ゲームクリア感想118_YIIK:A Postmodern RPG(PS4版)
公式サイトはこちら(重いです)
厳しい…………
これは厳しい………………
なんとなく察してはいました。
購入前、不評の目立つレビューに目を通して不安を抱きましたし、自分の中にある、この手の「古き良き時代のRPGをリスペクト」系の実際遊ぶとさほど楽しくないという感覚(懐かしむにはテイスト不足で、今やるにはシステムが古臭い場合が多い)も反応していました。
それでも本作に手を出したのは、どうしてもMOTHERシリーズが恋しかったからです。
なので、ビジュアルや音楽でそのテイストを醸し出しているのを知り、配信日に購入しました。
いえ、してしまいました。
そして始めてみたら、開始15分程度で不具合により早々にゲームが詰み、私は
「お、案の定というわけですな」という感想をもって一度ゲームプレイ自体を止めました。
1,980円がもったいない気もしましたが、限られた時間は極力有意義に用いたいものです。
しかし、続けてしまいました。
Twitterで検索したら序盤の不具合を乗り越える方法(一度セーブしてゲーム自体を再起動する)を見つけ、特に急いでやりたいゲームもないし続けてみるか…と思い直しました。
いえ、思い直してしまいました。
そしてクリアしてしまいました。
トロフィーまでそこそこ集まりました。
苦行だった戦闘は主人公のとある技によりほぼ作業と化し、タルい移動も中盤で入手するアイテムにより多少軽減されました。セーブポイントは細かく配置されているので、こまめなセーブにより、不具合が発生してもなんとか乗り越えられました。
つまり序盤が最大の難関だったのですが、本当にそこを乗り越えてまでクリアするべきだったのかどうか、複雑な気分です。
バージョン 1.02
難易度 設定なし
クリア時間 68:43:12(放置もあったので実質55時間くらい)
トロフィー取得率 68%
サウンドトラックがbandcampから試聴・購入できます(購入はPaypalかクレジットカード)。私も買って、それを聴きながら文章を打っています。
このゲームの一番の売りかつ貴重な美点です。曲数も多く、メインテーマアレンジやボーカル入り戦闘曲など、この手のRPG好きが反応するテイストです。
通常戦闘曲ですらかなりの曲数なのに、ボス曲は各ボスごとに用意されている充実ぶりで、非常に贅沢な使われ方をしています。
個人的には
「Trance Battle」
「Battle with ■■■ (Calum Bowen)」※■■■はネタバレのため黒塗り
「Years to Come (Manfredonia, Alfaro, Allanson)」
「Puzzle Pieces (Allanson/Bowen/Manfredonia) Vocals by Niko tsakalakos」
が好きです。通常戦闘曲の「Trance Battle」以外は、このゲームにしては(失礼)流れるシチュエーションも良かったので印象深いです。
今ひとつ曲と背景がマッチしていないことが多い点が、少々残念ではあります。
テキストも多いしノリも独特・話も難解なので、訳すのが非常に大変だったのではないかと想像します。それにもかかわらず、ゲームにぴったりなノリで訳されているので、いろいろ難ありなゲームをスムーズに楽しめました。相当密に開発元とやりとりしないと、ここまで細かくローカライズ出来ないのでは? と思います。
ローカライズが丁寧だったからこそ、安心してクリアまでゲームを続けられたと思います。他の要素がかなり厳しいので……
時は1999年の世紀末、
インターネットのオカルトサイト、
そこでバズる消えた少女の動画(当時は「バズる」なんて言葉はありませんでしたが)、
大卒文系無職の主人公(RPG好き)、
ネット投稿を通じて集まる人生に悩む若者たち……
「これ完全にオタクが好きなやつじゃん」と思いました。
当然私も好きです。Y2K(2000年問題)に着目するというのも良い……
精神世界っぽいのは私の理解が及ばず、あまりピンときませんでしたが、ベースの世界観は好きです。
寧ろ、いかにもな精神世界よりも、給水塔に行ったときの仲間との会話や、作中内のサイトで読めるスレッドなどのオカルト話のほうが興味深かったです。特にサイトは荒れ具合までリアルで、気が滅入ってくるほどの濃い内容でした。
意外にもダンジョン攻略はそこそこ楽しめました。
ギミックが割と凝っており、かといって面倒すぎるわけでもなく、パズル感覚で進められました。
宝箱が多いので、それなりに探索しがいもあります。
LR:FF13と大体同じです。
振り返ってみると、この仕様でなければ戦闘がダルくて投げ出していました。
ダンジョンではシンボルエンカウント、フィールドではランダムエンカウントで、フィールドでもある程度戦闘すると一切敵が出てこなくなります。
とにかく一度倒してしまえば、もう二度と出現しないので、すごく気が楽でした。
ゲーム開始時、三回「はじめから」やり直しました。
前述の「一度セーブしてゲーム自体を再起動する」という回避方法を知らなかったがため……しかも長い名前入力を挟むのでより面倒という。
これは本当に、即刻アップデートで修正しないといけないと思います。序盤不具合で詰んでそのまま止めたプレイヤーが相当な数に上るのではないでしょうか。
もう対応済みだったら良いのですが……(確かめる気力がない)
序盤を越えても、レバーが消える・オブジェクトが消える・ゲーム内パソコンを開いて強制終了など、最低でもセーブは2つ以上しておかないと到底安心して進められない惨状でした。最後の最後まで何が起こるかわからないので、最大の敵は予期せぬ不具合でした。
PS4版はSwitch版に比べればマシなようですが、ローディングも細かく入ってテンポが悪いです。
そもそもまともに遊べないと、ご自慢の音楽もストーリーも体験できないのですが、あんまりその辺でやる気が感じられないのも不誠実……
上記の不安定さによりただでさえセーブが重要なゲームなのですが、
そのセーブにすら罠があるという異常さ。
今からPS4で本作を始める奇特な方に、重要なことをお伝えいたします。
ゲームでは○ボタン決定ですが、
セーブ画面では×ボタン決定になります。
これを間違えると、セーブしたはずがセーブされていないという事態を確実に引き起こします。私も当然やらかしました。
同じPS4デフォルトのセーブ画面を採用しているゲームでは○ボタン決定だったので、PS4側の問題ではないと思うのですが、これは今からでも何とかならないのでしょうか。
他にも、全体的にボタンのレスポンスが最悪です。
店で買い物するとなかなかウィンドウが消えず、ボタン連打していたらまた話しかけてしまったり、頻繁に使うメニュー画面ですら遅延気味で、アイテム装備すらかったるい始末。
戦闘では豊富にQTEがありますが、いずれも操作の快感なんてありませんでした。
とにかくセーブにだけはお気をつけください。
あともう一つありました。移動が遅い。中盤でスケートボードを入手すればある程度解決しますが、これも途中で止まれないという不便な仕様。
なんでこう何もかも不便なんだ。
不具合に並んで心を折ってくる要素です。
攻撃・防御・逃走・大半のスキルに毎回QTEを要求され、とにかくテンポが悪くてダルすぎる。しかも苦労したわりに大したダメージでもないので徒労感ばかり募ります。
QTE自体も解りにくく、何度か失敗してやり方を覚える必要があります。そして別に楽しくない。上記の通りレスポンスも悪いですし。
敵の全体攻撃ですら、一人一人防御の目押しQTEをしないといけないので、戦闘開幕これをやられるとうんざりします。
QTEなのでコントローラーから離れトイレに立つわけにもいかず、つまらない癖に画面張り付きを要求される最悪のパターン。空振りや失敗でも演出だけはバッチリ入るので、プレイヤーの時間を浪費させることへの異様な熱意ばかりを感じます。
主人公の通常攻撃はシャドウハーツそっくりですが、爽快感はあれの半分もなく、判定エリア内で連打するとコンボに発展しダメージが増える程度。
主人公はもっと強いスキルを覚えるので、中盤からはほとんど使わないのが救いです。
そもそも敵のデザインにセンスがない。良さげなデザインは全部タートルズとかロックマンのパロディで、オリジナルっぽい敵はいずれもパッとしないです。意図的にそうしているのかも知れませんが……考えてみると何でザコ敵が出現しているのかもよく解らないですね。
と、ひたすら不満をぶちまけましたが、中盤辺りからはとあるスキルの出現により一転して作業になります。ダルいですが気は楽になります。
後ほど、自分がやっていた戦闘の対策をまとめます。不満点が多すぎて一項目の文章がひたすら長くなってしまう……
このゲームの提示するユーモアは大抵が滑っています。
まずTIPS。他のゲームよりもずっとTIPSが必要になるゲームの出来なのに、下らない豆知識しか載っておらず、不慣れな序盤はロード画面のたびに気持ちが逆撫でされていました。
話題になった岩田社長の墓も、リスペクトのつもりなのかも知れませんがマジで小学生の自由帳レベル。
追悼の意でも刻まれているかと思いきや、生年〜没年が刻まれているだけなので、これは悪意と誤解されても仕方ないのでは? (今からでもアップデートで削除したほうがいいと思う)
FF13批判と思しきテキストは、確かに巷間のノリを反映すればこんな感じになるなと思いましたが、作中で示唆するからには自分たちもそれなりのものを仕上げていないと、跳ね返ってきて当然なわけで……
そうして当然のように跳ね返ってきているのが愚かしいですね。
私もどちらか周回するなら、本作よりもFF13を選びますし。
それ以外にも、仲間に対して失礼な言動を繰り返す主人公が辛かったです。
ただでさえ自分勝手な輩なのに、仲間の自死遺族に暴言を吐くシーン(序盤)でもう全てが駄目になり、作中で謝れる選択肢がなければゲーム自体やめようか迷っていたところでした。
言葉選びやセンスが悪すぎて、ユーモアが全く笑えない。
いつもピリピリしている職場の感じ悪い人が真顔で放つ笑えない冗談というか、Twitterであらゆることに起こっているご意見番アカウントが説教臭さを糊塗するために放つセンスのない冗談というか(実際に説教臭いテキスト)、そういうものを彷彿とさせます。
いや、微妙に違うな……でもそれに近い不快さがあります。
言ってしまえば匿名掲示板のオタクの悪ノリなんでしょうが、その種のものはやっぱり表に出ちゃいけないなと改めて感じました。
「何やら製作者がネット民やオタクに穏やかならぬ感情(失望?)を向けているのは伝わってくるが、こちらとしては身に覚えがないので、ただひたすら嫌味を言われ続けているようなぬるい不快感だけを感じた」
という感想です。
率直に言います。考察が捗りそうな話でしたが、ゲーム自体の出来が悪いので一切考察する気が起きませんでした。
ゲーム制作の苦労や事情を知らないユーザーの暴言を承知で言わせて頂けると、ここまでの不具合や問題点を放置してまでストーリーを語られても素直に楽しめないです。
また、すぐに癇癪を起こし、独善的な長い独白でゲームプレイのテンポを崩す主人公にも最後まで全く共感できず、戦闘における強キャラという目でしか見ていなかったです。
なので、主人公を中心にしたメインのストーリーラインに興味を抱けず、かといって仲間がそれ以上に興味深いかというと……
それでもあえて言うなら、一応伏線を回収する終盤だけはそこそこ良かったです。
エンディングも複数ありますが、私は一番メジャーと思われるエンディングでした。
あの主人公にふさわしい結末だと思いましたし(同族嫌悪かも)、別エンディングを見る気力もありません。
セーブポイントから行ける「マインドダンジョン」という場所で育成ポイントを振り分けてレベルアップする形になります。経験値100ごとに1層解放され、育成を進めてゆきます。
これが地味に面倒。しなくていい苦労をさせられている感覚です。
というのも、一層ごとに四つの扉があり、その扉ごとに上昇させたいステータスを選び、その扉に一つずつ入ってステータスを上げる、というめちゃくちゃ回りくどい操作をしなければなりません。
書いていて悲しくなってきました。
「深層心理に潜って成長する」みたいなイメージを表したかったのは察せるものの、だからなんだという感じですし、何十層進んでもひたすら同じ作業の繰り返し。
ただでさえ戦闘がかったるいんだから、レベルアップ成長くらいサクサク進んでほしいものです。
本件に限らず、このゲームは「弄らなくていいところを弄り回し、手を加えるべきところを放置している」というのが散見されます。
仲間も揃い、フィールドのほぼ全てへ行けるようになって、さぁこれからラスボス前に冒険の旅だ! という時に、突如としてペルソナシリーズみたいなカレンダー進行になります。
なんで? と思いました。
一応理由らしきものは説明されますが、納得できる説明でもなく。
これで面倒なのが一度に世界を回れないことです。
例えばサブクエストを一つクリアすると一日が終わったことになり、また自室から仕切り直しになるため、快適とはいえない移動の手間ばかりが増えます。
終盤と言えば、ラスボス戦も酷かったです。
HPゲージを空にしても倒せず、色々なスキルや逃走、関連ありそうなアイテムまで使っても倒せず、もしやと思いながらわざと負けると(この時点だと負けるほうが難しくてそれも面倒。面倒なことしかない)、見事的中してイベントが発生しました。
結局、カタルシスも何もなくゲームが終わりました。
何らかの表現意図があってここまで酷いゲームデザインにしているのだと想像します。
そうでないとあまりにも悲しすぎるから……
デフォルトネームが欲しかった。
実在の友人名を複数人入力するように指示されるのですが、そもそもそこまで友人がおらず、またこのゲームに個人情報を明け渡したくないので、私は自分と家族の名前を分解して対応しました。
これの伏線は回収されます。それ自体はそんなに悪い展開ではなかったのがまぁ救い。
というかゲーム開始のこの時点から悪い予感がしていたな……
チュートリアルがやたら馴れ馴れしいと警戒してしまう。
この記事を更新したら、サウンドトラック以外でこのゲームに関わることは二度とないでしょう(あと今年末のブログ記事まとめ)。
何もかもが面倒で不便。
ゲーム開始からエンディングまで、常に何らかのストレスに晒されていました。
ゲーム進行に伴って楽になったのは戦闘くらいで、あとは変わらないか悪化した要素ばかりです。戦闘にしたって苦行から作業になっただけですし。
なんと言えばいいのか、ゲーム内からうっすら漂う嫌味を浴び続けるのも御免被りたいです。製作者が、ゲームやそのユーザーに何らかの思うところがあるのは理解できましたが、付き合いきれそうにないです。
別に悪い点ばかりでもなく、音楽やダンジョンや世界観は良かったですし、ストーリーも局所的には唸らされる所もありました。
非日常に逃避する無職がようやく自分と向き合うことを覚える、みたいな流れは身につまされたのですが、ただ、それ以外がいくらなんでも酷すぎる。
アップデートで解消される希望は残っているものの、ゲーム内のノリからして、製作者はどうにもユーザーの利便性とかにさして興味がなさそうなので全く期待していません。
製作者も、昔のRPGが好きなら、その頃ゲームに費やすお金というのはどれだけ貴重だったか理解していそうなものですが……
いずれにせよ、これから面白そうなゲームも沢山出てくるので、その前にクリアできて安心しました。複雑なゲーム体験でしたが、今となってはこんなスタンスのゲームもあるんだなと視野が広がりました。
MOTHERシリーズの幻影を深追いしすぎたのかも知れませんね。
────────
また、本作が気になってしまった方のために、ゲームが多少楽になるメモを下に書いておきました。
ページ最上部にリンクを張った公式サイトにも、公式直々の攻略ヒントが載っているので、そちらも必見です。
【YIIK(PS4版)アドバイスメモ】
このゲームはバンバン攻略に目を通して、可能な限りサクサク進めて負担を減らして下さい。そうでないとクリアまで続かない可能性があります。
私はほぼノーヒントで進めたものの、本当にこの時間の使い方でよかったのか自信がありません。
・こまめにバージョン更新を確認(念の為)
・操作可能になったら、すぐ近くのバス停横のセーブポイントでセーブしてゲーム再起動
(入手アイテムの名前や説明がバグっていたら再起動が必要な状態)
・戦闘のアシストをONにする(ゲーマーのプライドとかは不要なので、とにかくONにして下さい。貴重なプライドをこのゲームに費やす必要は一切ありません)
・セーブは常に複数確保しておく。
・繰り返すが、セーブ画面のみ×決定。
○ボタン連打でセーブできないので、慣れないうちは注意する。
・主人公の通常攻撃QTEは(シャドウハーツと違って)、ヒットエリア内で連打するとコンボになる。アシストONと併用すれば貴重なダメージソース。
・マイケルの通常攻撃QTEは判定が理不尽なので、戦力としては期待しない。
スキルも弱いのでアイテム係。
・ヴェラの通常攻撃QTEは、三段目が点灯したと同時にスティックを離す。コツを掴むと簡単。序盤は貴重な戦力。
・ローリーはメイン盾兼アイテム係。
・マインドダンジョンに入れるようになったら、主人公は「力」と「PP」を中心に伸ばすと良いかも。中盤はスキルしか放たなくなるので。
・主人公が「LPスロー」を習得すればザコ戦は一気に作業と化す。
この全体攻撃一発で大抵全滅する。QTEも易しいほうなので、序盤の苦行が嘘みたいにサクサク勝てる。主人公はこれを放つ機械とする。
・ショーンドラの「アイテムスロー」があればもう盤石の体制。
一定の攻撃意外通じない特殊な敵にもダメージが通るぶっ壊れスキル。
お下がりの武器なり木刀なりをQTEなしで投げるだけで、桁違いのダメージを叩き出す。
・クラウディオは加入してからしばらくはそこそこの火力で頼れる。
・ダンジョン内の怪しいギミックアイテムは△ボタンで拾える。
・最後の仲間は主人公とショーンドラの二大強スキルにこそ及ばないものの、通常攻撃QTEでかなりの火力を出せる。
・その最後の仲間が一人で戦う戦闘は、調子に乗って通常攻撃QTEを回しすぎるとエネルギー消費で自滅するので注意。
・主人公・ショーンドラ・最後の仲間・ヴェラorクラウディオが安定したパーティー。
・なにはともあれ
「LPスロー」と「アイテムスロー」
厳しい…………
これは厳しい………………
なんとなく察してはいました。
購入前、不評の目立つレビューに目を通して不安を抱きましたし、自分の中にある、この手の「古き良き時代のRPGをリスペクト」系の実際遊ぶとさほど楽しくないという感覚(懐かしむにはテイスト不足で、今やるにはシステムが古臭い場合が多い)も反応していました。
それでも本作に手を出したのは、どうしてもMOTHERシリーズが恋しかったからです。
なので、ビジュアルや音楽でそのテイストを醸し出しているのを知り、配信日に購入しました。
いえ、してしまいました。
そして始めてみたら、開始15分程度で不具合により早々にゲームが詰み、私は
「お、案の定というわけですな」という感想をもって一度ゲームプレイ自体を止めました。
1,980円がもったいない気もしましたが、限られた時間は極力有意義に用いたいものです。
しかし、続けてしまいました。
Twitterで検索したら序盤の不具合を乗り越える方法(一度セーブしてゲーム自体を再起動する)を見つけ、特に急いでやりたいゲームもないし続けてみるか…と思い直しました。
いえ、思い直してしまいました。
そしてクリアしてしまいました。
トロフィーまでそこそこ集まりました。
苦行だった戦闘は主人公のとある技によりほぼ作業と化し、タルい移動も中盤で入手するアイテムにより多少軽減されました。セーブポイントは細かく配置されているので、こまめなセーブにより、不具合が発生してもなんとか乗り越えられました。
つまり序盤が最大の難関だったのですが、本当にそこを乗り越えてまでクリアするべきだったのかどうか、複雑な気分です。
バージョン 1.02
難易度 設定なし
クリア時間 68:43:12(放置もあったので実質55時間くらい)
トロフィー取得率 68%
【良かった点】
◎音楽サウンドトラックがbandcampから試聴・購入できます(購入はPaypalかクレジットカード)。私も買って、それを聴きながら文章を打っています。
このゲームの一番の売りかつ貴重な美点です。曲数も多く、メインテーマアレンジやボーカル入り戦闘曲など、この手のRPG好きが反応するテイストです。
通常戦闘曲ですらかなりの曲数なのに、ボス曲は各ボスごとに用意されている充実ぶりで、非常に贅沢な使われ方をしています。
個人的には
「Trance Battle」
「Battle with ■■■ (Calum Bowen)」※■■■はネタバレのため黒塗り
「Years to Come (Manfredonia, Alfaro, Allanson)」
「Puzzle Pieces (Allanson/Bowen/Manfredonia) Vocals by Niko tsakalakos」
が好きです。通常戦闘曲の「Trance Battle」以外は、このゲームにしては(失礼)流れるシチュエーションも良かったので印象深いです。
今ひとつ曲と背景がマッチしていないことが多い点が、少々残念ではあります。
◎(日本語版のみ)丁寧なローカライズ
テキストも多いしノリも独特・話も難解なので、訳すのが非常に大変だったのではないかと想像します。それにもかかわらず、ゲームにぴったりなノリで訳されているので、いろいろ難ありなゲームをスムーズに楽しめました。相当密に開発元とやりとりしないと、ここまで細かくローカライズ出来ないのでは? と思います。
ローカライズが丁寧だったからこそ、安心してクリアまでゲームを続けられたと思います。他の要素がかなり厳しいので……
○オカルト色の濃い世界観
時は1999年の世紀末、
インターネットのオカルトサイト、
そこでバズる消えた少女の動画(当時は「バズる」なんて言葉はありませんでしたが)、
大卒文系無職の主人公(RPG好き)、
ネット投稿を通じて集まる人生に悩む若者たち……
「これ完全にオタクが好きなやつじゃん」と思いました。
当然私も好きです。Y2K(2000年問題)に着目するというのも良い……
精神世界っぽいのは私の理解が及ばず、あまりピンときませんでしたが、ベースの世界観は好きです。
寧ろ、いかにもな精神世界よりも、給水塔に行ったときの仲間との会話や、作中内のサイトで読めるスレッドなどのオカルト話のほうが興味深かったです。特にサイトは荒れ具合までリアルで、気が滅入ってくるほどの濃い内容でした。
○そこそこ攻略しがいのあるダンジョン
意外にもダンジョン攻略はそこそこ楽しめました。
ギミックが割と凝っており、かといって面倒すぎるわけでもなく、パズル感覚で進められました。
宝箱が多いので、それなりに探索しがいもあります。
○敵出現数に限りがある仕様
LR:FF13と大体同じです。
振り返ってみると、この仕様でなければ戦闘がダルくて投げ出していました。
ダンジョンではシンボルエンカウント、フィールドではランダムエンカウントで、フィールドでもある程度戦闘すると一切敵が出てこなくなります。
とにかく一度倒してしまえば、もう二度と出現しないので、すごく気が楽でした。
【気になった点】
何から書き出せばいいのか迷うほどに多いです。×動作の不安定さ
ゲーム開始時、三回「はじめから」やり直しました。
前述の「一度セーブしてゲーム自体を再起動する」という回避方法を知らなかったがため……しかも長い名前入力を挟むのでより面倒という。
これは本当に、即刻アップデートで修正しないといけないと思います。序盤不具合で詰んでそのまま止めたプレイヤーが相当な数に上るのではないでしょうか。
もう対応済みだったら良いのですが……(確かめる気力がない)
序盤を越えても、レバーが消える・オブジェクトが消える・ゲーム内パソコンを開いて強制終了など、最低でもセーブは2つ以上しておかないと到底安心して進められない惨状でした。最後の最後まで何が起こるかわからないので、最大の敵は予期せぬ不具合でした。
PS4版はSwitch版に比べればマシなようですが、ローディングも細かく入ってテンポが悪いです。
そもそもまともに遊べないと、ご自慢の音楽もストーリーも体験できないのですが、あんまりその辺でやる気が感じられないのも不誠実……
×レスポンスの悪さ
上記の不安定さによりただでさえセーブが重要なゲームなのですが、
そのセーブにすら罠があるという異常さ。
今からPS4で本作を始める奇特な方に、重要なことをお伝えいたします。
ゲームでは○ボタン決定ですが、
セーブ画面では×ボタン決定になります。
これを間違えると、セーブしたはずがセーブされていないという事態を確実に引き起こします。私も当然やらかしました。
同じPS4デフォルトのセーブ画面を採用しているゲームでは○ボタン決定だったので、PS4側の問題ではないと思うのですが、これは今からでも何とかならないのでしょうか。
他にも、全体的にボタンのレスポンスが最悪です。
店で買い物するとなかなかウィンドウが消えず、ボタン連打していたらまた話しかけてしまったり、頻繁に使うメニュー画面ですら遅延気味で、アイテム装備すらかったるい始末。
戦闘では豊富にQTEがありますが、いずれも操作の快感なんてありませんでした。
とにかくセーブにだけはお気をつけください。
あともう一つありました。移動が遅い。中盤でスケートボードを入手すればある程度解決しますが、これも途中で止まれないという不便な仕様。
なんでこう何もかも不便なんだ。
×戦闘全般
不具合に並んで心を折ってくる要素です。
攻撃・防御・逃走・大半のスキルに毎回QTEを要求され、とにかくテンポが悪くてダルすぎる。しかも苦労したわりに大したダメージでもないので徒労感ばかり募ります。
QTE自体も解りにくく、何度か失敗してやり方を覚える必要があります。そして別に楽しくない。上記の通りレスポンスも悪いですし。
敵の全体攻撃ですら、一人一人防御の目押しQTEをしないといけないので、戦闘開幕これをやられるとうんざりします。
QTEなのでコントローラーから離れトイレに立つわけにもいかず、つまらない癖に画面張り付きを要求される最悪のパターン。空振りや失敗でも演出だけはバッチリ入るので、プレイヤーの時間を浪費させることへの異様な熱意ばかりを感じます。
主人公の通常攻撃はシャドウハーツそっくりですが、爽快感はあれの半分もなく、判定エリア内で連打するとコンボに発展しダメージが増える程度。
主人公はもっと強いスキルを覚えるので、中盤からはほとんど使わないのが救いです。
そもそも敵のデザインにセンスがない。良さげなデザインは全部タートルズとかロックマンのパロディで、オリジナルっぽい敵はいずれもパッとしないです。意図的にそうしているのかも知れませんが……考えてみると何でザコ敵が出現しているのかもよく解らないですね。
と、ひたすら不満をぶちまけましたが、中盤辺りからはとあるスキルの出現により一転して作業になります。ダルいですが気は楽になります。
後ほど、自分がやっていた戦闘の対策をまとめます。不満点が多すぎて一項目の文章がひたすら長くなってしまう……
×滑り散らかしている悪ノリ・暴言
このゲームの提示するユーモアは大抵が滑っています。
まずTIPS。他のゲームよりもずっとTIPSが必要になるゲームの出来なのに、下らない豆知識しか載っておらず、不慣れな序盤はロード画面のたびに気持ちが逆撫でされていました。
話題になった岩田社長の墓も、リスペクトのつもりなのかも知れませんがマジで小学生の自由帳レベル。
追悼の意でも刻まれているかと思いきや、生年〜没年が刻まれているだけなので、これは悪意と誤解されても仕方ないのでは? (今からでもアップデートで削除したほうがいいと思う)
FF13批判と思しきテキストは、確かに巷間のノリを反映すればこんな感じになるなと思いましたが、作中で示唆するからには自分たちもそれなりのものを仕上げていないと、跳ね返ってきて当然なわけで……
そうして当然のように跳ね返ってきているのが愚かしいですね。
私もどちらか周回するなら、本作よりもFF13を選びますし。
それ以外にも、仲間に対して失礼な言動を繰り返す主人公が辛かったです。
ただでさえ自分勝手な輩なのに、仲間の自死遺族に暴言を吐くシーン(序盤)でもう全てが駄目になり、作中で謝れる選択肢がなければゲーム自体やめようか迷っていたところでした。
言葉選びやセンスが悪すぎて、ユーモアが全く笑えない。
いつもピリピリしている職場の感じ悪い人が真顔で放つ笑えない冗談というか、Twitterであらゆることに起こっているご意見番アカウントが説教臭さを糊塗するために放つセンスのない冗談というか(実際に説教臭いテキスト)、そういうものを彷彿とさせます。
いや、微妙に違うな……でもそれに近い不快さがあります。
言ってしまえば匿名掲示板のオタクの悪ノリなんでしょうが、その種のものはやっぱり表に出ちゃいけないなと改めて感じました。
△意味不明なストーリー
「何やら製作者がネット民やオタクに穏やかならぬ感情(失望?)を向けているのは伝わってくるが、こちらとしては身に覚えがないので、ただひたすら嫌味を言われ続けているようなぬるい不快感だけを感じた」
という感想です。
率直に言います。考察が捗りそうな話でしたが、ゲーム自体の出来が悪いので一切考察する気が起きませんでした。
ゲーム制作の苦労や事情を知らないユーザーの暴言を承知で言わせて頂けると、ここまでの不具合や問題点を放置してまでストーリーを語られても素直に楽しめないです。
また、すぐに癇癪を起こし、独善的な長い独白でゲームプレイのテンポを崩す主人公にも最後まで全く共感できず、戦闘における強キャラという目でしか見ていなかったです。
なので、主人公を中心にしたメインのストーリーラインに興味を抱けず、かといって仲間がそれ以上に興味深いかというと……
それでもあえて言うなら、一応伏線を回収する終盤だけはそこそこ良かったです。
エンディングも複数ありますが、私は一番メジャーと思われるエンディングでした。
あの主人公にふさわしい結末だと思いましたし(同族嫌悪かも)、別エンディングを見る気力もありません。
△かったるいだけのレベルアップ
セーブポイントから行ける「マインドダンジョン」という場所で育成ポイントを振り分けてレベルアップする形になります。経験値100ごとに1層解放され、育成を進めてゆきます。
これが地味に面倒。しなくていい苦労をさせられている感覚です。
というのも、一層ごとに四つの扉があり、その扉ごとに上昇させたいステータスを選び、その扉に一つずつ入ってステータスを上げる、というめちゃくちゃ回りくどい操作をしなければなりません。
書いていて悲しくなってきました。
「深層心理に潜って成長する」みたいなイメージを表したかったのは察せるものの、だからなんだという感じですし、何十層進んでもひたすら同じ作業の繰り返し。
ただでさえ戦闘がかったるいんだから、レベルアップ成長くらいサクサク進んでほしいものです。
本件に限らず、このゲームは「弄らなくていいところを弄り回し、手を加えるべきところを放置している」というのが散見されます。
△終盤のゲームデザイン
仲間も揃い、フィールドのほぼ全てへ行けるようになって、さぁこれからラスボス前に冒険の旅だ! という時に、突如としてペルソナシリーズみたいなカレンダー進行になります。
なんで? と思いました。
一応理由らしきものは説明されますが、納得できる説明でもなく。
これで面倒なのが一度に世界を回れないことです。
例えばサブクエストを一つクリアすると一日が終わったことになり、また自室から仕切り直しになるため、快適とはいえない移動の手間ばかりが増えます。
終盤と言えば、ラスボス戦も酷かったです。
HPゲージを空にしても倒せず、色々なスキルや逃走、関連ありそうなアイテムまで使っても倒せず、もしやと思いながらわざと負けると(この時点だと負けるほうが難しくてそれも面倒。面倒なことしかない)、見事的中してイベントが発生しました。
結局、カタルシスも何もなくゲームが終わりました。
何らかの表現意図があってここまで酷いゲームデザインにしているのだと想像します。
そうでないとあまりにも悲しすぎるから……
△名前入力画面
デフォルトネームが欲しかった。
実在の友人名を複数人入力するように指示されるのですが、そもそもそこまで友人がおらず、またこのゲームに個人情報を明け渡したくないので、私は自分と家族の名前を分解して対応しました。
これの伏線は回収されます。それ自体はそんなに悪い展開ではなかったのがまぁ救い。
というかゲーム開始のこの時点から悪い予感がしていたな……
チュートリアルがやたら馴れ馴れしいと警戒してしまう。
【まとめ】
この記事を更新したら、サウンドトラック以外でこのゲームに関わることは二度とないでしょう(あと今年末のブログ記事まとめ)。
何もかもが面倒で不便。
ゲーム開始からエンディングまで、常に何らかのストレスに晒されていました。
ゲーム進行に伴って楽になったのは戦闘くらいで、あとは変わらないか悪化した要素ばかりです。戦闘にしたって苦行から作業になっただけですし。
なんと言えばいいのか、ゲーム内からうっすら漂う嫌味を浴び続けるのも御免被りたいです。製作者が、ゲームやそのユーザーに何らかの思うところがあるのは理解できましたが、付き合いきれそうにないです。
別に悪い点ばかりでもなく、音楽やダンジョンや世界観は良かったですし、ストーリーも局所的には唸らされる所もありました。
非日常に逃避する無職がようやく自分と向き合うことを覚える、みたいな流れは身につまされたのですが、ただ、それ以外がいくらなんでも酷すぎる。
アップデートで解消される希望は残っているものの、ゲーム内のノリからして、製作者はどうにもユーザーの利便性とかにさして興味がなさそうなので全く期待していません。
製作者も、昔のRPGが好きなら、その頃ゲームに費やすお金というのはどれだけ貴重だったか理解していそうなものですが……
いずれにせよ、これから面白そうなゲームも沢山出てくるので、その前にクリアできて安心しました。複雑なゲーム体験でしたが、今となってはこんなスタンスのゲームもあるんだなと視野が広がりました。
MOTHERシリーズの幻影を深追いしすぎたのかも知れませんね。
────────
また、本作が気になってしまった方のために、ゲームが多少楽になるメモを下に書いておきました。
ページ最上部にリンクを張った公式サイトにも、公式直々の攻略ヒントが載っているので、そちらも必見です。
【YIIK(PS4版)アドバイスメモ】
このゲームはバンバン攻略に目を通して、可能な限りサクサク進めて負担を減らして下さい。そうでないとクリアまで続かない可能性があります。
私はほぼノーヒントで進めたものの、本当にこの時間の使い方でよかったのか自信がありません。
・こまめにバージョン更新を確認(念の為)
・操作可能になったら、すぐ近くのバス停横のセーブポイントでセーブしてゲーム再起動
(入手アイテムの名前や説明がバグっていたら再起動が必要な状態)
・戦闘のアシストをONにする(ゲーマーのプライドとかは不要なので、とにかくONにして下さい。貴重なプライドをこのゲームに費やす必要は一切ありません)
・セーブは常に複数確保しておく。
・繰り返すが、セーブ画面のみ×決定。
○ボタン連打でセーブできないので、慣れないうちは注意する。
・主人公の通常攻撃QTEは(シャドウハーツと違って)、ヒットエリア内で連打するとコンボになる。アシストONと併用すれば貴重なダメージソース。
・マイケルの通常攻撃QTEは判定が理不尽なので、戦力としては期待しない。
スキルも弱いのでアイテム係。
・ヴェラの通常攻撃QTEは、三段目が点灯したと同時にスティックを離す。コツを掴むと簡単。序盤は貴重な戦力。
・ローリーはメイン盾兼アイテム係。
・マインドダンジョンに入れるようになったら、主人公は「力」と「PP」を中心に伸ばすと良いかも。中盤はスキルしか放たなくなるので。
・主人公が「LPスロー」を習得すればザコ戦は一気に作業と化す。
この全体攻撃一発で大抵全滅する。QTEも易しいほうなので、序盤の苦行が嘘みたいにサクサク勝てる。主人公はこれを放つ機械とする。
・ショーンドラの「アイテムスロー」があればもう盤石の体制。
一定の攻撃意外通じない特殊な敵にもダメージが通るぶっ壊れスキル。
お下がりの武器なり木刀なりをQTEなしで投げるだけで、桁違いのダメージを叩き出す。
・クラウディオは加入してからしばらくはそこそこの火力で頼れる。
・ダンジョン内の怪しいギミックアイテムは△ボタンで拾える。
・最後の仲間は主人公とショーンドラの二大強スキルにこそ及ばないものの、通常攻撃QTEでかなりの火力を出せる。
・その最後の仲間が一人で戦う戦闘は、調子に乗って通常攻撃QTEを回しすぎるとエネルギー消費で自滅するので注意。
・主人公・ショーンドラ・最後の仲間・ヴェラorクラウディオが安定したパーティー。
・なにはともあれ
「LPスロー」と「アイテムスロー」
コメント
コメントを投稿