ゲームクリア感想89:ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて(PS4版)


「圧倒的完成度」でした。

 完全にドラゴンクエストを侮っていました。
発売前は世界観もキャラクターもシステムもピンと来ず「2017年にもなって“まもののむれを やっつけた!"ですか……何だか主人公のビジュアルも好みじゃないし、仲間もかつてないほどモブ感が凄いし、さほどそそられないな」と冷めた気持ちもあったのですが、それは間違いでした。
 9と10以外のナンバリングを遊んできましたが、その中でもトップクラスの内容でした。「定価の元は取れた」という域を越えて、そもそも買ったことすら忘れるレベルで没頭してしまいました。とにかく遊びやすく、ストーリーの先も気になるのでモリモリと遊び、モリモリと時間を費やしました。

 とにかく「総合力」が高い。力の入れ所を誤らず、しっかり全体の流れを見ながら製作されたんだなと思います。面倒くさい要素が皆無とは言いませんが、ストーリーを追うだけならびっくりするほどサクサク進めます。
 DQの代名詞である「レベル上げ」も、数えるほどしかしませんでした。回復アイテムも余るほど手に入る上、本編だけなら難易度も低めだと感じました。

 普段なら【まとめ】に書く所ですが、先に書きます。
近年のPS4ソフトでは、ペルソナ5ホライゾンゼロドーンあたりと並んで超おすすめです。「コマンド戦闘がどうしても耐えられない!」「キャラデザインが苦手!」などでない限り、買えばほぼ確実に楽しく長く遊べます。

機種:Playstation 4
クリア時間:本編は約106時間。寝落ちや放置を差し引くと90時間ほど。
トロフィー取得率:60%

スタメンは、主人公・カミュ・ベロニカの3人で、あと1枠は適宜入れ替えています。


【良かった点】


◎ストーリー

5回くらい泣きかけました。
この回数は全RPGでも最高記録でした。ネタバレが手痛い内容なので詳細は語りませんが「ドラクエのストーリーは歳を取ってからの方が感動する」という先人の言葉がようやく理解できました。
「勇者と魔王」という古典的な題材を、賢しらぶったメタ視点や臆病なおふざけではなく、ちゃんと完結する一本のストーリーとして書き上げたのは流石です。他作品の多くの「勇者と魔王」は大抵一捻り二捻りアレンジされ、そのアレンジ自体がありふれているから逆に見飽きたストーリーになる、という罠を見抜いています。

ストーリーの良いRPGはキャラクターの描き方からして格が違うのですが、本作もその例に漏れず、本編を進めるだけで全員の背景がちゃんと掘り下げられます。
発売までは「ピンとこない」「モブ」と思っていた主人公や仲間たちが、終盤にはもうこのメンバー以外に考えられない! というレベルまで好きになれました。

また、過去作のオマージュもふんだんに盛り込まれており、かつ綺麗な立体グラフィック(洋ゲー超大手などには劣りますが)で再現されるので、懐かしさと新鮮さが同時に味わえます。
音楽も過去作の曲が思いがけない所で使われており、かなりシリーズファン向けです。


◎オートセーブ採用

 心から待ち望んでいました。
オートセーブは「活用するかしないか」ではなく「実装済みか未実装か」であると考えています。あるだけで安心感が段違いなので。


◎乗り物に乗りながら「調べる」が可能

 もう本当に、これが出来ないゲームの多いことと言ったら。
樹木などの、調べる際に特別なアクションがでるオブジェクトも乗り物に乗りながら調べられるので、いちいち降りる必要はないです。

◎現代に合わせた親切設計

 9と10が未プレイなので、既出の要素があったら申し訳ないのですが、遊びやすいと感じたのは下記の点です。

・△でメニュー→□で「ほぼまんたん」(コマンドショートカット)
・モンスターの残HPが名前の色変化で判別できる
・レベルアップでHPとMP全回復
・主人公は死んでもHP1で戦闘後復活
・アイテムの情報が見やすく解りやすい
・アイテムを拾ったらすぐに動ける(ウィンドウ閉じ待ち不要)
・教会セーブ周りの操作。間違って冒険をやめてしまうことがほぼ無くなった
・ダンジョンは謎解きではなく探索メインになった

ダンジョンに関してはやや物足りなさもありますが、レベル上げをさほど必要としない難易度なのも相まって、快適にエンディングまで進めるための調整が丁寧に施されています。実際、難易度の物足りなさより快適さのほうが勝ちました。

◎超特大ボリューム

 想定ボリュームの3倍はありました。
オープンワールドというわけでもないのに、現在プレイ時間が115時間を超えています。
しかし、上記の親切設計も相まって、ダレることなく続けられています。

 そして超特大ボリュームにかかわらず、テキストの誤字などは(読んで限りでは)一切なく、動作面の不具合は皆無です。

◎攻撃のヒット感が心地よい

 ドラゴンクエストで「ヒット感」という言葉を使うことになるとは思いませんでした。
「かいしんのいちげき」や「暴走(魔法版のかいしん)」の派手なヒット感は癖になります。個人的には、ブーメランのヒット感からの鮮やかなキャッチが格好良くてお気に入りです。


◯解りやすいシステムと解りやすいチュートリアル

 このゲームで「チュートリアルを読んでもよく解らない」と思ったのはカジノのマジスロくらいで、他は移動も戦闘も会話も、まず悩むことはありませんでした。
 特に難しい操作や非直感的なボタン配置は無いので、シリーズ初挑戦の方でもすぐに慣れると思います。シリーズ経験者は言わずもがな。
 
また、難しい謎解きもなく、常に地図や仲間の会話で行き先を示してくれるので、攻略情報を一切見なくても迷いません。


◯モンスターの作り込み

 モンスター好きならPS4版かなと思います。
 フィールドでは群れで歩いていたり、眠っていたり、謎の集会を催したりしていて生態を感じられます。
 戦闘ではステータス異常ごとにちゃんとモーションがあって、色々試すのも楽しいです。初代のモンスターが3Dで動いているのを見ると感慨深いです。
 モンスター図鑑もあるので、収集要素としても良いモチベーションになっています。


【気になった点】


×ボウガン全般

 基本大絶賛したい本作で、唯一ダメな要素でした。
まず良く言われていることですが、暴発が多発します。遠くの敵に当てて自分の所に引き寄せる機能を持つアイテム(武器ではない)なのですが、目の前の敵にアタックしたいのに、ターゲットがズレて遠くの敵に当たってしまい、ボウガン発射モーションの硬直の間に目の前の敵に接近され、次は近付いてきた遠くの敵に距離を詰められ……とストレスが溜まる展開になりがちです。

 また、フィールド各地にある的を壊して、特定地域の的をすべて壊すと褒美がもらえる「ボウガンチャレンジ」があるのですが、取ってつけたような要素で何も面白くないです。しかしプラチナトロフィー取得を狙う場合はコンプリート必須となります。

 そもそもボウガン自体不要ではないでしょうか? 自分から敵に近づけば済む話なので。

△長く感じるローディング時間

 ルーラで行ける先が増えるほどに気になってきます。
特にフィールドに出る時が長いです。更に船上ではランダムエンカウントになるのですが、その際にちょっとした読み込みが入るので、フリーズが心配になります。

△サブクエスト

 流石にここまではストーリーの面白さを持ち込めなかったというか、よくあるお使いです。報酬は豪華なのでやった方が良いです。
 また「誰々と誰々の連携ゾーン技で特定の敵にとどめを刺せ」という内容のサブクエストがかなり面倒で、私は完全に放置しています。
 全部クリアしなくてもサブクエスト絡みのトロフィーは取得できるのが救いです。

△調べられるオブジェクトとそうでないオブジェクトの区別しづらさ

 樽やツボなどの人工物に多いです。似通った色や形状をしているので、序盤はよく間違えました。

△音楽

 好きな方には申し訳ありませんが、今回の新曲で良かったのは通常戦闘曲くらいでした。他に良いと思ったのはどれも過去作のアレンジ曲でした。
 昼間の街の曲に至ってはゼノブレイドクロス並にやかましく、一時期は街に入るたびに音量を0にしていました。

 また、PS4だとゲームからかなり浮いてしまっているように聴こえます。グラフィックや移動速度と曲が噛み合っていないです。
 加えて今や、「地域ごとに曲が違う」というのが当たり前になったので、フィールド曲がどの地域に行っても同じなのがどうしても気になりました。

 新曲作曲に限っては、もう他の方に担当して貰ったほうが良いんじゃないかなというのが正直な感想です。

【まとめ】


「ドラゴンクエストに求めているものは揃っている。あとは買って遊ぶだけ」

以上です。












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