戦闘なわけですが、実際に遊んでみると、想像していたような楽しさはありませんでした。
理由は複数思いつきます。

 まず第一に雑魚戦のリターンが少なくて、実質ペナルティと化していること。
勝利したところで入手できるのは僅かな量の「錆」(クリエイト素材)と、戦闘以外でも充分溜められる「親密度」だけで、達成感に乏しいです。
 エリアの錆を全部取り除けば、エンカウントしていない生物も全員大人しくなるので(恐らく)、余計に徒労感が強いです。

 第二に一度戦闘突入すると逃走不可なこと。戦闘に入りたくなければフローバーストで吹きとばせということなのでしょうが、敵対生物が錆や背景に溶け込んでいるのがザラで非常に視認性が悪く、気が付かずに接触してしまったこともあります。

 最後に、一人プレイだと戦闘が忙しすぎること。
PS4の場合、左の十字キーでケイ、右の○×△□ボタンでユウのコマンドを入力するわけですが、敵対生物の動きを観察しながら、左右ほぼ同時に別々のコマンドを入力するというのがなかなかに忙しく、片方が放置状態になりがちです。

 自分側の操作で忙しいので相手側を観察している暇もなく、タイミングがずれて鎮静化(トドメ)失敗、カウンター攻撃でみすみす大ダメージを喰らうなどが多発します。
 中盤以降から出てくる生物はその手の面倒な特徴を備えているのが当然となり、そういう手合いが複数種類同時に出現した時には何がなんだかわからずに悲惨なことになります。
 効果の薄い攻撃やカウンター誘発攻撃を二回目以降になっても事前に教えてくれないので、自分でメモを残したおいたほうが良いかも知れません。

 とにかく、こうした不便や理不尽が積み重なって、あまり戦闘したいとは思えませんでした。中盤以降は一戦一戦に時間がかかるようになり、リターンのしょぼさも際立つので、面倒なエンカウントをしてしまったらその場でリセットしていました。なにげに全滅回数がトロフィー取得にも関わるので。
 特に捕縛してくる連中との戦闘は、下手するとハマりかねない(捕縛の頻度が高くて、片方の行動不能を治した直後に捕縛の無限ループ)理不尽難易度で、少々調整不足に感じました。

 個人的にですが、この戦闘システムなら雑魚戦くらいはもっと気軽に、HPのやりとりだけで収まる難易度のほうが楽しかったかなと思います。ギミック持ち生物はエリア中ボスとかにしてメリハリをつけたほうが。

 長く不満を書き連ねてしまいました。
とはいえ極端につまらない訳でもなく、そこそこの緊張感をもって遊べます。シンボルエンカウントかつ出現量も少ないので、エリア浄化に必要な数(シンボル1~2体?)だけ相手にする感じでやれば投げ出すほどではないです。


△少々説明不足に思える点がある


 初期のチュートリアルこそ充実しているものの、何点か説明がおざなりに感じました。

 システム面では「スレッド」を追跡してどういう効果があるのか、初めはよく解りませんでした。スレッドのチュートリアルはあくまで操作練習に過ぎず、実際はフローの補充や特定地域への移動などを兼ね備えるかなり重要なシステムなので、あと一言二言ほど付言されていると安心でした。

 ゲーム開始から専門用語を連発するストーリーもとっつきにくさを感じました。
ゲームを進めていくうちに自然と過去のことも語られる構成なのですが、プレイヤーはゲーム開始時点では世界設定などほとんど知らないので……



【まとめ】


 発売前に期待していた通りの素晴らしい内容……とまではいきませんでした。
頻発するエラー落ちと実質ペナルティの戦闘が評価を下げる要因となってしまっています。ローディングも気にしだすと長めに感じます。
 戦闘は回避手段があるとして、エラーやローディングなどの技術的な問題がモチベーションに影響してしまいました。

 ただ、独特のプレイ感覚やBGMは非常に印象的でした。
自分の中では良作の部類で、低空飛行しながらの探索や本拠地での何気ない生活は充分に没頭できました。本拠地は宇宙船なのに、自分が住んだどの家よりも充実していて羨ましい限りです。
 もっとも、大切なのは住居ではなく、ケイとユウのように心から信頼を育める相手が傍にいるかということなのでしょうね。
 しかしあの星は景色こそ綺麗で食料も豊富だけど、石を切り出さない限り住居を建造できそうな素材に乏しいのがネックですね。廃屋を転々とする方法もあるにせよ……
 かなり設定が細かそうなので、続編も作ろうと思えば可能でしょうが、話としては綺麗に完結しているので、美しいまま終わって欲しいような気もします。この2人がまた軽口を叩き合いながら、よその星を巡ったりする話も見たいものの。

 











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