ゲームクリア感想254_Daymare:1994 Sandcastle(PS5版)



前作の記事はこちら

個人的に前作を推していたので発売日に購入。前作をクリアしたのがもう3年半前というのが驚きです。わりかし記憶が鮮明で、つい先日までプレイしていたような気がするのですがそれだけ前作はお気に入りでした。
実は上の記事を更新したあとプラチナトロフィー取得に挑戦し、記事更新の2ヶ月後に無事取得と相成りました。当時そこまで頑張れたのも、荒削りながらやりこみたくなる魅力があったからだと思っています。

なので続編となる本作はとても楽しみにしていました。



【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン ver.2.001
難易度 序盤ノーマル、以後ストーリー(easy相当)
クリア時間 約 08:32:48
トロフィー取得率 39%

ちなみに、今は二周目を難易度ハードコアで進めて詰んでいます。

【良かった点】

◎グラフィックや演出面の強化でホラー度UP


前作も十分怖かったところ、グラフィックの向上と演出のバリエーション増加で更に怖くなりました。
ちょうどこっちが不意を突かれそうなタイミングで脅かしがあり、それにより警戒したプレイヤーを脱力させるすかし演出ありと、プレイヤー心理を巧みに突いてきます。


こういう場所の角で敵が出待ちしていないかビクビク


ストーリー・世界観


このシリーズのストーリーはなかなか面白いのですが、続編の今作も変わらず先が気になる内容でした。しっかり前作とのつながりもあります。
ストーリーだけなら本家よりも良いかも(でも最近は本家もストーリー面を強化しつつありますね)。もうクリアすると「Sandcastle」という副題以外は考えられません。

世界観も中盤あたりから良い感じになってきます。エリア51の地下には巨大な施設が広がっていた……という誰しもがワクワクする設定で、中盤以降はバイオショックやFalloutを彷彿とさせる雰囲気に。序盤はいかにもゲーム的な研究施設で物足りなさを覚えていたところ、そこを越えてから少しずつ舞台も様変わりしていき、探索も楽しくなりました。


このゾーン好き



◯システム面


難易度高めなぶんオートセーブの間隔が短めでリトライの負担が前作より多少軽減されていると感じます。難易度については思うところありますが、オートセーブの充実は助かりました。前作の間隔は長めだった(と3年半前の自分は書き残している)ので。

また、前作で手強かった謎解きの難易度が緩和されています。全編ノーヒントで行けました。前作の凝った謎解きもあれはあれで試行錯誤が楽しかったので無くなると寂しいですが、まぁ詰まるよりは……

日本語訳に関しては大きく気になる点はなく、ゲーム進行に支障なかったです。このシリーズは比較的ローカライズに恵まれていると思います。



【気になった点】


×不具合の多さ


移動床でポリゴンの隙間に落ちる、音声記録が再生されない、BGMが再生されなかったりゲームオーバーのSEが急に音量上がったりするなど、前作に負けず劣らずの不具合です。

ちょっとこういうところは脇を締めて欲しかったかも。ポリゴンの隙間などは使い方次第で有利に立ち回れるとはいえ活用できる局面が限られているし。




×強制戦闘の多さおよび敵の強さ


序盤から終盤まで一番辛かったのがこれです。常に起伏なく難易度が高い。

前作は本家バイオハザードと同様にある程度敵のスルーができたのに対し、今作は敵が出る8~9割方の局面で強制戦闘となっています。丁寧に出口も塞がれます。


しかもその敵が序盤から強い。ワープするし、画面外から引っ掴んでくるし、ダッシュ速度が主人公と同等でどこまで逃げても追いつかれるというハイスペックで、しかもそれが序盤から4~5体出現は当たり前。難易度ノーマルは実質ハードだと判断し、詰むよりはマシと難易度を下げましたがそれでもそこそこ苦戦しました。

(※ちなみにワープや画面外に関しては設定変更でカメラを引き気味にするとわずかながらマシになりました。)


そして主人公の動作がとにかく遅い。特殊部隊所属のわりに武器の切り替えも方向転換も遅く、敵のスピーディーさに(さらに言えば戦闘システムの変化に)追いつけていません。恐怖や焦燥を体験させるためあえて不便にしているのでしょうが、強制戦闘で強制的に何十回も体験させられると不快感が勝ります。


戦闘自体に関しては、余剰回復アイテムがあるならあえて掴まれて反撃の範囲攻撃で有利な状況を作り出すなどそれなりに取れる選択肢はあると思いますが、大抵の戦闘では物量差が厳しくてそういうのを試せる余裕もなく。


個人的にはこの戦闘スピードと敵のワープなら、こちら側に(有限でも良いので)回避などの対抗策があると良かったなと思います。もっとも実装しなかった理由も想像がつくので、あくまで妄想です。

余談ですが、これに関しては今年発売されたTHE CHANTが良くやっていて、回避はできるけど非戦闘員丸出しのモーションの長さでバランスを取っているのに感心しました。


ダラダラと書いてしまいました。

思うに、制作時に繰り返しテストする中で制作陣のプレイスキルが向上し、初見プレイのプレイヤーとの難易度認識がずれてしまったのではないかと想像しています。とはいえ、高難易度化路線に舵を切った可能性のほうが高そうです。




×ストレスフルなラスボス戦


仕様を理解した瞬間「嘘でしょ?」と思いました。

考えうる限り最悪の手法を採っているので。


スタート地点からゴール地点までラスボス含む敵を振り切っていく流れなのですが、ワープしてくるラスボスに捕まると問答無用でスタート地点に戻されて仕切り直しとなります。最初、戻されるたびに主人公の台詞が違うのでそういう強制イベントなのだと思っていたら、主人公の台詞がループしてようやく察しがつき、そして絶望しました。かなりの反応速度で画面外から引っ掴んでくるというのにスタート地点へ強制リスポーン? しかも回数による緩和処置なし?(恐らく)。最後の最後で心が折れかけました。


もちろん対処法はあります。完全に接近させる前に特殊モードの武器で凍らせれば追い払えます。気のせいか、背後や側面に現れるのはエリアの最初くらいで、一度出たら次は画面の範囲内前方に出がちなので慣れれば対処できると思います。


コツを掴めば、あとはたまに現れる雑魚をやり過ごしつつ分割されたエリアごとに同じことを繰り返していくだけ。仮にスタート地点に戻されても毎回アイテムは再配置され、スタート地点付近で起きる雑魚との戦闘も4回に1回程度なので、リソース切れでの詰みは起きにくいのが有情です。それよりスタート地点へ戻すなという話ですが……


しかしその有情を汲んでもストレスフル。こちらがコツを掴まない限り理不尽なワープで無限に戻されるというのがここまで辛いとは思いませんでした。

前作のエレベーター前チェイスも詰みかけましたが、あちらが高難易度ならこちらは不快感が強いです。2作続けてラストがこの調子という事態、不安になります。



△ハッキングのミニゲームがシビア


苦手なタイプの時間制限パズルだったので全クリは諦めました。しかも試行回数を超えると二度と再挑戦できず、やり直すにはセーブ&ロード必須。中には回復アイテム等のほかに武器のアップグレードアイテムがあるので、ただでさえシビアな道中が更に厳しく。




【まとめ】

残念ながら、ちょっと期待していた続編と違いました。前作の探索が楽しかったので、ロケーションがほぼ一ヶ所で寄り道要素もあまりないのは窮屈に感じました。妙な高難易度化もこのゲームにはあまり望んでいなかったです。
あれだけの前作を作り上げた制作陣、一体どうしちゃったの? というのが本音です。前作の良かった点の多くが消えて新鮮味のないバトルTPSになった感があり、本家の絶妙な調整の良さを再発見しました。

やっぱりホラーゲームの続編は作るのが難しいのでしょうか。前作の良さが消えてがっかりしたという点ではダイイングライト2に近い感覚です。全体的には続編のほうがやれることが増えて完成度が高いのだろうけど、個人的にはそれが前作の魅力を凌ぐほどではないという。

デイメアシリーズは三部作予定で本作は二作目、とのことなので続編の可能性も高いですが、
仮に日本語版が出ても警戒心が働いてしまいそうです。ストーリーの行方も気になると言えば気になるとはいえ、もうスタート地点逆戻り無限ループのラスボスとかやりたくないし……

とはいえ残念な点ばかりではなく、グラフィックの向上でホラーゲームとしては順当に怖くなっていますし、敵の出現タイミングをある程度把握した二周目は程よくサクサク進められるようになります。こう言いつつも二周目を難易度ハードコアで初めて詰んでいますが、序盤に限れば一周目難易度ストーリーよりも二周目難易度ハードコアのほうが程よく楽でした。しかし前作は一周目からそれができていたのも確かで、全体としてはやっぱり望んでいた続編ではなかった、という結論です。

個人的には、グラフィックや演出はもう本作の水準で十分なので、次回は戦闘バランスや不具合などが見直されていればシリーズ最高傑作になりそうな予感がします。でも売上と評判的にどうなるやら……(デウスエクスみたいに2作目で打ち切りになった例もあるので)

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