ゲームクリア感想253_Ghostwire:Tokyo(PS5版)


Tango Gameworks作品の記事は↓



このゲーム、好みすぎる……!


初報の段階で購入決定していたのですが、諸々タイミングが合わず前日譚のノベルゲームだけを先行して遊び、今になってようやく本編のクリアに至りました。良作の予感が迸っていたため、どうしてもまとまった時間を取って遊びたかったのです。

結果、これまで経験したオープンワールドの中でもトップクラスに好きになりました。元よりTango Gameworks作品は世界観やキャラクターに加え、操作感やレベルデザインが個人的にしっくり来て大変好みなところ、これまで以上に好みな作品が増えました。

ちなみに今年の大規模アップデートの後に始めたので、追加要素はローグライクの「蜘蛛の糸」以外エンディングまでに一通り体験しました。

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン ver.1.009
難易度 NORMAL
クリア時間 約 76:57:40(クリア後の取りこぼし要素回収などで約82時間)
トロフィー取得率 100%(プラチナ)


【良かった点】


◎圧倒的に精緻な現代東京の描写


自分の中でオープンワールドという概念が数段階進化しました。

構造物で溢れる現代の街並みを大規模に再現するのは大変だという話をどこかで読んだのですが、このゲームはそれを実現していると思いました(他作品には「龍が如く」シリーズなどもありますが未プレイなので……)。現代の東京の空気感が非常にリアルでディテールも細かく(ゲームの都合でアレンジはされていますが)、更にはPS5のハードパワーもあって美麗。
10歩も進まないうちに街並みの観察や写真撮影で立ち止まってゲームが進まないくらい。
これまでは大体のゲームでも読めない背景でしかなかったポスターやチラシの字まで読めるという細かさ。



最序盤から見知った風景


また現代東京だけでなく、冥界(死者の世界)の描写も好きです。アンビエントにアレンジされた「シャボン玉」「とおりゃんせ」が流れる中、森の中や夕陽差す沼など郷愁を誘う原風景がそこに在り、不気味ながらもどこか落ち着きます。完全に異世界や大自然というわけではなく、人の手による建造物も混ざっていたりして、どこか現実と地続きなのもリアルに感じます。死んだらこういうところに行くんだろうなと感じる雰囲気が魅力的。





こういう「名前のない風景」のリアルさが凄い




街だけでなく、こういういかにもな場所も



◎設定の落とし込みの巧さ



街の描写が凄いだけではなく、ちゃんとゲームシステムに落とし込んでいるのが良いと思います。
拾えるテキストは落ちているスマートフォンだったり、回復アイテムがコンビニの袋だったり。特に回復アイテムはビニール袋のグラフィックひとつだけで中身が違うというのは理に適っているし、よくある光の点ではなく街中に溶け込んでいるので世界観を壊すこともなく、すごくいいアイデアだと思います。これまで現代都市オープンワールドは、そもそも回復アイテムの概念がないものしかやってこなかったので、新鮮なアイデアに膝を打ちました。

あと、大多数の人間がオープニングで消失したことで、大規模なオープンワールドでも極少人数のネームドキャラクターでストーリーが回せるし、消失した人間も経験値素材(回収したものを各地の電話ボックスで送って経験値取得)とすることで無駄のない構成になっているのも美しいです。。
かつ「渋谷のほぼ全住民を回収して最終的に元の世界に戻してあげる」という大義があるのでモチベーションに繋がります。
大きく出た設定ですがただ経験値として回収するだけよりは良いし、ゲームとして違和感のない落とし込みがなされているので自然に受け容れられました。

工夫次第でパワープレイじゃなくてもオープンワールドは作れるというのを感じました。



◎縦横無尽な探索とコレクタブルの充実


個人的に一番楽しかったところ。現代日本を舞台にしたゲームはいくつかあっても、インファマスダイイングライトのように縦軸にも探索できるゲームはなかなかないと思うので新鮮でした。
平面を探索するだけでも十分楽しいのに、地下や屋上まで行けるのだから大ボリューム。
さらにはいくつかの部屋にも入れます。この部屋がまたリアルで、団地、ワンルームマンション、戸建でそれぞれ生活感がしっかり漂っており、日本在住の人なら絶対どこかで見たことあるような空間に仕上がっています。


本当はこれくらいの広い部屋に住みたい


エレベーターホールの妙な清潔さと静寂、確かに異世界感ある


「夜中に起きた時の実家の台所」感


また収集物も多種多様で、大半にデータベースで読み応えのあるテキストがついているので楽しいです。一部収集物は特別なアクセサリーを装備すれば近場のものまでガイドしてくれるため、トロフィー取得の大きな手助けとなりました。
この移動も充実しており、ファストトラベルは神社や名所など対象が豊富で困ることはないし、そもそも素の移動速度が早めなのでファストトラベルなしでも問題ないです。むしろ探索のためにファストトラベルはあえて使いませんでした。



◎秀逸なレベルデザイン


Tango Gameworksのゲームはレベルデザインが秀逸だと勝手に思っているのですが、オープンワールドになった本作でもそれは変わらず、敵が急に強くなり過ぎて詰まったりすることは一切なかったです。アップグレードで追加されたマレビト(敵)が他より面倒なくらい。
メインストーリーと探索が大幅に乖離したりすることもなく、どの要素も今進めている行動の延長線上で行えるので快適でした。



◎デザインや演出などのビジュアル面


和風テックウェアな服装、どこか人間ぽくて不気味なマレビト、和とサイバーを掛け合わせたような各道具意匠、スマートなUIなど、ビジュアル面が群を抜いていると思います。それでいて本来的なイメージの妖怪もしっかり描写されている隙のなさ。
ちなみに有名どころの妖怪や都市伝説はほぼ全てカバーされており、東京地盤のホラーというよりは日本を代表する有名どころが全国から集まった感じです。

個人的に好きなのは、屋外でマレビトに警戒されると街灯が黄色に、発見されると赤色に灯る演出です。敵からの警戒レベルと背景を連動させるのは他作品でもそうそう見ないスマートな発明。その手があったか! と感動しました。
百鬼夜行が接近している時の電気が消えて煙が出て土砂降りになる演出も好き。


接近するとお囃子(?)みたいなものが鳴り響く



◎動物がかわいい


人間は消失しても動物は生き残っています。犬・猫・狸とは会話でき、犬(柴犬や黒柴)はほぼ全匹撫で回せます。鬼のサブクエストだとマレビトの吸収攻撃(直接暴力はなし)から護衛する必要があるので、動物が痛む描写がダメな人はそれだけ注意が必要かも。サブクエストなのでやらなくてもクリアできるものの、育成コンプリートやプラチナトロフィーには必須となります。


ナデナデ中はフォトモードを起動できないのが玉に瑕



◯ゲーム内で好きな曲を流して移動できる


インベントリの「MUSIC」から入手した曲を再生すると移動中も流れるので、好きな曲で探索できるのが嬉しい所です。また曲自体も収集要素になっています。


◯締めるところは締めるメインストーリー


オカルトに限らず、主人公とその体に入り込んだ年長者男性のバディものという側面もあるメインストーリー。実のところ中盤まではあまり惹かれませんでした。相棒の男性のバックグラウンドは前日譚のノベルゲームで語られているし、主人公の背景もなかなか明らかにならないし、この二人以外のキャラクター付けは安易に感じるしで、メインそっちのけで探索しているほうがよほど面白かったです。

ただ、ゲームを進めていくにつれサブクエストや何気ないボイスを通じて少しずつお互いの人となりが判明していき、ラストに臨む頃には好感の持てるバディとなっていました。
そして「家族」という存在とそれぞれが向き合ったエンディングは感動しました。あまりベタベタな言葉を交わさないのが良かったです。

振り返ってみると、肝心の主人公の人となりが今ひとつはっきりしないのも没入感を高めていた気がします。若年日本人男性の最大公約数みたいな感じ。あと、主人公が電話の向こうのあまり親しくない相手には敬語だったり、敵の価値観もしっかり尊重するあたりも現代らしくて好感が持てました。ゲームゲームした台詞や振る舞いが控えめに感じます。


【気になった点】

※いずれも強いて言えば程度です。

△戦闘


動画で見るとスタイリッシュなのですが、スキルも揃わず慣れないうちは地味かつ単調なので、あまり進んで戦いたくなる感じではなかったかも知れません。スキルの育成などが進んだ終盤になると楽しいです。最終的に、序盤はパッとしなかった水の攻撃が一番爽快になりました。とはいえ、戦闘から得られる報酬の少なさもあって、無視できそうなマレビトは無視してしまうことのほうが多いです。リポップ間隔も短めだし。




△若干の操作面


R2に役割が多いので対象オブジェクトが被っていると誤爆しがち(マレビトが近くにいる時の「悔抜き」と即浄など)、二段ジャンプの反応が悪いなどが気になりました。



【まとめ】


ここまで不満がほぼないオープンワールドは初めてです。
世界観・探索・ストーリー・BGM・演出・システム・レベルデザイン……とすべてが自分好み過ぎて、これをこのまま受け取ってしまって良いのですか!? と思わず困惑してしまうほど。いや本当に良かったし、この先何年も人に勧め続けるでしょう。本当に制作陣には感謝しかないです。
もっとも追加要素のローグライクだけは避けてしまいましたが……(ローグライク苦手)。

とにかくダレるということがなく、なんなら無目的にうろつき雰囲気を味わうだけでも面白い。どうしても自力では見つけられなかった3~4の収集物だけ攻略情報に頼ってしまいましたが、それも本来なら不要。ゲームにほぼほぼ好きな要素しか詰まっていないので、発売当時にリアルタイムで遊べなかったことが悔やまれます。
もし続編があるなら、いやTango Gameworkの新作ならよほど苦手ジャンルでない限りは発売日に起動します。サイコブレイク2とHi-Fi Rushではそうできていたのに……(ちなみに2023年発売のHi-Fi Rushが現時点の最新作です。こちらの都合でクリア時期が前後しました)

プラチナトロフィーも取得し、残る要素は未回収のグラフィティ2つとほとんど進めていない心霊写真(追加要素。写真の場所を特定して現地で除霊する)。くらいなのですが、これはあまり急がず、気が向いた時に起動して少しずつ進めて行こうと思います。



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