ゲームクリア感想194_モナーク(PS4版)

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正直もう、出ないペルソナよりも出るフリューみたいな思いです。

 いきなり失礼しました。
本作は昨年10月14日発売の完全新作RPGです。開発はランカース、発売は上記の通りフリューです。ちなみに両社のゲームをクリアしたのは初です。

 自分の場合、製品版引き継ぎありの体験版を昨年の内に進めて、約半年後になってようやく製品版に引き継いで着手したという形になります。

 何を隠そう、体験版段階ではかなり不安でした。PS3初期感ある粗いグラフィック、テンポの悪い会話シーン、もっさりして仕組みのよくわからない戦闘、今となっては眩しい中2ノリ、そこまで魅力を感じない仲間(無機質な眷属たちとよく知らない相方)など……それでも何らかの片鱗は感じられたので、思い切って製品版を購入しました。

 大正解でした。心からそう思います。
RPGのストーリーでここまで「喰らった」のは2019年のFE風花雪月以来かも知れません。ほかには昨年の新すばらしきこのせかいや、約2ヶ月前のトライアングルストラテジーも良かったですが、なんというか自分の人生に「響いた」度合いではこの中で一番です。ほか三作はゲームとして高水準だという感想が先に来るのですが、テーマの掘り下げや語り口では本作がとても刺さりました。

 ただそこに至るまでがそこそこ苦難というか……ただでさえ人を選ぶ雰囲気なのに、序盤のとっつきの悪さでそこから更に篩いにかけられてしまうのがもったいなく感じます。かくいう自分も製品版購入にはかなり悩んだので。

しかし確実なのは、一度刺さればずっと心に残るゲームになるということです。


【主なプレイ環境】
ハード PlayStation 4
バージョン 1.03
難易度 カジュアルモードOFF(ノーマル相当?)
クリア時間 092:00:56
トロフィー取得率 76%


【良かった点】


◎今を生きるのが少し楽になる(かも知れない)ストーリー


 中2的なノリにうわぁ……となるのは最序盤だけで、かなり普遍的なテーマを語るストーリーに次第に引き込まれていきました。
 
 第一部はなんというか、この類のゲームの雰囲気から予想できる範疇に収まっている感じもあるのですが、第二部(厳密には第一部の終盤)からの展開が非常に秀逸で、グッとどころかグオオオオッと引き込まれ、そこからゲーム時間はすべて注いてエンディングを急ぎました。

 始めはあまりピンとこない相棒たちも、一貫したテーマを繰り返し語るストーリーの中でやがて全員好きになりました。無機質な眷属たちも苦難を共にしていく中ですっかり愛着が湧き、もうネームドキャラクターみたいな存在感です(戦力的にも人間より強い)。

 とにかく、第二部以降が素晴らしかったです。序盤〜中盤でまだ面白さが見いだせない場合は、とりあえず第一部をクリアしてから再検討しても遅くないと思います。


◎ストーリーと相互補完する楽曲群・BGM


 音楽のちからが非常に強いゲーム内容でした。
特にボス戦などで流れる歌ものがとても良く、もう昨年の段階でサウンドトラックを購入してしまい、この記事を更新している今もひたすら聴いています。
 戦闘シチュエーションと違和感がありそうな曲調でも不思議と齟齬は感じず、聴こえてくる歌詞とストーリーのリンクに浸ることができて、むしろ最高に魅力のある演出となっています。
 
 一応公式youtubeで試聴(クリック注意)できるものの、ゲーム内で流れるのを聴く体験には敵わないので、ちょっと勿体ないことをしたかなぁと思います。うっかりゲーム内で聴いていない楽曲を再生しないように気をつけていたものの、操作ミスとかで何回か再生してしまったので……歌詞がストーリーとリンクしているのでネタバレに直結してしまうんですよね。

 それはそうと、ラスボス戦は曲のイントロだけで泣きました……


○ジュブナイル×ホラーな世界観


 ホラーゲームほどの怖がらせ要素はないものの、霧が立ち込め「異常化」した空間の不穏な雰囲気や、リアルタイムで「MAD」(狂気度)が上がっていくなかで謎解きに駆け回る感覚は自分好みでした。

 とはいえホラーはメイン要素ではなく、「MAD」(狂気度)にしても保健室で一発全回復できます。探索範囲も狭くジャンプスケアもほぼないので、過剰な警戒は不要。
 「理解すると怖い」みたいな静のホラーです。






 

○ワンシチュエーションながらかなりのボリューム


 ほぼほぼ学園の中で完結するにもかかわらず、体験としては超大作RPGをクリアした気分です。もちろんレベル上げ作業や謎解きにおける見当違いの探索、単純な放置など、生産的とは言えない時間も含まれていますが、振り返るとゲーム体験の濃淡がそこまで激しくなかったというか、何をしている間でもそれなりに没入していました。

 レベル上げにしても、より効率的に周回するための試行錯誤や、スキルを覚える順番の検討など、存外作業感が希薄で、もうレベル上げという行為に耐えられなくなった身でもなんとか持ち堪えられました。やはりどうしても結末を迎えたかったというのが大きいですが……


○比較的軽快な動作・操作感


 振り返るとこれが地味に重要で、もっさり感あふれる会話イベントとのバランスを上手く取っている気がします。ローディングはエリア切り替えの時の数秒くらいで、戦闘は高速化可能、移動速度もそこそこです。

 また、霧が立ち込めている場所でなければファストトラベルもセーブも無制限なので、たいてい思った時に思った行動ができます。オートセーブも当然あり。
 強制終了は、戦闘前の編成画面から育成画面に移った時に一度発生しただけで、90時間超えのゲームプレイ中はとても安定していました。ちょっとカクつくくらい?



【気になった点】


△ゲームテンポの悪さ


 少し進んで会話イベント、また少し進んで会話イベント……また少し進んで、という具合で、ストーリー追跡時の操作時間はかなり少ないです。会話イベント自体ももっさり棒立ち会話で、設定でメッセージ速度を最速にしてようやく適切になるくらい。緊迫感にも欠けます。

 特に序盤が鬼門です。キャラクターの顔見せやチュートリアルも兼ねているので、相当テンポが悪いです。
 それ以降はマシになるものの、もっさり感が緩和されるというわけでもなく、第二部突入後はストーリー展開上かなりダレがちになります。敵も強くなり、ストーリーを追うよりもレベル上げの必要性ばかりに駆られ、恐らくモチベーション管理が難しくなると思います。

 ちなみに本作はマップ上でのエンカウントが存在せず、戦闘エリアに繋がる電話番号に電話して戦闘する、という特殊な仕様となっています。そのためストーリー上の強制戦闘では育成に必要なSPIRIT(経験値)が不足し、レベル上げ作業が半強制となります。

 もっとも、この長い「溜め」があるからこそ終盤の展開が映えるとも言えるのですが、せめて第二部突入後のあれはもう少し縮まっていると良かった気もします。

 個人的には、レベル上げにある程度の目標を設けて(敵のレベル+5で抑えておくなど)主体的にモチベーション管理するのが重要だと思います。幸いにもレベル差がそこそこ大きいゲームなので、レベル上げによる強化を実感しやすくモチベーションに繋がります。

 また制限などはないので、レベル上げが一切苦痛にならないのであれば序盤〜中盤からラスボス撃破の適正レベルまで上げるのも可能です。

戦闘はマス目なしSRPG。古くはアークザラッド精霊の黄昏のような

リスクが高くて滅多に使わない発狂覚醒




△一部痒いところへの手が届かなさ


 教室の机の間などの狭い通路で相棒が道を塞いでしまう、編成画面からリタイアできず一旦戦闘突入してからリタイアするしかない、横並びのキャラクター欄がソートできないなど……レベル上げ必須なのに、育成周りがちょっと不親切かも。



【まとめ】

「良作」や「賛否両論だけど自分は〜」などといった言葉で語るのはふさわしくない気がしています。これこそ月並みな言葉ですが「このゲームをクリアして良かった」という素朴な感想が一番近いです。クリア以前と以後では、少しだけ心持ちが変わった気がします。

 ストーリー・戦闘・システムなど、ゲームの構成要素がひとつのテーマに向かって構成されていて、無駄らしい無駄がなく一作で綺麗に完結しているのも体験の純度を高めていると思います。
ストーリー・戦闘・BGM・システム
 一方で全体的なもっさり感、序盤のとっつきの悪さがやはり人を選びます。
それでも興味のある方は、まずは製品版引き継ぎありの体験版をオススメいたします(ハードはPS4/PS5/Switch/Steam)。
体験版のボス戦に至ってなにか感じるものがあれば、是非製品版を購入してみてください。



こういうTwitterのバズツイートみたいな文体は避けたいのですが、まっすぐお伝えします。

今から始められる方は、絶対にスタッフロールの最後まで見届けて下さい。

何ヶ月でも何年でも掛かっていいので、絶対にクリアしてください。

 途中で飽きて長期間空けてもいいです。謎解きやレベル上げのコツは詰まったら攻略を見て構わないです。私もそうしました。
 あと可能なら、ボーカル曲入りのサウンドトラックはクリアまで我慢するか、解禁された曲だけ聴くようにした方がより高濃度な体験になります。

 とはいえ、序盤は色々な意味でキツいと思います。
まずはメッセージ速度を最速にするなど設定をいじりまくってストレスを軽減し、レベル上げはほどほどにまずはストーリーを進めて下さい(序盤は稼ぎがショボいので非効率)。
 3~4人目の相棒あたりからボスが強くなってくるので、勝てなくなったら敵のレベルから3~5くらい上げると安心です。ちょうどこのあたりで戦闘にも慣れ、レベル上げ周回の効率も上がってきます。ここまで来たら脱落の心配もなし。

 第二部に突入したら、ゲーム最大とも言えるダレポイントがありますが、そこさえ乗り越えればクリアしたも同然。あとはエンディングを迎えてください。


その他初心者向けアドバイス


・色欲ノ眷属が加入したら(人によってタイミングが違う)最優先で育成。「広域精神発熱」と「全域攻撃(氷の方)」を覚えさせればレベル上げが格段に楽になる。

ちなみに主人公は「広域(か全軍)共感」「権能否定」「取得SPIRIT上昇(余裕あれば)」がほぼ必須。


・レベル上げは中盤なら「豊穣の狩庭」3か4。背伸びせず周回しやすいやつにする。


・育成は無理に取得コストの高いスキルを狙わず、下の方の取りやすいものからバンバン取っていく(バトルに勝てないと本末転倒)。高コストスキルは効率よく稼げるようになってからでもOK。


・よく使うスキルは「お気に入り」登録でウィンドウ上に表示できる。


・オルタエゴ(浮遊している赤黒い石)は見つけ次第場所と取得条件をメモしておいて、条件達成次第即入手。ステータス上昇の恩恵がそこそこ大きいため。


・なにか進捗があるたびに、心理テストしてくれる学生(学年ごとに一人ずつ)のところに行く。エゴが上がってオルタエゴが取りやすくなる。


・戦闘前の編成画面からも育成や装備変更可能(挙動が重く強制終了しやすいので注意)。








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