ゲームクリア感想101_Detroit Become Human

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いきなり大文字で失礼します。

Quantic Dream超見直した。

同開発会社のヘビーレインもビヨンドも楽しんでクリアしましたが、ゲームとしてみると二作とも物足りないものがあり、本作もその系譜に連なる新作として、さほど期待せず購入しました。今年はまだあまり新作ゲームを遊べていないので、それを埋めるための繋ぎといったノリでした。
ただ、好みの設定だったので、前情報での期待度は本作が一番大きかったです。

そしてクリアした今、自分の中では驚くべきことに、2018年度上半期新作においてのトップに躍り出ています。まさかここまで進化したとは思わず、制作陣を侮っていたことを今は申し訳なく思います。これは本当に遊んで良かったと思えるゲームです。

【クリア時情報】
バージョン:1.02
クリア時間:約10時間
難易度:EXPERIENCED(ノーマルに該当)
トロフィー取得率:50%

エンディングに関しては、主人公3人中マーカスとコナーが良い感じに終わり、カーラが悔いの残る展開で終わりました。
今は二周目を始めるか迷っています。


【良かった点】

◎「フローチャート」の導入

導入して大正解です。よくあるシステムですが、これがあるだけでゲームとしての強度が高まったと思います。

また、今作から一気に分岐の数が増えたので、それを可視化して管理できるというだけで快適です。あと、ビヨンドのように、各選択ごとに世界中のプレイヤーの選択率が見られるのも面白いです。全世界1桁のレア選択肢に辿り着けた時は嬉しくなってしまいます。そういう選択は大抵辛い展開なので喜んでばかりもいられませんが…

更に、チェックポイントからロードできる、進行状況をセーブして再開するかしないで再開するかを選べる(後者を選ぶとトロフィー取得やフローチャート更新が出来なくなるので注意)という、前作からは考えられない親切設計です。

おそらく、全ルートが見えてしまうと一周目からコンプリートを目指すプレイヤーが現れて、本来の推奨プレイスタイルであるノンストップ進行プレイの醍醐味が損なわれてしまう、という判断でこれまでの二作では無かったと思うのですが、今作は細かく分岐するストーリーの作り込みだけでプレイヤーを引き込んでくるので、よほどルートコンプの強い意志および気力がない限りはそんな心配も杞憂に終わります。
実際、私はストーリーに引き込まれすぎて、終盤少し前まで「スタート画面に戻る」という発想が生まれませんでした。


◎プレイ中ほぼローディングなし

読み込み時間があるのはゲーム起動とストーリー再開のタイミングくらいで、ゲーム本編中は一切なしです。次のチャプターへ移るときでさえ、即ムービーが再生されてゲームが始まります。
この仕様が没入感を高めるのに一役買っており、ストーリーメインのゲームでは非常に有効だと感じました。

不具合も強制終了が一回あったくらいで、動作面もほぼ問題なしです。


◎ストーリー

ヘビーレインのような鼻につく露悪も、ビヨンドのようなピンとこない独りよがりも影を潜め、近未来におけるアンドロイドと人間の物語、という古典的なまでの設定に真摯に向き合ったストーリーで、プレイ中は主人公たちに感情移入して没頭していました。

過去作に比べて万人向けになったように思えて、痛々しい展開や悩む選択は健在です。それどころか数が増えて「人生は選択の連続である」という名言を完全にゲームに落とし込んでいます。
一周目では多くのプレイヤーが、チャプタークリア後に表示されるフローチャートの広さに唖然、あるいは愕然とすると思われます。それくらいのボリュームがあります。

一部の展開がやや強引だったり、感情がある=素晴らしいという人間サイドの価値観からは脱却しきれていないと感じることもありましたが、そんな私の好みを置いても夢中になれる内容でした。カーラのエンディングでは案の定泣いてしまいました。
ボリューム面でも過去最高の量ではないでしょうか? イメージしていたよりも話が長くて驚くするプレイヤーが大半だと思います。
 

◎スタート画面のとある演出

今から始める予定の方は「こまめにスタート画面に戻るとちょっとした展開がある」ということを頭の隅に置いて頂ければと思います。
 ゲームを起動すると、とあるアンドロイドがこちらを見て挨拶し、その後も放置していると語りかけてくるという演出がなされています。ゲームの展開に従ってコメントしてくれたり、アンケート(選択回答式で、満足度アンケートのような内容ではなくゲームの世界観に従った内容)の回答を促してきたり、関係ない話を始めたりと色々な展開があります。

 この演出は画面の向こうからこちらの部屋を見ているという設定らしく、部屋のインテリアについていきなり褒められた時にはギョッとしました。
 本編ではストーリーの選択で問いかけられ、スタート画面では双方向性の演出で問いかけられることになり、生身の人間とコミュニケーションしているときの緊張感に似た感覚を味わえます。
 VR対応しなくとも双方向性は演出できる、ということを示せただけでも大きい功績ではと思います。
 

◎(日本語版のみ)高品質なローカライズ

特に日本語吹替え声優陣が素晴らしいです。メインキャラクターからモブに至るまで全員ピッタリで、丁寧さが伝わってきます。
 ここまでローカライズに注力した海外ゲームもそうそう出てこないでしょう。

ゲーム内で読める雑誌やモブの会話、TVのニュース番組までちゃんと訳されており、オプションで字幕ONにすれば字幕も付きます。


○洗練されたQTE

ビヨンドまでのような判りにくい操作がなくなり、直感的になりました。
QTEが好きか嫌いかと問われれば「作品によるがどちらかといえば嫌い」なのですが、
今作のQTEはかなり遊びやすくなっていて、悪印象は一切ありませんでした。

批判に晒され続けてゲーム業界では下火になった感のあるQTEですが、作り続けていれば何事も洗練されていくのだと思い、QTE自体への印象も改まりました。


○細かいモーション

「床に置かれた冊子を跨ぐ」というモーションが実装されているゲームを初めて体験しました。確かに他のゲームでガンガン踏みつけるのは気になっていましたが、まさかここまで作り込むとは……


○高精細極まるグラフィック 

2018年もまだ半分手前ですが、今年最高峰では? というレベルです。


【気になった点】

△相変わらずスキップ・早送り不可

この開発陣はそもそも周回を想定していない、あるいは優先事項ではないのでしょう。
スキップとは言わないまでも、そろそろムービーや会話の早送りくらいはしたいです。強制終了や中断などで同じシーンをやり直すときにやっぱりそう感じてしまいました。


△一部操作性

狭い場所で左スティックを回して方向転換しようとすると、その場でグルグル回ってしまうことが割と発生しました。

また、この際二周目限定、屋外限定でもいいので任意ダッシュが欲しいと思うときもありました。ゲームの演出に影響するので難しいのは理解しているのですが、リアルでももうちょっとキビキビ歩けるだろうと感じてしまいます。
リアリティを出すためだとしても、ピンチの局面で時間制限のある展開になっても小走りにすらならない主人公たちは逆に不自然でした。


【まとめ】

Quantic Dreamの最高傑作
PS4で高品質なゲーム体験をしたいなら、Detroit: Become Humanを購入リストに書き留めておくべきでしょう。購入前予想の3倍は良作で、これまでのマイナス点にも極力改善が施されており、ここまで進化するのかと本当に驚きました。

「毎日疲れてガッツリしたゲームは出来ないけどPS4でゲームはしたい」という方にぴったりです。
何しろ「ゲームオーバーが存在しない」に留まらず「ゲームの腕が不足してクリアできない」ということもまず発生しません。
難しい操作や謎解きもなく、QTEが難しければ難易度を下げられます。そして、日々に追われる大人にも耐えうるストーリー展開で、しかもボリュームは長すぎず短すぎず、それでいてクリアの満足感があります。

ヘビーレインやビヨンドの系譜ではあるものの、ゲーム性でもストーリーでも先祖たちを大きく上回っています。この2つが合わなかった方でも、三度目の正直のつもりで始めるといつの間にか夢中になれると思います。会社設立以来最大の成功を収めたのも頷ける出来です。

今回はベタ褒めですが、ゲームとしては物足りなさが残るのも確かなので、次回作はその辺りをカバーしてくれれば良いと思います。もっとも、カバーされてなくても購入します。

二周目は始めるかどうか迷い続けています。もはやプラチナトロフィー取得は念頭になく、選択の果てに辿り着いた結末が台無しになってしまうような気がして……無さそうですが、DLCが配信されてからでも遅くないかなと考え始めています。

とにかく、本当に遊んで良かったと思えるゲームでした。




 




Quantic Dream

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