ゲームクリア感想40:零 〜濡鴉ノ巫女〜


 思ったより早かったなというのが発表時の感想でした。
Wii U発表当時から「GamePadはもはや零のためにあるようなもの! 」と一部で言われていましたし、実際私も同じような感想を抱いて発売を心待ちにしていました。
 今年に入って初のWii Uソフトでしたが、もはや出ただけで満足なのに内容も伴っていて、待ち続けた甲斐がありました。

 一周目クリア時間は約20時間で、現在二周目難易度Nightmareクリア。
これから三周目に突入します。
このシリーズは引き継ぎ要素が豊富で、私にしては珍しく周回がさほど苦にならないですね。

【良かった点】

  • 戦闘システムの大幅な変更

やはりこれが一番大きいでしょう。過去作の、怨霊を捕捉してチャージを溜めるのも直感的で好みでしたが、今回は怨霊撮影時に出る「霊片」と呼ばれる撮影対象をより多く画面に収めて、ダメージを増やすというものに変わりました(怨霊・霊片・同行者が撮影対象となり、それらを5つ以上画面に納めればシャッターチャンスとなります。因みに霊片は放っておくと怨霊に吸収されて体力回復されてしまいます)。

 つまり、これまでは待ちの戦いだったものが自分から攻勢に出られるようになったわけで、このシステムを理解してからゲームが一段と面白くなります。 

 操作に慣れるまで少々手こずるのは否めないものの、過去シリーズの固定観念を捨て、Wii U GamePadを縦横無尽に回転させて撮影対象を収めるというコツさえ掴めば勝率も上がります。
 この「画面に撮影対象をとにかく多く収める」システムの威力を実感させられるのが集団戦で、うまく複数収めることが出来れば、爽快な大逆転が可能になります。撮影対象が多ければ多いほどフェイタルフレームの制限時間も延びるので、連写二桁も可能。場合によっては集団戦の方が簡単に勝てることすらあります。 

(「フェイタルフレームの制限時間」と書きましたが、こちらもシステム変更でタイミング方式は廃止されました)

 緊張感はやや薄れたものの、タイミング勝負の以前よりもシャッターチャンスを狙いやすくなったので、この変更は歓迎です。かつこの新システムと強化レンズ「遅」の相性が良く、また「遅」が低コストで発動できるのも相まって、零のプレイ歴において一番強化レンズを使いました。

 あと、 回避(強化装置入手後可能)の判定が緩くて、Bボタン連打が効くのも有り難いです。射影機を構えながらでも画面が赤く光ってタイミングを知らせてくれるのも親切設計。  それに加えて、掴み攻撃に対しても(掴まれながら)フェイタルフレームを狙えるようになっています。掴まれた瞬間片手で射影機を構えて抵抗する操作キャラクターは格好良い。

 

  • 移動速度の向上

ようやく速くなりました。演出の為意図的に速くしなかったとは思うのですが、屋外マップが広くなった今これまでの足の遅さだと流石に辛かったので。

  • ワンタッチで地図と画面を切り替えられる
GamePadだけでも操作可能なので、二周目はほとんど寝転んでGamePadだけで遊んでいました。そういう時にハードの特徴を活かしたこの機能は大変便利でした。

  • 好みの世界観
いつ来るだろうかと想像していた日本の山岳信仰がようやく来ました。もう日本家屋と残虐な儀式は食傷気味だったので、月蝕の仮面とも違う、夜の森と現代的な廃墟と水没という世界観は新鮮でした。零の日本家屋はどちらかというと時代劇チックで、恐怖のリアルはあっても環境のリアルを感じるかというとそうでもなかったので……今回も日本家屋(と儀式)はありますが、時代劇感は薄れていると思います。
 あと一部ミッションの監視カメラのシチュエーションは怖いです。

  •  シリーズ最大のボリュームとミッション制への移行
予想するよりも長かったです。かつ、今回からミッション選択制になったので、長めのシナリオを初めからやり直す億劫さから解放されました。
 また、ミッションごとにアイテム・フィルム消費数もリセットされるので、貴重なアイテムを使っても不安に苛まれることはありません。
 しかし、ミッションごとの得点計算の際に未使用のアイテム・フィルムも計算されるので、保持しておくメリットは十分あります。

  • リトライが速い
PS2時代の、ゲームオーバーのたびにスタート画面からやり直していたのは何だったのかと思います。詰んだと思ったらeasyでチェックポイントから再開、という妥協策も用意されているため、根気さえあれば詰みはないはず。

  • 拾えるアイテムの種類ごとに固有グラフィックが用意された
拾う前から種類が解るので、地味ながらも便利です。
ゴーストハンドのダメージ減少も助かりました。前作の眞紅の蝶では「ゴーストハンドに掴まれた」という理由でのリセットも発生するダメージ量だったので……

  • 周回で地図をちゃんと引き継ぐ
最近は流石に減りましたが、これより何倍もプレイ時間がかかるのに引き継ぎできないゲームが未だにあって。これまでと同様、当然射影機の強化や入手ポイントも全部引き継ぎます。

  • 難易度が絶妙
今回はEasy、Normal、Nightmareの3種類ありますが、 Normalは一周目だとそこそこのやり応えで、Nightmareは「難しいがクリアを諦めるのは尚早」程度のやりごたえで、中弛みせずに進められました。

  • 同行者が撮影の邪魔をすることが少なくなった
不安そうな表情で正面に立ち塞がりチャージを無にする姉はもう存在しません。
前述の通り撮影対象が多いほどダメージ量が多くなるので、むしろ正面にいて欲しい気もします。

  • ※10/18追記 今回もちゃんと怖い
全作遊んだ身としてはもうある程度慣れた、と思っていましたが間違いでした。
ゲーム性の変化やグラフィックの向上によるよりいっそう不気味な雰囲気、そして脅かしに頼らないさりげない恐怖演出が加わり、三周してもなお心臓が飛び出す経験を味わいました。肝心なことなのに書き忘れたので追記しました。

【気になった点】

  • クイックターンが出来ない
確かにWiiで出た二作品のクイックターンは暴発しがち(Wiiリモコンを左右に振る)だったけど、何も無くすことないのに。
 スティックを下に倒せばターンは出来ますが、それにカメラが追従しないので、ターンした後カメラも位置調整、という手間を掛けねばならず、そうこうしている間に怨霊に捕まってダメージ、というのが多発します。
 回避機能でカバーしろということなのでしょうが、回避で俊敏な反応を見せる操作キャラたちが怨霊の目の前でのんびり踵を返すのは何だかなぁという感じです。

  • 肝心のGamePadが射影機として上手く機能しない
  理由はGamePadのジャイロセンサーの精度にあり、説明書に従ってモニタに向けて構えると痛い目を見ます。私の操作も悪いのでしょうが、Wiiリモコンの頃から認識にあまり変化がないのはちょっと。公式動画やCMのようにカメラとして用いるのはまだ辛いです。

  •  オートセーブの間隔が長い
  ようやくオートセーブが採用されたのはとても嬉しいのですが、肝心な所でセーブしてくれないことが多くてストレスが溜まりました。

  • 怨霊の出現率がやたら高い
ただでさえ高めなのに、夜泉濡状態だと更に高くなるので探索に支障をきたすレベルです。しかも執拗で、これまでのように逃げてもどこまでも追跡してきて不意打ちしてきます。たまに諦めてくれますが、基本は出現したらまず戦った方が早いです。
酷い時などは5秒おきに出ました。
確かに戦闘は楽しいですが、次回作からは「零は怨霊が出ない時のほうが怖い」と言われている理由を再確認して欲しいと思いました。

  • 一部の怨霊があまり怖くない
デザインが洗練されていてむしろ格好良い。しかも割とハキハキ喋るので、怨霊というより「ワープできる不気味な人」という印象すら抱きます。
 序盤から出てくる一般人怨霊なんかは相変わらず怖いですが。

  • 看取りの判定
  倒した、或いは大きく怯んだ怨霊に接近すると「看取り」というアクションが起こせるのですが、 その判定が怨霊によって緩かったり厳しかったりでまごつくことがあります。特にラスボス戦は何度もやり直す羽目に。背後から接近すると成功しやすい……と思っていましたが、何度か戦う内にあまり関係無さそうな気がしてきました。

  • 雛咲親子について(以下ネタバレ)
まず深羽は声が合ってない時が多いです(声優ファンには申し訳ないけど)

 あと初代主人公の雛咲深紅ですが、正直作中での行動には疑問でした。
刺青ノ聲のエンディングで言っていたことは何だったのかと。それでも諦めきれない人間の弱さというのは解るのですが、現に生きている身内を捨ててまでやることかそれは、という疑問ばかりが浮かび、今作のラストでも乞われたから渋々現世に留まった様にしか見えなくて、こんなキャラだっただろうかというモヤモヤしたものが残りました。
 約9年ぶりの再登場と同時に(恐らく)最終出演となるにしてはどうにも消化不良です。

  •  旧作に比べると弱いシナリオ(以下ネタバレ)
システムの変更に反して、シナリオ面はこれまでの集大成的なもの(キャラクターなど)を感じたのですが、 それ故にインパクトが薄くなった感があります。シナリオの流れもワンパターンで、山に人探しに行って、また誰かが抜けだして山に行って、箱を開けて……の繰り返しで、折角の複数主人公なのに勿体ないなと。

 あと、流石にお屋敷と儀式は次から完全撤廃でも良いんじゃないかと思います。リメイクの眞紅の蝶を除いても5作品連続で出てきて、もう充分じゃないかと。このシリーズの魅力というのは承知していますが、このシステムを限定されたロケーションに留めておくのは惜しいと感じてしまいます。
 それと、後半のあるミッションで、一度怨霊化したのに人間に戻れるのは流石に違和感を覚えました。

  • ※10/18追記 アイテム・ファイル関連が相変わらず不親切
2014年にもなってアイテムやファイルのソートが出来ないのは流石に不親切だと思います(写真にはある)

 【まとめ】

 良くも悪くも零は零でした。

システム的には今作が一番改善を果たせたと思いますが、それでも操作性やゲーム性にはまだ不満が残りますし、ロケーションにしてもまだ色々回れると思いました。
  新作が出ただけで嬉しいですが、次回作があるなら今作以上に新しいものが見たい所です。

 エンディングテーマを天野月から変えたのは反発覚悟の判断だったと邪推するのですが、私は一ミュージシャンをいつまでも零に縛らせておくのもなぁと思っていたので(私が気を配る所では無いですが)、その判断は支持します。

 確かに新エンディングテーマよりも今回の天野月楽曲のほうが好きですが、ファンだけがいつまでも「蝶」を追いかけ続けている気がして……


(こういう時文末に「ドヤ顔」などを付けないのが勇気)




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