ゲームクリア感想 188_トライアングルストラテジー

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とてもハマりました。

 本文二行目からいきなり総括めいた言葉で恐縮ですが、この手のSRPGはやっぱり自分のプレイ感覚に合いますね。SRPGは全体的にダレがちで、それを思うと始めるまでの腰が重く、なかなか完全新規作品に手を出しにくいなぁと思っていたところ、ピンポイントでその辺を解決してくれる作品が出たと感じます。

 具体的には「ファイアーエムブレム以外の」「旧作のようなもっさり感のない」「ダレない程度に音楽やストーリーが良い」現代のSRPGを探していたのですが、現時点では本作が一番近いです。



【主なプレイ環境】
ハード Nintendo Switch
バージョン 1.0.2
難易度 Normal(二周目のみ一周目と同一ステージはeasy)
クリア時間 
42:44(一周目) 82:30(二周目)

エンディングは一周目がMoral、二周目が真エンドでした。
メイン起用はセレノア・フレデリカ・ジーラ・アンナ・ヒューエット・エラドール・ユリオ・デシマル・トリッシュ・(ネタバレ防止)の10人で、状況に応じてロラン・ピコレッタ・コーレンティン・イェンスなどを出入りさせていました。

トライアングルストラテジー画像01

トライアングルストラテジー画像02

トライアングルストラテジー画像03
これらの画像から漂う雰囲気に反応する層が確実に存在する



【良かった点】


◎「巻き戻り」がほぼ発生しない


 これが現代的というか、本当に助かりました。
仮に全滅してしまっても全滅時の経験値取得状態を引き継ぎ、一方でアイテムの消費および入手状態は元に戻るという超親切設計なので、実戦を何度も繰り返していればいずれは勝てる流れになっています。自分の場合、難易度Normalなら基本的に実戦+想定バトル各一回(いわゆるフリーバトル)くらいでなんとかなりました。

 また、この仕様だと「レベル上げ」という作業もあまり必要ないです。レベル差があればモリモリレベルが上がるので、フリーバトルにこもって黙々とボスチク・ヒーラーチク(ボスや回復能力持ちの四方を取り囲んで適度に生かしながらチクチク攻撃してレベルを上げる作業)する必要は薄かったです。実戦でヒーラーチクを何回かしたくらい。

 もうゲームジャンル問わず「レベル上げ」という行為に耐えられない身になってしまったので、これは本当に助かりました。SRPGのレベル上げはオートがあったとしてもダレるので……
 また、二周目もほぼすべての要素が引き継がれます。一からやり直す必要はなし。ついでにオートセーブも比較的細かい気がします。戦闘中に2回ほど強制終了しましたが、戦闘の10手くらい前から再開されました。

 とにかく、痒いところに手が届く仕様でした。これがなかったら二周目は手を付けなかったかも。


◎先の読めない緊張感あるストーリー


 細かいところで気になる点はあるものの、全体を通してみると先が気になるストーリーでした。
 タクティクスオウガやFE風花雪月のような、選択一発のインパクトの代わりに、じわじわ心を蝕んでくる選択の積み重ねがあります。これで病まない主人公一行は偉すぎる。

比較的明るいノリなのはせいぜい2章までと一部の挿話、あとは真エンド終盤くらいでしょうか。


 ほとんど先が読めず、たいてい誰かの余計な思惑で望まない事態を招いたり、善いことをしたつもりが一方で逆効果、などというのがほぼ毎回で、勝利の高揚感みたいなのはリザルト画面の一瞬しかない始末。17章付近に至ってはもう勘弁してほしいというレベルです。

 とにかく辛い展開が続きますが、故に一周目でエンディングを迎えたときは沁みました。


 ですが警戒は不要。これらの鬱屈は真エンディングルートである程度吹っ飛ばせます。

このルートは特定の手順 (検索すればいっぱい出てきます)を踏めば辿り着けるルートで、まさに三方よしといった結末となります。

 今どき珍しい、良く言えば正統派、悪く言えばベタな展開が真っ直ぐすぎて今の自分のは刺さり、気がついたらセレノアたちに感情移入して連戦連勝、両眼を潤ませながらスタッフロールを眺めていました。ご都合主義的かも知れないけど自分はこのルートをクリアしてよかったと思います。


しっかり探索して情報を集め、かつ相手に響きそうな言葉選びが重要




◎BGM


 無教養ゆえ、作曲者の方(公式サイトリンク)をこのゲームで初めて知りました。SRPGは何かと長考するためBGMがかなり重要であると思っているのですが、その点でも良かったです。曲自体の良さだけに収まらずインタラクティブ性も意識されており、敵ボスと接敵するとBGMが変化したりしてしっかりツボをついてきます。
 サウンドトラック公式サイトの表記に従うと下記の楽曲が特に好きです。

  • TRIANGLE STRATEGY -Main Theme-
  • Combat-鉱山-
  • Combat-逆境-
  • Combat-決戦-
  • Combat-宿命-
  • 決意を胸に
  • 譲れぬ思いを槍に込め-ロランの願い-


◎かつてないほどの好感度を有する主人公


 これまでそれなりの数のゲームを遊んできましたが、本作の主人公、セレノア・ウォルホーとに勝る好感度を持つ主人公はパッと思いつかないです。
 性格よし・言葉遣いよし・振る舞いよし・声よし・性能(比較的)よしと、なるほど人望を集めるのも頷ける人物像で、作中でも言われる通り王の器です。
 とはいえ完璧超人という訳でもなく、プレイヤーとたいてい同じタイミングで悩むときはしっかり悩み、悲しむときはしっかり悲しみ、怒るときはしっかり怒るので、ちゃんと親しみも持てます。情熱と冷静さを併せ持った正統派主人公という趣があり、自分の分身というよりかは、本当に報われてほしい主人公です。

 SRPGの主人公、いわゆる松野作品(タクティクスオウガやFFT関連)は今となっては青臭かったり、ファイアーエムブレムは好みが分かれたり、サモンナイトはライトノベル感が強かったりと、個人的になかなか好みの存在に出会えなかったのですが、セレノアは一番好きかも。もっともゲームごとにストーリーやキャラクター造型のテーマも違うので、比較するだけ野暮というものですが……


◎判断力が試される戦闘


 一戦・一手・一撃が比較的重く、一部キャラクターのスキルを除けば巻き戻し能力もないため、かなり判断力が要求されました。苦しさはありますが同時にやりがいもあり、スキルや切札を適切なタイミングでうまく使っていけば、仲間が半減してピンチBGMが流れるような状況からでも逆転できたりするので、最後まで諦めず粘るモチベーションも湧きました。
 しかし別に胃を痛める必要はなく、面倒だったら撤退したりあえて全滅して、経験値を引き継いだ状態で再挑戦しても良いので、適度な気楽さもあるのが良いバランスですね。



【気になった点】


△一部UI


 致命的というわけではないですが、数点気になるところがありました。
まず詰所やRPGパートにおける、ショートカットの押し間違え誘発ボタン配置です。

+=詰所やRPGパートから出る
X=メニュー

なのですが、ボタン配置自体が近く、その役割も似通っている(と感じる)ので、慣れるまでかなりの頻度で押し間違えそうになりました。特に+RPGパートを飛ばしてしまうと、アイテムや情報回収の面で手痛いので、こまめなセーブ分けで対策していました。

 次点で「切札」発動です。どのボタンから発動できるのか解らず、一周目の終盤になるまで使わなかったです。実際は-ボタンからショートカットで呼び出せます(あんまり開いたことがないけど撤退画面からも)。
 「切札」に関しては気づかなかった自分が悪いし、チュートリアルを挟むと周回のテンポに影響しそうなので現状のままでも問題ないですが、下の半透明帯のガイドあたりに追記してあるとより助かったかも。

 よく言われる「詰所」に関しても、育成画面を開きたいだけなのに担当者が全員仲間として加入するため、毎回会話が挟まってしまうのも気になると言えば気になります。そこまで育成要素ががっつり細かいわけではないので許容範囲ですが。



△携帯モード=カイロ化


 これまで自分が遊んできたSwitchゲームの中でも、ダントツで発熱しました。長時間やっていると、前述の通り戦闘中に強制終了したりも。
 比較的軽そうなイメージでしたが、実際動かすとなかなかハードで、モニター:携帯のプレイ環境割合は7.5:2.5という感じでした。携帯モードで寝ながら気楽に遊ぶよりも、モニターの前で腰を据えて挑んでいた時間の方が長いのはたしかです。


△鑑賞モード的なシステムがない


 ストーリー分岐が思った以上に細かいので、てっきり存在するものだと思いこんでいました。それは贅沢でした。
 一応セーブスロットは10残せるものの、挿話(サブストーリー)などはタイミング的に保存を逃しやすいので、本編と挿話含めて振り返りができるシステムがあるとなお安心でした。声優さんの演技が良いので、それも含めて再鑑賞したい

 挿話といえば、本編とライターが違うのか、メインキャラがインタビュアー化してキャラクターの印象と異なってしまっているのが惜しかったです(ついで言及)。



【まとめ】

 結論から言うと2022年現状トップです。
いや、まだ3ヶ月しか経っていないのですが、今冬ゲームラッシュの中で一作挙げるならこの作品にします。

 正直、目新しいものは少ないです。ある程度過去のSRPGの文脈を把握しているプレイヤーが主なターゲットなのかもと感じました。難易度Normalでも緒戦からそこそこ難易度が高く、そこからから二周目最終戦まで常に頭を使わないと有利な状況を導けませんでした。敵の一撃が非常に重いので、連続で挟撃された時や範囲魔法が複数命中した時の絶望感たるや。

 かと言って新規お断りという訳ではなく、難易度ははじめから5段階に分かれており変更に一切のペナルティがないので、SRPG初挑戦、あるいは初心者でも真ルートまでクリアできると思います。またファイアーエムブレムと違い巻き戻りがないので、詰んだバトルであっても何回か繰り返せばそのうち勝てます。

 この手のSRPGに何らかの思い入れがある方、単にストーリーに興味がある方などは、あまり考えずに体験版(本編引き継ぎ可能)を遊んでみることを絶対にお勧めいたします。

 続編も欲しいですが、真ルートで綺麗に完結しているので、別世界か前日譚のほうが良いですね。「信念の天秤」はあってもなくてもどちらでもという感じです。あれはウォルホート家のものなので……



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