ゲームクリア感想198_Tell Me Why(XSS版)

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 XBOX GAME PASSに加入してから最初にクリアしたゲームとなりました。まだまだ遊びたいGAME PASS対象ゲームは沢山あるので、ようやく第一歩というところです。

 本作はライフイズストレンジと同じDon't Nod社(今年6月に社名変更)開発で、クオリティは確保されたようなもの。安心して始められました。


【主なプレイ環境】
ハード XBOX Series S(Xbox Game Pass)
バージョン 
難易度 設定なし
クリア時間 11時間40分(実質10時間で残りは実績収集)
実績取得数 24/30


【良かった点】


◎この手のゲームにしては移動速度が速め


 全編がサクサク歩ける訳ではないものの、屋外だとたいてい小走りやダッシュが効くので移動のじれったさはそこまで感じなかったです。この手のゲームにありがちな歩きオンリー移動を覚悟していたので嬉しい驚きでした。
 正直、歩きのほうがリアルと言えばそんなことはなく、屋外なら逆に小走りくらいのほうがリアルでは? という気づきを得ました。


◎実家整理というシチュエーションの良さ


 以前から思っていました。実家整理や遺品整理にはゲーミング要素が多分に含まれていると。本作を遊んで確信しました。
 遺品整理による記憶の追体験、本人以外解除方法を知らないギミックを手探りで攻略、故人の知人との気まずい会話、整理方針を巡っての口論、買い出しパートや屋外息抜きパート、墓参りパートなど、遺品整理あるある(?)が盛りだくさんで、国が変わってもおなじみの現象なのだと思いました。もっともストーリーはかなりハードな内容ですが……

 ただ、あくまでストーリーメインのゲームでアイテム整理パズルではないため、片付けのいい加減さが気になってしまうのは我慢するほかありません。

「実家の洗面所」感




◎アラスカの雰囲気


 業界最先端高グラフィックというわけではないですが、少々粗めでもプレイ中は殆ど気になりません。そのぶん細かい動作や効果、空間の雰囲気作りが丁寧で、アラスカに行ったこともないのにリアリティを感じます。

 個人的に好きなのは、調べて引っ張り出した道具や引き出しをちゃんと元に戻すことです。現代社会では開けたものをそのままにしておく方が不自然なので、このこだわりは好感が持てます。

 また、アラスカというゲームの舞台になりそうであまり見ない場所なのも新鮮。地名を聞いてイメージする通りの大自然だけではなく、地元の市街地も丁寧に描写しているのが良いですね。


正月のベランダからの眺めという趣

アラスカの大自然




○謎解きで詰まることがまずない


 謎が解けなければ物理的手段で解決可能です。プレイヤーのミームとかではなくて本当に物理で解決できる珍しい例。


 真面目な話、大人の後始末に子供が責任を感じて悩む必要がない、というメッセージなのかも知れません。ギミックがなかなか凝っていて、作中で主人公たちですら愚痴る始末。



【気になった点】


△リプレイ性の低さ


 選択肢による影響がライフイズストレンジほどには強くなく、どの選択肢でも会話に大幅な変化はないので、その回収のために周回する気にはなれませんでした。

 あと、チャプター選択機能があるとはいえ、チャプターごとの収集物の残数などは表示してくれないので、やや不親切に感じました。ちなみにこの実績も、ライフイズストレンジよりは捻った内容で取り逃がすとそこそこ面倒でした。謎解きもそれなりに気合が入っているので、より周回が億劫に感じます。


△真相に近づくにつれ凡庸に感じるストーリー


 全3エピソードの中で、最終エピソードが一番パッとしなかったです。

周囲の人間も主人公たちの言動に対してちょっと物分りが良すぎるし、謎解きギミックは凝りすぎてリアリティがないし、ご都合主義が垣間見えました。ふたりの幼子を抱える親が子に知られずあれだけの細工を……?


 ストーリー自体が良いというよりは、リアリティを出すための取材力が優れているという印象です。

 ストーリー自体は良くも悪くも人を選び、人生の普遍的な悩みに共感して感動した、と安易に言えない雰囲気があります。

 言うなれば本作はあくまで主人公である双子の物語で、双子の行動や言動に疑問を抱いてもこちらからは大したアクションは取れず、その間にもふたりは周囲の人間を責めて回るので、それに順応できないと正直かなりイライラさせられます。


 私は黒幕含む周囲の人の言い分も理解できるので、やたら周りに当たりの強い双子と、好き勝手生きた毒親(このブログでこのワードを使ったらコメント欄で批判されたのですが、今回こそ紛れもない毒親だと思うので遠慮なく使います)の誰にも好感を抱けないままゲームを終えました。結局の所、都会から来た意識の高い人が田舎町を荒らすだけ荒らしただけでは? という見方は卑屈すぎるとしても、ライフイズストレンジ2に感じた主人公s万歳の雰囲気を感じてモヤモヤしました。


 もう製作者の中では「エンパワメントしたい側」と「無理解な善人(一部は悪人)」が決まりきっているので、選択肢があっても大してプレイヤーの意思が反映された感じがしません。最近ではホライゾンFWにも同じ様な感想を書きましたね。


 でもこれで正解なのでしょう。この疎外感は「エンパワメントが必要な側」がいつも感じてきたことなのでしょうから……

 実際に黒幕は責められて当然だし、善意の人間たちが主人公たちを追い詰めてしまっているのも確かだし、母親に問題があったのも事実だしで、状況を考慮すれば仕方ない面もあります。


 それにしても、このメーカーは家族複数人を主人公にすると関係性萌えが爆発して暴走する傾向にありますね。個人的にはライフイズストレンジTCくらいの距離感が一番腑に落ちました。



【まとめ】

 ゲームとしてはなかなか充実した内容でした。近年のライフイズストレンジや、数あるストーリーメインのインディーADVにどことなく不満を抱いている(ボリュームなど)人でも満足できると思います。それらに不満がない人はより楽しめます。

 注意点としては実績集めがやや不親切なことと、ストーリーやキャラクターが人を選ぶことくらいです。日本語字幕の誤字などは許容範囲内でした。あ、あとボタン判定も狭くて立ち位置の微調整をしがちかも。

 しかし、同じ実家整理もの(?)The Suicide of Rachel Fosterもそうですが、このジャンルは言動が危うい主人公が多いですね。ジャンルと言うよりも、実家整理という否応なしに過去と向き合う行動が遺された者たちの感情を暴くのでしょう(リアルでも高確率でたいてい誰かしらイラつきだすし)。そういう意味でも実家整理はゲーム向けの題材だと思います。






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