ゲームクリア感想208_ゼノブレイド3

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初代に匹敵する名作でした。

このシリーズ自体どの作品も一長一短で、巷間で言われているよりも人を選ぶと思っているのですが、今作が一番とっつきやすいです。結局一ヶ月半近くこのソフトに注ぎ込みました。
正直なところ2の失望が未だに癒えず、今作ですらろくに発売前情報を調べていなかったくらいで、まさかここまでハマるとは思いませんでした。初代(Wii版)の記憶も薄れつつある今、もうこのシリーズに接近することはないのだと悲観していたのですが、杞憂でした。そして、いざこうして新作を迎えると、あれだけ文句をつけていた2やクロスも悪いところばかりではなかったということを再確認できました。

結果として、今作をクリアすることでシリーズ自体に再び希望を持つことができました。
本当に救われた……



【主なプレイ環境】
ハード Nintendo Switch
バージョン ver.1.1.1
難易度 ノーマル
クリア時間 約 154:03(クリア後の裏ボス撃破までは201:43)

※ヒーロークエストは全部クリア、サイドクエストは95%くらい、ユニークモンスター撃破は90%くらいの達成度です。

【良かった点】


◎シリーズの不満点をほぼ解消している(特に前作)


ユーザーの利便性より自分たちのクリエイティブ性を重視する制作陣だと思っていたので(実際はそんなことないのでしょうが)、これは嬉しい驚きでした。

2にあったガチャやら条件付きフィールドスキル、ミニゲームやらの面倒極まりなかった要素は廃されました。もう対応するフィールドスキル持ちブレイドにいちいち付け替えたり、育成のためにさほど面白くないミニゲームをやったりする必要は皆無

UIも一般的なレイアウトになり、利便性が高まったと思います。頻繁に開くメニュー画面が使いづらいのは初代から続く問題だったと認識しているので……


またチュートリアル及びTIPSはやり過ぎなくらい充実しており、整然とした文章で必要な情報を語る明快な内容となりました。複雑なシステムをひとつひとつ段階を踏んで教えてくれるので、途中でシステムを忘れても文章や模擬戦でいつでも復習できます


あと、初代で整理に難儀したジェムの簡略化が非常に助かりました。同種の上位互換をひとつ作れば下位が一切必要がなくなる思い切った仕様で、付け替えのたびにごちゃごちゃアイテム欄を探る必要はなくなりました。
また、切り替えや上位互換作成のたびに装備したジェムもオートで最適なものに付け替えてくれる親切さも。


戦闘やストーリーに関しては別枠でも書きます。

とにかくストーリーのノリがまともになったのが一安心です。


UIなしのスクリーンショットも撮影可能です(LR同時押し)




◎戦闘がやりやすくなった


クロスや2より「腑に落ちる」システムになっていてとっつきやすかったです。「なんでそうなるの?」という疑問が生じないというか。その分綺麗にまとまってしまい2のような勢いにはやや欠けるきらいもありますが、それを差し引いても便利・快適・爽快で、正直もう過去作の戦闘には戻れないです。

戦闘は各種要素が解放されて面白くなるまでが長いものの、それを乗り越えればシリーズでもトップクラスにサクサク戦えて楽しいです。終盤ともなると強敵相手に5桁6桁ダメージが派手に乱れ飛び、そこにシリーズおなじみのユニークモンスターBGM(「名を冠する者たち」)でもかかれば大盛り上がり! 今回のBGMは篠笛の音色が非常に効いていて新鮮なテンションの上がり方をします。

また敵の種類がある程度分類され、オープンワールドRPGにありがちな雑魚戦のモチベーションが湧きにくい問題が解決されています。強さ据え置きでドロップアイテムだけ良い「ラッキーモンスター」だけを狙うとか、名前に枠付きの「エリート」「ユニーク」だけは必ず倒すとかの指標が立てやすくなり、実際漫然とザコ敵と戦うよりも有用なのでとてもいい仕様だと思います。

私は基本的に襲われたら応戦、それ以外はラッキー・エリート・ユニークだけを狙うという形で進めていましたが、それで戦力不足に陥ることはなかったです。


あとオート戦闘が超快適。位置取りやアーツ発動のタイミングまで計算して戦ってくれるし、なんならチェインアタックまで発動してくれるので便利だし、頭が良いので自操作の際の参考にもなります。終盤の育成なんかは高レベル帯ダンジョンに入ったら会敵だけこちらで操作してあとはオート任せでした。


飛行モンスターのターゲッティングがまごつきがち、戦闘自体はテンポが良いのにチェインアタックで長引いてしまう(後述)、などの諸問題はありますが、総合的にはシリーズで一番戦闘を楽しめました。初代のシンプルさや2の異常な盛り上がりもクセになるものの……ちなみにクロスは300時間以上注いでおいて未だにシステムを把握していないです(オーバークロックギアを長続きさせる方法を毎回忘れる)。



現時点での最高記録です

一見ごちゃついたUIですが割と直感的に選べます






○ストーリー


クロスの稚拙さや2の下品さに辟易させられたので一番の警戒点でしたが、かなりまともになっていて安心しました。メインクエストは中盤過ぎ辺りまで安定して興味深く、終盤ちょっと間延び感があったもののエンディングは印象に残りました。エンディング曲は今回が一番好きです。
サイドクエストやヒーロークエストもクオリティの差こそあるにせよ、そこそこ読み応えがありました。

なんというか「持たざる者の悲哀にどう向き合うか」というテーマをこのシリーズで描写されるとは思わなかったので新鮮だったし、持たざる者として心に残りました。壮大な世界観との食い合わせが良いかと問われると微妙なところはありますが……


あと、主にクロスと2で顕著だった萌えオタク媚びは控えめになり、一部で指摘されていた2の難民冷笑とかも把握している限りではないです。初代路線と思って差し支えないでしょう。ただ、一部のコロニーに関するクエストだけあからさまな萌えオタク向けのノリで、控えめになったというよりゾーニングされたという感じです。もっともそれですらストーリーでカバーできているので全体的には持ち直しています。

正直2のノリをゴリ押しすると思っていたので、ここで初代のテイストを濃くするのは意外でした。2のストーリーは序盤早々から嫌な予感がしたし、結局それが的中してしまったのを未だに引きずっていたのですが、今回でその失望は癒えました。


【気になった点】


×BGMの切り替えがやたら多い


これが最大のがっかりポイント。
メニュー画面を開くと専用BGMに切り替わるので、せっかくのフィールド曲があまり印象に残らないです。マップやクエスト確認、クラスやアクセサリーの付け替えやらでとにかく頻繁にメニュー画面を開くゲームなのでこれは致命的でした。これだけBGMに注力しているシリーズなのだから気が付きそうなものですが……どうしてこの仕様になったかは不明ですが、すごくもったいないと思います。

戦闘も同様で、チェインアタックを発動すると専用BGMに切り替わります。専用BGMでテンションが上がるのはチェインアタック解放直後くらいで、それからは正直「いいからさっき流れてた戦闘曲のままにして! 」という気持ちでいっぱいでした。

特にユニークモンスター戦は高頻度でチェインアタックを発動するので、余計に気になります。今作の「名を冠する者たち」で一番盛り上がる篠笛パートとチェインアタック発動可能になる間隔が被りがちなので、BGMが一番盛り上がるタイミングで別のBGMに切り替える判断を下すことになり、自己責任とはいえストレスでした。

曲を聴きたいだけならフィールドは放置、バトルは−ボタン長押しのギブアップ画面で放置すれば聴けるものの、やっぱりコントローラーを動かしながら味わいたいところです。



△テンポが悪くなりがちなチェインアタック


上のBGM切り替えと合わさってもやもやするポイント。これに関しては色々なレビューでさんざん指摘されているので今更なんですが、可能な限りこれをやらないとレベル上げが非効率になってしまうので、途中終了ボタンを押したくなる誘惑を退けながらチェインをつないでいました。

なにが辛いかというと、チェインアーツの演出をスキップできないこと。特にウロボロスのチェインアーツだと小用を足して戻ってきてもまだ終わってないくらい長いです。

ただ、終盤やクリア後になれば高レベル帯ダンジョンを戦闘オート周回するだけで(レベル差で)モリモリとレベル上げできるし、序盤〜中盤でも、発生したクエストを全部こなしていけばメインの推奨レベルを軽々と越えて楽できるので、今となってはそこまでのマイナスではないかも……



△移動速度の遅さ含む操作性


操作性は悪いとは言わないものの快適とも言えずといった感じです。操作感が軽快なのはシリーズの特徴として、ロープスライド含む狭いところの移動で落下しがちなのが気になります。特に登攀中左右にずれて落ちたりするとなかなかの時間ロス。
また、移動速度は世界の広さに対して遅く感じます。終盤で達成できるスピードランナー100%の速さがちょうどいいので、これをデフォルトにして欲しかったところ。その上で100%にするとより速くなる感じで。



△ダレがちなサイドクエスト


単純なお使いなのはいいとして、やたら小刻みな目的変更が多く煩わしいというのが率直なところです。行った先で別の用事を複数言いつけられ、一通りこなしたら報告に戻り、戻ったら依頼人が不在で捜索に…みたいなパターンが多い気がします。
討伐系クエストは現地でクリアしたらその瞬間に達成になる(報告に戻る必要がない)のが初代とクロスの美点だったと記憶しているのですが、今作は大半のクエストで報告に戻ることになり、昔の快適さを知っているとなんだかなと思います。



△ようやく持ち直したとはいえやっぱり気になるストーリー


未クリアの方は以下ご注意下さい↓↓↓





一番気になったのが、主人公たちが結局は敵側の問いかけに答えきれていないのではないかということ。
「世界を変えたいならまず自分を変えろ。自分だけの得意なものを大事にしろ」みたいなことを伝えたいのだと思いますが、それ自体が強者の考え方というか、結局「弱者は弱者だけで問題を解決せよ。強者に目線を向けてくれるな」みたいな強者擁護にしかなっていないように思えました。

ウィークネスフォビアというよりも、己の心と行動次第で世界を変えられる! みたいなことを伝えたいのでしょう。ただそれは強者が弱者を拒否する際の常套句な訳で、弱者が胸襟を開いて「助けてくれ!」と言っているのに正論しか返せない主人公サイドには終盤につれ幻滅していきました。

AUTOMATONのレビューなんかでは強者/弱者のバランス感覚を絶賛されていましたが疑問です。置かれた場所で咲きたくない! と言っている弱者サイドに対して、いや置かれた場所で咲け!と返している強者サイドに好意的過ぎない?

とは言え主人公たちは基本気のいい面々だし、最終的には「世界のシステムが悪い!」といった点に着地するので全体的に不満というほどではないです。




【まとめ】

本当に遊んで大正解でした。まさかここまでの集大成作になるとは予想外だったので……

気になる点はあれど、全体的にはとても満足の行く内容でした。期待外れだったからといって「もうこのシリーズに次はない! あっても次がラストチャンス! 」みたいに勝手に悲観するのは今作、せめて来月のスターオーシャン6で最後にしようと思いました。

あと今から遊ぶ方は、ヒーロークエスト(アイコンが黄色いやつ)は最優先でクリアしたほうが良いです。これを進めることで解禁される要素が有用ですし、ストーリー的にもほぼメインクエストみたいなものなので。ちなみに二段階あり、二段階目の開始条件はシステムの「ヒーロー図鑑」で確認できます。

また、エンディングを迎えたときの勢いでエキスパンション・パスも購入したので、少なくとも来年12月までは起動することになりそうです。恐らく複雑な戦闘システムを忘れることうけあいなので、今のうちにメモでも残しておこうかと思います。

続編に関しては、シリーズ4作で十分お腹が膨れたのでしばらくはいいかなという感じです。今作が集大成だし、これ以上となるともう現行Switchより先のハードで体験したいところです。特に戦闘システムはチェインアタックのテンポ崩れだけ解消できたらほぼ完成形なので、これ以上はなかなか想像できないですね。

ゼノブレイドのパブリックイメージに近い風景で締めます



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