ゲームクリア感想185_ダイイングライト2 ステイ ヒューマン(PS4版)

公式サイトはこちら(スパイク・チュンソフトのページ)

前作の記事はこちら

 2022年2月から始まった新作ゲームラッシュの先鋒。
何が何でも最優先で遊ぶ! という強い意気込みで臨みました。

 前作の日本版発売から約7年……本当に長かったです。続編を待望していたので、発表された時は本当に喜びました。もっともそれからが長かったのですが。動きの鈍い公式にやがて不信が芽生え始め(何年も音沙汰のないDead Island 2の件もあり)、実のところ不信ゲージがかなり溜まった状態で購入しました。

 実際はどうだったかと言うと、前作の主な不満点を一通り解消した正当進化で、待った甲斐はある内容でした。パルクールと各種ツールを組み合わせた移動が楽しく、オープンワールドにつきものの移動の退屈さを全く感じませんでした。これはもう発明。
重量感のあるもっさりダッシュや、取り回しの悪い乗り物に慣れてしまっていましたが、もうそこに戻る気になれないくらいです。
 もっとも、改善されたとはいえ無理矢理感の残るストーリーや、多発する不具合などの褒められない点もあり、そのあたりも前作を引き継いでしまっていました。
全体的には非常にハマりました。


【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 4
バージョン 1.05
難易度 ノーマル
クリア時間 81:02:21
トロフィー取得率 42%



【良かった点】


◎全体的に遊びやすくなった


 前作よりも難易度が低めで操作もサクサクなので、ほぼ詰まることなく進められました。
まずゲームオーバーのペナルティが緩和され、所持金は減らず、夜間ゲームオーバー時のみ夜間ボーナス没収という形に留まりました。基本的には近場の安全地帯に戻されるだけです。

 前作は序盤が厳しかった思い出がありますが、今作は序盤から割と余力があった印象です。
ひたすら逃げ回るしかできなかった強敵ボラタイル(今作は「ヴォラタイル」表記)ですら、装備が一通り揃った後ならさほどの敵ではなかったです。UVライトと近接武器を交互に当てるだけで、多少ゴリ押しでも倒せました。銃火器で対処していた前作と比べると格段に楽です。集団で囲まれると厳しいけど……
 それ以外の敵はいずれも弱いというか、ドロップキックが便利すぎるというか。ここまで利便性が高いキック技、スターオーシャン3DCのリフレクト・ストライフ以来かも知れません。序盤から習得できて低コスト高威力なのも共通していますね。

 あとは、アイテム漁り出来るポイントがある程度限定されたので、アイテムを漁りたい時に漫然と探索する必要がなくなったのもスッキリしました。店の跡地など限られた場所にしか物資がないのも理に適っていますし、効率的。

 難易度でいうと、パルクールの各種タイムアタックチャレンジもかなり難易度が緩和されました。3段階のランク制になって、クリアだけなら最低ランクでもOKになりました。各種ツールの使用も禁止されていないので、ショートカットルートを模索するのも楽しいです。前作(パルクールフィーバー)は時間制限が異様に厳しく、それはそれでやり甲斐があったものの、やり込むかクリアだけで済ませるか選べるこちらの方が気軽さはあります。

 最後に新システムです。今作から導入された「免疫」のシステムに関しては、ご多分に漏れず、始めてしばらくは足枷に感じました。ですがこれに困らされるのはせいぜい序盤だけで、資源に余裕が生まれてきた頃合いには免疫回復アイテムが好きなだけクラフト出来るし、店売りもあるし、廃墟にそこそこ落ちているので、途中から一切悩むことはなかったです。メトロシリーズのフィルターに比べれば全然易しいと思います。

 主だった点を挙げましたが、全体的にオープニングからエンディングまで緩やかで、前作ほどのトライ&エラーはなかったです。
 前作は下手すぎてパルクールのチュートリアルですら詰みかけ、ラストバトル前のチェイスでそれ以上に詰みかけと苦労したのも昔の話、これはこれで楽しく遊べました。

 ちなみに前作で不評だった強制QTEはないです。


◎ナラティブ面強化


 デッドアイランドからの弱点だったストーリーや演出がかなり強化されました。ようやくという気持ちです。
 とはいえ、会話の展開が急でキャラクターが情緒不安定だったり、ゲーム内の能力とカットシーンの能力が一致していなかったりなど詰めの甘さもあると言えばあります。そのあたりは今作から導入された分岐要素も関わっていると思いますが、細かい点はボリュームでカバーされているということで……

 もっとも、ストーリー最大の特徴は分岐にあります。メインクエスト及び一部サイドクエストに悩ましい分岐があり、選択次第で諸々変わります。
 とにかく誰も彼も余裕がない世界なので、親切心から選択した結果逆恨みされるなど日常茶飯事。大団円で終わるクエストは少ないです。また、誇張ではなく、キャラクターの口から(裏表ない)褒め言葉が放たれることはごくごく稀。仕事をこなしたら労いも早々に次の仕事を押し付けられるだけで、人間不信が加速します。

 そして現実と同じく、どの勢力にも感じ悪い奴がいて、どこにも所属したくないという思いがラストまで変わることはなかったです。
 序盤はサバイバー連中の感じ悪さの反発からピースキーパーに肩入れしたものの、中盤辺りからそちらへの不信感も高まり、かといって今更翻意するのも不誠実かと思ってピースキーパー寄りの選択で通しました。
 ですが、本当に最後の最後で翻意してしまい、結果として寂しいエンディングとなってしまいました……やはり当初の決心を貫いた方が良かったみたいです。
 
 と、選択で最終結果が細かく分岐するので、オープンワールドゲームの割に(?)リプレイ性が高いです。手動セーブを残せないので、PS Plusのバックアップ機能なりを活用しない限りは選択やり直し不可という念入りさ。まさに後悔先に立たずですが、それもまたこの作品が副題で掲げる人間らしさなのでしょう。

 あと、僅かながら前作やデッドアイランドのネタもあって嬉しかったです。


◎待望の日本語吹き替え


 これが発表されたときの安堵ときたら、そりゃもう凄まじいものでした。
前作と異なり、デッドアイランドと同じくスパイク・チュンソフトがローカライズしているので高クオリティなのも良いです。前作もテキスト訳自体に不満はないのですが、やや耳寂しさがあったし、吹き替えがあればエモーショナルなイベントになっただろうなという場面もあったので、ようやく叶った感があります。
 
 上の項目では最後の最後の選択を後悔しているように書いたものの、展開自体は日本語吹き替えも相まってなかなか熱かったです。アニメが始まったかと思った。


◎上下に拡がったダイナミックな探索


 とにかくパラグライダーです。これを入手してから移動可能範囲やルートがグワッと広がり、探索が楽しくなりました。どう観察しても上がれそうにない高層ビルの屋上でも、より高いビルから思い切って滑空するとあっさり着地できたり、低いビルからでも上手く地形を使って足場まで飛んだりと、スケール感溢れる探索が新鮮でした。

 そもそも序盤のオールド・ヴィレドー(低めの建物が並ぶ旧市街)をパルクールで駆け回るだけでもそこそこ楽しいのに、ビル街に行くと迫力が段違いで感動しました。よくぞここまで正当進化してくれた……

 ちなみに前作の便利すぎた便利アイテムことフックは弱体化し、どんな壁にもくっつく粘着力は失われ、特定の場所に引っ掛けてターザンの如くスイングするアイテムになりました。これはこれで良いバランスだと思います。


○あまりロードに悩まされない


 ボリュームからして長いロード時間を覚悟していたので助かりました。
ファストトラベルに至ってはロード時間ほぼなし。
 もっとも、テクスチャの貼り遅れや音声の遅れが日常茶飯事で、目的地に到着してからすぐに町中を全力疾走すると余計なロード、果ては強制終了が発生するので、一長一短の感は残ります。そもそものパルクール移動が快適なため、目的地が近場なら探索がてら直接行くことが多かったです。



【気になった点】


×音声の不具合


 本当にこれが痛い……これと自分の確認不足が合わさり、終盤裏切ったつもりがないのに裏切り者扱いになりました。

 主に会話シーンの音声が再生されないと言う不具合で、発生頻度がかなり高いです。

悲しい別れのシーンも勇猛な決意のシーンも口パク状態なので台無しです。スキップボタンを押すと一瞬だけ字幕が表示されるので、それとジャーナルの説明文で把握するしかないです。

 しかも回避が困難で、それまで普通に会話が再生されていたのに急に発生する始末。


 公式では再起動を推奨しており、実際に再起動直後は安定します。ただ、そのまま進めると間違いなくどこかでこの不具合に遭遇します。

 加えて毎回読み込みの長い再起動をするのは面倒かつ負担です。しかもオープニングムービー中に読み込みを行っているのか、起動のたびに15秒程度見ないとスキップできない仕様。

 

 現状の回避方法としては、メインクエストなど会話を見逃したくないクエストの前では、公式に従い、一度再起動するのが一番です。

 あとは、会話を始める前にその場で少し棒立ちする(読み込みを進める)と比較的発生率が下がる気がします。この不具合、単純に読み込みが追いついていないのかも知れませんが詳細は不明です。


 ちなみに自分はサイドクエストで発生したら諦めてそのまま進めています。そのたびに再起動していたらキリがない頻度のため。


 選択肢を導入しているストーリーで会話の強制スキップはかなり体験を損なうと思いますが、発売から一ヶ月経ちそうな今もバリバリ発生中です。



×動作の不安定さ


 上の音声不具合に限らず、全体的に動作が不安定です。これは発売前の懸念が的中してしまいました。


 まず強制終了がそれなりに発生しました。音声やオブジェクトが込み入った屋外エリアにダッシュで入ったり、ファストトラベル直後に急いで街に出たりすると発生しやすいです。そのため、ファストトラベル直後は目に見える限りの読み込みが終わるまで棒立ちして、外に出る時は急ぎすぎないようにしています。屋内攻略中はほぼ発生しないのが救い。


 あと、クリア後にファストトラベルすると座標がずれて異空間(ポリゴンの隙間?)に迷い込み、そのまま自由落下してゲームオーバーになってしまいます。夜間の場合は当然ボーナス没収になるので、今は昼にしかファストトラベルしていません。
(2022/2/23追記:本日配信のバージョン1.06で解消されたのを確認しました)

 今はアップデートで多少改善されたものの、サバイバーセンス発動の反応が鈍いのも気になるところ。PSコンスティックをかなり押し込まないと発動せず、一時期親指の関節の骨で押し込んでいました。
 この件も読み込みが間に合っていないだけという疑惑が生じています。その場で少し待ってから発動すると難なく出ることが多いので。しかしそれ抜きにしても反応が鈍いと思う。

 その他、発見済みの場所が発見扱いにならないか未発見に巻き戻っている、クリア済みのサイドクエストが未達成状態に巻き戻っている、条件を満たしているはずのトロフィー(ストーリー上強制入手)が取得されないなど、不具合が散見されます。
 手動セーブがないので、定期的にバックアップするか、修正に期待して今は放置するか、という状態です。


△メインメニューの重さ・既視感


 このストレスが最初から最後まで地味に効きます。頻繁に開くのにもかかわらず重く、かと言って開かない訳にもいかず。

 重さに加え、全体のUIレイアウトまでもが近年アサシンクリードそっくりで、別の不安がよぎります。現代オープンワールドゲームのメニューUIの最適解なんでしょうか。



■前作から雰囲気が変わった


 夜が怖くなさすぎる。もはや昼。


 完全に好みの問題で恐縮ですが、ゲームとしては遊びやすくなった一方で、前作にあった夜間の絶望感・孤独感がごっそり失われてしまったと感じます。暗闇の中こそこそ飛び回りながら進み、安全地帯の小さい灯りに飛び込んで、かすかに「日常」が残るそこの窓や屋上から感染者の様子を伺いながらぼんやり夜の空気を味わう、あの唯一無二の体験(大げさ)が……あゝ……


 告白すると、外から人とも感染者ともつかぬ悍ましい声が響く中寝袋にくるまり朝を待つあの雰囲気に一時期多大な影響を受け、寝る前に電気を消した部屋から外を伺うダイイングライトごっこをしていたくらいあの雰囲気が好きでした。いやこうして文章にすると不審ですし今はしていませんが……


 そもそものゲームコンセプトや設定が異なるので仕方ないと理解してはいる一方で、あの雰囲気が薄れてしまったのはやはり寂しいものがあります。今作はそもそも夜空が明るいので、安全地帯の安全地帯感が相対的に薄まったと申しますか、前作の真っ暗闇とかすかな光の対比が効いてないと申しますか……


 ヴォラタイルも弱めだしチェイスの緊張感もさほどなく、そもそもクリーチャーのデザインが似通っているので、強めの一般感染者かと思って倒したらヴォラタイルだったというのもありがち。その他は全力ダッシュ(感染直後のやつ)・毒吐き・仲間呼び・巨体・自爆・GREアノーマリー(エリア小ボス)・ボルター(逃げるやつ)しか識別できていません。


 今作はある程度文明が発展しているので、パンデミック直後の日常の空気が残る雑然さとは別の世界観を打ち出しているのでしょう。ただ、前作のスラム街タワマンに夜中帰ってきた時の、あのほんのりリアルな雰囲気がふとした瞬間に懐かしくなります。

 一方で、今作の世界観はこれはこれで好きです。屋上文明には新鮮さがあったし、イギリス舞台なのでほんのりファンタジー気味なのも良いです。

 前作に戻りたければ手元のソフトを起動するだけなので、あくまで好みの問題ですね。


 あとこれはマイナス点ではないのですが、感染者よりも人間との争いが増えるというゾンビものの続編お馴染みの展開からはダイイングライトでも逃れられなかったという感慨があります。



【まとめ】


 2月も終わりに差し掛かり、ようやく今年はじめての新作クリアとなりました。

なんだかんだ言ってハマりました。前作から正当進化して、ストーリーや難易度などもしっかりケアして、全体的に完成度の高いゲームになったと思います。それでいてボリュームも純増。

 特殊能力ではなく、生身とツールで高所を攻略・探索するのがまた緊張感とワクワク感がありますね。

 ストーリーの分岐も、誰にも味方したくないからこそ逆に悩ましかったです。実はあまり期待してなかったのですが、予想よりもずっと選択に悩みました。


 一人称の激しいアクションに抵抗がない(酔わない)、オープンワールドゲームは移動がダルくて飽きてしまう、前作を詰んだなどの理由をお持ちの方にはおすすめです。


 前作経験者にもおすすめではあるのですが、前作にホラーやその他謎の思い入れがある場合はその限りではないかも。良くも悪くも世界観が異なるのもあって、夜の怖さやパンデミックの雰囲気は薄れたため、人を選ぶポイントです。

 とは言えこれはこれで興味深い世界観ですし、薄れたとは言え夕方の寂寞感、夜間の孤独感みたいな雰囲気は残っているので、警戒しすぎる必要はないと思います。動かせば楽しいので。


 それより警戒すべきは不具合の多さ。

ちょうど本日のアップデートで主だった不具合はある程度直りましたが、始めるタイミングに迷っているなら、まだもう少し修正を待ってからでも遅くない気がします。恐らく、エルデンリングホライゾンFWを一通りクリアした頃合いにはちょうど良い感じになっているのではないかと……公式としても今後5年間はサポートを続けるらしいので、いつかはマシになるでしょう(希望的観測)。


 あとは注意喚起として、ストーリー展開によっては終盤でいくつかのサイドクエストがクリア不可になる可能性があります。自分も後回しにしていたものが2つクリア不可になりました(マップ上にアイコンだけ残り、報酬に×マークがついている)。

 傾向からして、各勢力の中央拠点で請け負うもの、選択肢が含まれるものが対象のように思えます。
  加えて、エンディング後は全地域屋外など一部地域で敵のレベルがこちらと同等になるため、探索が少し面倒になります。一方で高レベルの装備が見つかるようになるので、ここから存分にやり込めるという感じです。

 以上の2点からすると、ストーリーと探索のみ体験したいという場合は、街で一番高い建物に登った直後あたりに全地域回っておくのが良さそうです。それ以降は選択肢のひとつひとつが重くなってきます。


 続編希望ですが、上記の通り今後5年間は更新を続けるとのことなので、仮にあったとしても相当先だろうしあまり期待はしていません。前作同様にライブサービス重視のスタンスになりそうです。

 マップを見るとかなり余白があるので、DLCで新地域を追加しようと思えばいくらでも出来る感じはあります。もちろんよその新天地でもOK。いずれにせよ、前作DLCみたいにクリアしないほうがマシの結末に終わらないことを願います。





以下ネタバレ注意!


備忘録件参考として、自分の主だった状況を覚えている限りメモします。分岐とは無関係なものも混じっていたり漏れがあったりすると思います。

完全にネタバレなので、未クリアの方は閲覧にご注意ください。


(以下文字反転)




  • アイトールに協力
  • タンゴ・モーテルに行かない(アイトールに協力)
  • ヴィンセンツォのところに行かずトンネル直行
  • ホーコンを生かす
  • アイトール救出
  • ホアンの提案を断る
  • VNCタワーの通信機をジャック・マットに任せる
  • ジャック・マットにひたすら協力
  • ウィリアムズを生かす
  • ラワン救出に向かう
(全体的にホーコンとピースキーパー寄りの選択をしました)


結果……


 街は半壊し、主人公は一人で街を去っていきました。

 それは選択の結果なので致し方ないとして、エンディング後もその展開をそのまま引き継ぐので、一部の地域が半壊して煙たくなりせっかくの景色が台無しになるのが寂しいです。
(2022/2/23追記:ここの記述はちょっと怪しいです。エンディング後というか最終メインクエスト前、の方が正確です。確認不足で申し訳ありません)



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