ゲームクリア感想183_深世海 Into the Depths(Switch版)

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 実を言うとかなりの警戒対象でした、深海もの。

深海が舞台のゲームすべてを遊んだわけではないですが、バイオショック1・2以外はどうもピンとくるものに出会えないまま、苦手意識だけを募らせて幾星霜。あの名作、サブノーティカですらあまり面白さが解らず、早々に引退したくらいです。


 設定に忠実になるとどうしても呼吸や移動速度の制限など海中ゆえの制約が生じ、アクセントとしては良いもののそれ一辺倒だと辛い、というのが苦手意識の内訳ではないかと愚考するものの、どうも海中というシチュエーション自体が息苦しくて苦手なのかもと思い始めています。自分とて元を辿れば祖先は海から来たのに……窒息死や圧死など、割と想像しやすい上に相当苦しそうな死因が常に付きまとっているのもやや苦しくなります。


 しかし本作を遊び、ようやくその固定観念が打ち砕かれたことを実感しています。

深海ものにしては珍しい2Dだったり、(序盤は)比較的明るめの空気感だったり、漢字の意匠を活かしたオリジナル言語があったりと、ユニークな世界観が期待と不安6:4くらいでしたが、本当にクリアまで遊んで良かったです。



【主なプレイ環境】
ハード Nintendo Switch
バージョン 1.0.0
難易度 スタンダード
クリア時間 21:16:34


【良かった点】


◎探索の楽しさ


 ワンエリアが広すぎず狭すぎず、ダレることなく探索できるのも嬉しいところ。基本は手動セーブポイント式ですが、不慮の事故でゲームオーバーを迎えてもそこまで巻き戻らなくていいので、気軽に冒険できます。
 ゲームを少し進めて乗り物を入手してからが本番。生身で入れば数秒で圧死する深海も進めるようになりますし、搭乗時およびケーブル接続時は呼気を確保しながらの探索が出来るので、探索範囲が広がります。そして、一度安全な環境を手に入れたからこそ、それを手放さないと進めない道のスリルが上がるという相乗効果も。


◎音楽


 多くの方が、ゲームのイメージからして環境音めいたBGMがほとんどなのだろうと想像することと思われます。私もそうでした。しかしゲームを始めればすぐに安易な想像は吹き飛び、耳が引き込まれました。


 とにかく音楽が良い。深海の美しさを聴覚に反映したようなアンビエントな曲から、ともすれば浮いて聴こえてしまいそうなハードな戦闘曲、いかにもゲーム音楽的なメロディーラインのしっかりした曲まで、イメージよりもバリエーション豊かです。酸素のある地形に出ると反響したような効果がかかるインタラクティブミュージックな要素(?)もあり。

 私は「Coral reef」「Sendo -The Drone-」「One After Another -Undersea Volcano-」「The Decision」あたりが特に好きです。今この記事もサウンドトラックを聴きながら書いています。



◎綺麗に完結するストーリー


 どのエンディングを迎えても綺麗に完結しています。むしろ続編はなくても構わないくらいに。ゲーム中にボイスやテキストはほとんど出てきませんが、モーションでしっかり感情表現や会話をしているので、物足りなさはありません。素人目にも「ここにこの要素があったら野暮だな〜」という要素が除かれているので、その徹底ぶりにも好感が持てます。


【気になった点】


△一部の操作性


 ゲームの最終局面に至ってなお「移動時にスティックを傾けっぱなしで、着地時に頭から墜落して酸素ボンベをバリンバリンに割る」という失態を止められませんでした。一瞬目を離しただけで簡単に頭から落ちるので、着地のたびに神経を使うのがちょっと負担でした。

 焦らず足元からゆっくり下りる、という対策を理解してからも、戦闘中などは焦って頭から堕ち、悶えているうちに敵対生物に追撃されて、もうセーブポイントからやり直したほうが早い状況に陥ることもしばしば。


 着地に関しては意識していればその内に慣れるとして、一番戸惑ったのが地形関連。

特に、崖に飛びついて水場から上がるモーションの重さがリアルすぎて、操作が反応していないのかと勘違いして崖についたり離れたりしてしまうことが多々ありました。



△一部のありがた迷惑


 相棒の「潜導」が落ちている素材を親切に運んでくれるのは良いのです。ただ、現状持ちきれないアイテムでも運んできてくれるので、結果的に進行の妨害となってしまうことが結構ありました。運良くハマりにはならなかったですが、狭い道でもお構いなしなので焦ります。



【まとめ】


 長らくリストの肥やしになっていたのをようやく解放できました。高評価に釣られて始めたら本当にその通りの良作だったという嬉しいパターン。サウンドトラックもクリア後すぐに購入しました。


 3Dマップではないので深海ものにありがちな迷子にもなりづらく、戦闘も育成と観察をきちんとしていればしっかりクリアできる(難易度スタンダード以下)ので、かなり遊びやすいと思いました。ラスボスだけはコツを掴むまで苦戦しましたが……


 個人的に同じカプコンから出た「ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター」を思い出しました。言葉少なな雰囲気とか、一点を目指して進むストーリーとか……空を目指して上がっていくのと、海底深くへ潜っていく対称性も興味深いところです。

 かなり遊びやすいゲームかつプレイ時間もそこそこ、ストーリーも一作で完結しているので、ぜひ人に勧めたいと思います。


 続編も出たら出たで嬉しいですが、ストーリーの美しさを思うと、続編よりかは同規模の新作の方が遊んでみたいかも知れません。カプコンはひとつひとつのIPが根強いのは頼もしい一方で、新規で気軽に入れるゲームが少ないと感じるためです。もっとも近年の新作はナンバリングのどこから入っても楽しめるようになっているでしょうが……その意味でも完全新作のプラグマタには期待しています(2023年に発売延期)。深世海が潜水服ならこっちは宇宙服で、相棒ポジションぽい存在もいて……? 


あとディープダウンについて今年中には何か声明が欲しい。

 






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