ゲームクリア感想255_Fobia:St. Dinfna Hotel(PS5版)

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(PS Store)

ゲームでも現実でもホテルの探索大好き!

なので、タイトルに堂々とホテルを冠している本作を見過ごすわけにはいかず(ホテル・ソウルズもありましたね)、話題の超新作の話題をチラチラ確かめつつ始めました。
もっとも、2022年発売のサバイバルホラーゲームをこのタイミングで始めたのは、直前にやった同ジャンル作品に物足りなさを感じたからというのが大きいです。

背景情報としてはブラジルの制作スタジオ発とのことです。ゲームの舞台もブラジル。
一人称視点で、人によっては画面酔いしてしまうかも知れません。特に序盤の客室脱出は狭い中で頻繁に視点移動するので、三半規管や目の痛みなどを理由にそこで諦めたプレイヤーがそこそこいると睨んでいます。
そして、序盤どころか始終暗い閉所を行ったり来たりするので、閉塞感や画面酔いなど苦手な人はとことん苦手なタイプのゲームだと思います。自分の場合は序盤こそ不安でしたが、進めていくうちに予想以上にハマりました。

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン ver.1.004
難易度 設定なし
クリア時間 一周目:約 17:44:00
トロフィー取得率 %


【良かった点】


◎謎解き・探索メインの作り


これが一番好ましい点でした。
本作のジャンルとしてはサバイバルホラーとなっています。しかし同ジャンルの作品と比べればかなり戦闘は控えめで、ザコ敵は実質二種類(人型とクモ)しか出ず一度倒せば復活もなし(たぶん)、ボスもそこまで強くないので、ゲームの85%くらいは探索と謎解きでした。何しろ、サバイバルホラージャンルには珍しく戦闘の難易度設定がないくらいです。初代SIREN以来な気がします。

敵配置の頻度も緩やかで、一周目はオープニングから最初の戦闘まで二時間近くもかかりました(探索や謎解きに迷って)。
とにかくじっくりゆっくり進められるので、思ったより好みな感じ。


サバイバルホラーおなじみの洋風ホール


いわゆる洋ゲー、当然のようにチェス要素が出てくる(本作のは任意です)


◎オプションの充実


なかなか設定項目が充実しています。カメラリバースなどの基本的なものはもちろん、アクセシビリティが充実していて、照準アシストや色盲対応のほか、ボス戦に弾薬追加される弾薬アシストや操作時の手ぶれ対応まで。

初めから大多数・最大公約数のユーザーを想定してデフォルト環境を整えるというより、材料は用意したからそっちで組んでくんな! ガハハ! というストロングスタイル。
実際デフォルト設定だとかなり遊びにくかったので、どのゲームでもオプションはデフォルトにしがちな自分が珍しくこまめに弄りました。


◎手軽で充実したニューゲーム+


この手のゲームのご多分に洩れず、クリアするとニューゲーム+が解放されます。
これまで入手したアップグレード素材を全部引き継いだ状態で始まるというもので、ハンドガン以外の武器も入手していれば初めからアイテムBOXに入っています。

さらにここから衝撃で、特定の武器をフルアップグレードすると、アイテムBOXから無限弾を入手できます。インベントリ枠をひとつ埋めるだけでその武器の弾薬無限となる大盤振る舞い。かつ特定のやり込み条件達成などは不要なので、序盤からかなり楽ができます。私は一周目も二周目もショットガンをフルアップグレードしました。

ショットガンが強いものの、戦闘自体の難易度が低めなので、武器はひとつ強化すればそうそう負けないと思います。よほど回復アイテムが不足しているとかでなければ詰みはないです。ボス戦に限れば弾薬アシスト設定という救済措置もあるので過度に不安視せずとも大丈夫。


◯正攻法で怖い


奇を衒った脅かしはあまりなく、シンプルに雰囲気や物音で怖がらせてきます。いかにもジャンプスケアがありそうなイメージでしたがそこは控えめで、むしろ扉の開閉音や上から突然降ってくるクモ型クリーチャーなどに驚きます。

武装が充実しているのもあって、他のサバイバルホラーにあるような敵が怖くて一時間動けないといったことは起きませんでしたが、ちょこちょこリアルなビビり要素があり、総合的には結構怖い思いができました。

クリーチャーも種類が少なく素直なデザインで、ボス除けば人型とクモ型しか出てきません。
人型はパッと見あまり怖くないものの、よく観察するとかなり人間の面影が残っておりゾッとします。しっかり瞳があるし死ぬ時は人間らしく痛がるし。
そしてクモ型は、ベースはクモなのに細かい挙動に他の不快な虫(お察しください)がミックスされていて、弱いにせよ不快度が高いです。しかも小さくて索敵困難。この辺のデザインもいい仕事してるなと思います。


◯興味をそそられるストーリー設定



期待を寄せるのは主にホラー体験で、ストーリーはそこまで重視していなかったところ、最終的にはストーリーも興味深かったです。
過去・現在・未来のタイムラインに分かれており、カメラを通してそれらを切り替えて謎解きや探索を進めることになりますが、このあたりの設定がなかなか一筋縄ではいかない感じで興味をそそられました。ビジュアルで見るのが早いです。


不穏



屋外も



そして終盤は驚きの展開となり、続編に続いても続かなくても壮大な感じになります。ホテル舞台のサバイバルホラーというだけでもバリューたっぷりなのに、それだけでは終わらせないという気骨を感じます。




【気になった点】


×ゲーム環境設定に難儀する


かなり暗くてゲーム進行に差し支えあるレベルです。序盤のロッカーから懐中電灯を入手できるとはいえ、人によってはそこまでの道中で目を悪くしてしまうかも。暗所は懐中電灯のほかにカメラの暗視機能でも対応できるとはいえ、それでも見づらい。


かと言ってオプションから明度を上げすぎると雰囲気が台無しになるので、自分は明るさ2.5に設定して進めました。そうすると今度は明るいところの字が読みにくくなるのでその度にオプションから調整して…と臨機応変な対応をしていました。


他にも、明度調整と同じ項目にあるレイトレーシングをONにするとガクガクになるので諦めたりと、画面関連はかなり難儀しました。


またオプションが充実している一方で、デフォルトでONでもおかしくない機能がさりげなくOFFになっていたりして、気がつくか気がつかないかでかなりゲーム進行が変わってきそうです。

小目標表示やインベントリアイテムの拡縮表示なんかアクセシビリティ欄で何も主張せずオフになっているのに終盤気がつきました。




△アイテムの強調表示が控えめ


アイテムも仕掛けも背景と同化していて見逃しが多発。さりげない視線誘導に気がつかないとキーアイテム探しにひたすら迷います。最長でひとつのキーアイテム探しに2時間迷いました。

それどころか、私は一周目でよりによって懐中電灯を取り逃がしてしまい、ゲーム全編が暗闇との戦いでした。ライトはデフォルト装備のゲームに慣れて、まさか懐中電灯の入手が任意とは思いもしませんでした。背景の小物凝ってるなとしか思わずスルーしていたので、二周目で初めて入手した時は感動しました。


またボタンが複数ある系の謎解きでも、今どのボタンに触れているかが判別しづらいです。昔のWindowsを彷彿とさせるPC風画面も、白カーソルと白背景が同化して……


これに関連して、ダイヤル錠のツマミ回し操作もはじめ手こずりました。変な言い方で恐縮ですが、ゲーム的なダイヤル操作ではなくリアルなダイヤル錠の操作感(数字の確定操作? がなく左に10回したらそのまま右に5回すみたいなアレ)なので、コツを掴むまで何回かやり直しました。


自分の賃貸のダイヤル錠ポストの開け方が分からず、2回も管理会社に連絡した記憶が蘇りました。動作性IQの低さよ……




△日本語訳の不安定さ


しかし翻訳されているだけ有難い。

謎解きに関してはノンバーバルなものが多いのであまり困りませんでしたが、各種テキスト類がちょっと雰囲気を損なっていて、ストーリー理解にも若干支障があったかなと思います。

特に肝心なエンディングで話者のミスがあり、せっかくの展開に水を差しています。



【まとめ】

 
最終的にお気に入りのゲームになりました。
ホラーゲームのフォーマットでホテルに特化したゲームやりたい! という我儘に応えてくれる作品があったとは。
ちなみに同じ宿泊施設でも旅館だとあんまりピンとこないことが多いです(と言っても真砂楼くらいしか思い浮かばない)。日本人だからかも知れませんが、和風建築だと「いかにも出る感」があからさまで、探索の楽しさよりも恐怖一辺倒に感じがち。

閑話休題。
今となっては好意的ですが、始めた当初は序盤の客室脱出ゲームで「あっこれは」と察するものがありました。これまで自分が投げ出してきた各種脱出ゲームに似たものを感じ取ってしまい、これは選択を誤ったかと。

まぁ長くても8時間ほどで終わるだろうと一気にクリアしてしまうかという勢いで進めたら、存外好みの作りでハマり土日を捧げました。
正直、ゲームとしては粗いところもあり人を選ぶのは確かですが、サバイバルホラーのフォーマットで探索8:戦闘2くらいのものを遊びたい!というニッチな需要に応える内容になっています。
適度にルートの自由度もありでRTAなんが映えそう。

突発的に始めた旧作で思わぬ掘り出し物でした。

「バイオハザード的なフォーマットで敵がほとんど出てこない探索ゲームがしたい!」
「二周目以降でもいいから緊張感を犠牲にしてでも無限弾で楽して探索に集中したい!」

 というニッチかつ身も蓋もない需要に応えている稀有なゲームでした。

もちろんニッチ故のとっつきづらさは確実にあるので、これから始める方は戦闘の難易度よりも「画面酔い」「大型の虫」「不安定な日本語訳」「謎解きで詰まる徒労感」などを許容できるかどうか再考した上で購入することをおすすめします。フルパッケージで至れり尽くせりとは程遠い内容ですので……


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