ゲームクリア感想190_夜廻と深夜廻

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ホラーゲーム好きと自認しておいて、今の今まで手を出さずじまいだったシリーズです。
今年の4/21に続編が発売されるということ、かつ先日セールをしていたことが重なり、いい加減重い腰を上げるタイミングだと思いました。


【主なプレイ環境】
ハード Nintendo Switch
バージョン 1.0.0
クリア時間 約23時間(2作合算)


【良かった点】


感心することしきりな演出


 両作ともチュートリアルの作り方に滅茶苦茶感心しました。

誰もが意表を突かれる展開で、アイデアと実装力の完全勝利。雰囲気を掴むために配信動画で事前確認とかをしなくて正解でした。


 ゲーム自体も全体的にテキストは控えめで、子供故に語彙が豊かではない主人公ともリンクしています。その分巧みな演出で語る、INSIDEなどのインディーズ作品を彷彿とさせる内容です


もちろんホラー演出も練られており、特に深夜廻のほうはしょっちゅう驚かされました。



ステージの雰囲気


 これが本当に最高。
日本の(一昔前の)田舎の住宅街をここまで再現できているゲームは他に思い浮かびません。水道管工事のあとのコンクリ舗装のツギハギ加減まで再現されているこだわり。
自動販売機が立てる唸りや街灯のチカチカ加減、道路から山道に繋がる場所の、あのコンクリと土が交わる感じ(?)など、細かい点までリアルさを感じました。
変に奇を衒わずシンプルに再現しているので、没入感は高いです。もう「おばけ」抜きで探索ゲーにしても全然成立するくらい……と思ってしまうのですが、そんなリアリティの中に「おばけ」という異物が佇んでいるからこそ、より異常さや恐ろしさが際立っていると思います。

 あと個人的に嬉しかったのは、「拠点(セーフハウス)ありタイプのホラー」だったこと。てっきり一本道ものだと思っていましたが、実際は半オープンワールド(ゲーム進行状況次第で少しずつ行動範囲が広がってゆく)みたいな感じで、自宅という安全地帯がしっかり存在します。セーフハウスがあることで心理的なコントラストが生じ、セーフハウスの外に出るのが恐ろしくなる……という効果が生じて好きなので、こういう仕様なのは個人的に助かりました。

 ちなみに各地のお地蔵さんに10円をお供えすることで中間セーブが行えて、ファストトラベルも解放されます(ファストトラベルというシステムとは無縁そうな雰囲気だったのでこれも驚いた)

この道路のひび割れ加減が良い




◎動物が可愛い


 両作どちらにも(おばけじゃない)犬や野良猫が出てきて、孤独な夜の町における癒やしになっています。動作や鳴き声が比較的リアルで可愛いです。

 ただワンちゃんがお好きな方向けに注意喚起すると、夜廻の方は最序盤でワンちゃんがハードな目に遭うので、創作物でも動物が傷つくのに耐えられない場合はご注意下さい。いっそスルーして深夜廻だけ遊んでも良いと思います。



○おばけがしっかり怖い


 実のところ、このゲームの存在を知ってスクリーンショットを目にしたときは「雰囲気はいいけど、この低予算感あるクリーチャーがちょっと……」という感想でした。ですがこの印象は誤りでした。
 一見、子供が書いた絵のような愛嬌さすらあるおばけも、いざ主人公に向けて動いてくると滅茶苦茶焦ります。
 発見を知らせる心拍音に加え、アニメーションや動作音が素人の想像を越える不気味さで、初遭遇時は追いかけられた瞬間に一目散で逃げました。本能が「これに追いつかれたらやばい」と警告してくる不気味さ。

 全体的に、おばけの得体の知れなさだったら夜廻、ホラー“ゲーム”的脅威だったら深夜廻と感じました。深夜廻はシリーズへの慣れもあり、うまく誘導したりとゲーム的な対処を取ることも増えましたが、夜廻のおばけは何をしてくるか解らない恐怖があって、ほぼほぼ逃げの一手でした。


【気になった点】


△一部の妙に難易度の高いパート


 続編の深夜廻は比較的バランスの良さを感じた一方で、初作の夜廻は初作ゆえなのか、ちょっと理不尽を感じるパートがありました。特に田んぼと工場。田んぼのパートは転移してくるおばけが強く、もうマシなパターンを引くまで粘って乗り越えたようなものです。工場は誤って遠くの場所でセーブしてしまいリトライが辛くなってしまい、エピソード頭からやり直して、攻略を見て突破しました。
 工場はコツを掴んでしまえば比較的再現しやすいものの、田んぼはできれば二度は御免被りたいです。田んぼさえ越えれば、後半の山道は比較的楽なのが救い。

 かといって深夜廻が低難易度かというとそうでもなく、後半からボス戦的なイベントが増えて頻繁にゲームオーバーを迎えます。その割にセーブポイントが微妙に遠く、会話スキップもできないのでなかなかのストレスとなりました。


△町がおばけで混雑気味


 上とは逆に、こっちは深夜廻で気になりました。システム面などは洗練されたものの、やたらと道中におばけが多くて、じっくり夜の町の雰囲気を味わう余裕が薄れてしまったように思います。屋内ステージが増えたのは進化ですが……


【まとめ】

 想像以上にステージが広くて、探索が楽しかったです。狭すぎず広すぎずでちょうどいい塩梅なのも好感触でした。
 ただ、所謂「死にゲー」の割にリプレイ性に難ありで、せめて会話スキップくらいは欲しかったところ。一部のパートは再挑戦時に会話短縮されていますが、完全スキップできるとよりよかったです。ただでさえセーブポイントが遠く、攻略ヒントも少ないので……

 夜廻よりは深夜廻のほうが全体的なバランスもよく、ゲームとして完成度が高いと思いますが、個人的にはあまりゲームゲームしなくても、雰囲気だけで十分価値があるので、夜廻のシンプルさが好ましいです。

 ストーリーに関しては、もう対象年齢を過ぎてしまったのかさほど心が揺れることもなかったです。ただ、少ないテキストでもしっかりキャラクターの感情が伝わるので、機会があれば小説版も読んでみようかと思います。それに加えて続編も……

もし

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