ゲームクリア感想158_Through the Darkest of Times(PS4版)



 ジャンルとしてはストラテジーです。
ナチス政権下でレジスタンスの指導者となって、組織運営しつつ生き延びる、という内容です。直接的な戦闘やアクション要素はほぼ存在せず、テキストを読み進めながら、レジスタンスメンバーに適正のある仕事を振り分けて進めていく、という感じです。

 体感としては、ミニゲームやゲームアプリによくあるキャラ派遣+ノベルゲームという趣で、豊富なテキストもあってノベル色が強いです。
 もっとも、SRPGは好きだけどストラテジーはそれ程でもない、という身にはありがたい配分でした。



バージョン 1.02
難易度 ストーリーモード(2種類あるうちの低難易度)
クリア時間 約10時間
トロフィー取得率 41%


【良かった点】

◎リアリティに満ちたストーリー


 市民目線から見たナチス支配下のベルリン、という視点を徹底しており、派手なムービーなどはなくとも、テキストでその恐ろしさをしっかりと語っています。

 お隣さんや近しい人々が「国も豊かになったしそこまで悪くないのでは? 」と、静かにナチスに染まってゆくようなリアリティに感じるものがあります。そして次第に状況は悪化し、街も人心も荒廃の一途を辿ってゆく、というのが辛かったです。
 未熟なりにレジスタンス活動に精を出しても、一向に状況は好転せず、次第にレジスタンス内でも意見対立が目立ってゆく始末……史実を基盤にしているから自然とリアリティが出る、というものではなく、こうした変遷を丁寧に書いているから、ゲームシナリオとしても啓発としても魅力的なストーリーになったと思います。

 ちなみに印象的なエピソードは実績/トロフィー名で言うところの「シェルター」と「捕虜」です。心が沈むこと必至。

 

○緊張感あるレジスタンス活動


 警戒が薄いのは各チャプターの序盤だけで、それが過ぎたら9割方の行動にリスクが伴い始めます。もうあっという間に警戒・目撃されるので、ここまで監視が厳しいものなのかと驚きます。かといって隠れたままでは資金も支援者も集まらず、モラル(組織の士気みたいなもの)も下がる一方。というか、毎月(?)必ず10ポイント下がるのでなにかしら行動してモラルを維持しなければなりません。
 このリスクと安全の配分が悩ましい点です。

 実のところ、仲間が収監されても割と簡単に救出できますし、怪我もアイテムか時間経過で治るので過剰に対策する必要はないのですが、タイミング次第では仲間の収監と不調が重なったことでリカバリーが厳しくなるので、適度に潜んで警戒を薄めるに越したことはありません。

 ストーリーモードであれば、いかにもレジスタンスらしい高リスク活動(武力を用いるなど)をしなくても、寄付金集めや支援者集め、それを解放するためのビラまきやペンキメッセージなどで細々と活動を続けていればそうそう詰むことはなく、ストーリーも全部読めます。  私も新チャプターを迎えるごとに「今度こそはヒロイックな活動をして爪痕を残したい!」と思い進めるも、その実現にはかなりのリソースが要求され、結局堅実な運営をして生き延びました。寂しさもありますが、当時のベルリンの人々はただ一日を生きるだけで命懸けだったということを思うと、これで良かったのでしょう。



【気になった点】


×字およびアイコンの凶悪な小ささ


 この直前に遊んでいたDESPERADOS3よりも更に小さく、やはりPC環境で遊ぶのが前提になっている気がします。特に吹き出しの中のテキストが読みにくく、ミッションの向き不向きがそこで自己申告されていることに、初めて少しの間気が付きませんでした。

 また、ノンバーバルであるアイコンも小さくて見づらいです。中でも描き込みが細かめのアイコンは少々潰れてしまっており、一見して判別できないことが多かったです。


△ムービーが未訳


 起動時や幕間で流れるムービーに字幕がないっぽいです。
言語設定はもちろん、オプションを弄っても字幕が表示されないのでおそらく初めから存在しないのでしょう。

 内容としては史実のおさらいだと思うのですが、もし字幕があればよりストーリーへの没入感が高まったかなと感じます。


△判然としない目標設定


「レベルデザイン」という言葉を用いるのが不安だったので「目標設定」としました。

 いくつかに分かれたチャプターを生き延びてクリアを目指す、というのが大目標ではあるものの、そのために何をすればいいのか、最初は困惑しました。
 もちろんチュートリアルはありますし、画面右上なり左上なりに常に小目標を表示せよとまではいかないですが、何というか……行動がもたらす効果というか相関関係というのが今ひとつ解りづらく、手段は問わずとにかく生き延びる!という大目標にゲーム中盤で気づくまで手探り状態でした。
 
 その手探りが楽しい、というのは実感としてあるものの、もう少し早めにコツを掴めるような誘導があったら、という勿体なさがあります。



【まとめ】


 確率とコマンド選択と文章だけのゲームをしたいが、いわゆるソーシャルゲームの類は御免被りたい、という人向けです。この時代背景に少なからず興味があるとより没入できます。

 ゲームとしてはやや荒削りな点もあるものの、ストラテジー面も適度に悩ましく、またノベルも読み応えがあるので、予想以上に楽しめました。ボリュームもそこそこで満足です。ゲームとして楽しめただけではなく、学ぶことも多かったです。

 個人的には、もう少しハイリスク行動に必要なリソースを緩和してもらえると、より没頭できたのですが、レジスタンス活動がそうそう楽に進むわけがないと納得しています。

 ちなみに、アクション性の薄さやプレイ時間も短さを理由に実績/トロフィー目当てで始めるのはあまり薦められないです。私もあわよくば、と思っていたものの、条件の厳しさに早々に諦めました。





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