ゲームクリア感想234_ザ・チャント(PS5版)
公式サイト(外部リンク。重めです)
カルト団体が支配する島を舞台にしたホラーアドベンチャーゲーム。昨年10月ごろ日本発売予定だったのが約半年延期。かなり好みな設定なので延期前から楽しみにしていました。
ゲームとしてはオーソドックスな三人称視点。ステルスはありそうだけどなく、敵から距離をとる程度。グラフィックは大手と比べるとやや大人しいけど環境は充分綺麗。
また意外にも操作は地味に好感触。PS5の性能を活かしている……という感じで始めました。
こうした色付きエリアに入ると「精神」(画像の脳アイコン)が削れていきます |
【主なプレイ環境】
ハード PlayStation 5
バージョン 1.00難易度 一周目…均衡(ノーマル相当)、二周目…賢者(ハード相当)
クリア時間 一周目…約10時間、二周目…約7時間
トロフィー取得率 71%
【良かった点】
○臨場感に寄与するリアルな素人のモーション
一部の発売前情報でも触れられていましたが、実際やってみると感心しました。訓練も受けていない一般人が華麗な回避行動とか取れるわけないだろと言わんばかりのリアル志向な動きで、回避すれば尻餅をついて後ずさりしてやっと立ち上がるし、攻撃モーションも余計な体力を消費しそうな大振り。
こういうのっていざゲームに落とし込むと「リアルかも知れないが特に面白くない」になりがちなところ、ホラーゲームというフォーマットを活かしてその無様さ・素人くささを緊迫感・臨場感に繋げているのが巧いです。
ある程度慣れるとそのモーション前提で動けるようになるのも上達を感じて面白い。攻撃を回避したら遠距離攻撃で怯ませて接近して攻撃、が定石。素人主人公とプレイヤーの上達がリンクしていると思います。インディーゲームにおけるフォトリアル志向の成功例?
○程よい探索
正直、予想していたよりかはエリアが狭かったです。島ひとつまるごとオープンワールドとかではないです(それを期待していたわけでもないですが)
ただコレクタブルは割と多めに配置されていて読みがいがあるし、気づきにくい場所に隠しエリアがあったりと、それなりに探索が楽しめました。そういう隠しエリアにはそこまで敵も出ないので、探索すればするほどノーリスクで有利になれます。
特にボス撃破後は雑魚敵がエリアからほぼ消滅するので、精神の残りゲージと相談してみっちり探索するのも可。もっともそういうフリータイムは追跡者(捕まると即死)が出没しがちなのですが……
ちなみに、ゲーム進行に伴う敵の再配置はあっても復活はないと思います。
この画像は暗いけど暗所は懐中電灯が自動で灯ります(入手は序盤) |
○ゲームテンポの良さ
控えめなボリュームにもかかわらず、妙に複雑な謎解きなどはないのでサクサク進みます。強制ミニゲームなどもほぼなく(中盤のライトシューティングくらい)、最初から最後まで覚えた操作だけで進められます。
そこまでの余力がなかったのかも知れませんが、ミニゲーム類を一切採用しなかったのは好感が持てます。「覚えた操作だけで最後まで進められる」というのは地味ながらUXの面で重要だなと思いました。
それに加え、大ボス以外の敵はほぼスルーできます。登場ムービーとかがあるような中ボス格ですらスルー可能。一部の敵は扉を開けて追ってくるものの、紋章のある場所やエリア外に出ればサクッと諦めてくれます。プレイ感はアランウェイクやラストオブアスシリーズに近いかも。
そのため、最高難易度でもそんなに体感難度は変わらなかったです。アイテムの配置も同じなので、被ダメ量が微増したくらい。二周目を最高難易度で挑戦する前は不安でしたが、敵をスルーできるポイントを前提知識として把握しているため、むしろ一周目よりもサクサク進みました。
【気になった点】
△期待はずれのストーリー
端的に言って描写不足に思えます。
何しろカルト島に着いて約半日で怪異に巻き込まれ、各キャラをよく知る前に事態が急転し、大して会話していないうちから早々にキャラクターの底が知れてしまったり、言動から末路の予想がつくので、ストーリー展開に心動くことも少なかったです。動揺したのはラスボスのえげつないデザインくらい。
ストーリー要素として会話の中で選択肢を選べますが、上記の件もあってどこか唐突感があり没入感は特に感じませんでした。
そしてエンディングも、結局伏線を残したまま終了という感じでした。続編やDLCに繋げようと思えば繋げられるし、一作で完結させようと思えば完結できるタイプ。
自分のプレイ傾向のせいか2回とも同じ「精神」エンドだったのでそう感じるだけかも知れませんが……
あと、プロモーションにあるようなカルト宗教要素はそこまで濃くないです。そういう描写がされるのはほぼ序盤で、以降は部外者の主人公による島の探索となるので。各地で収集するコレクタブルが雰囲気を出してくれているとはいえ、それも今ひとつテキストに興味が惹かれない。なのでカルトものを期待しているとがっかりする可能性が高いです。まだクトゥルフ神話要素のほうが感じられるかも。
予算や時間など色々都合があるのを承知で言うと、カルト生活パートをあと半日か一日でも挟めば多少違ったのではないかという気がします。島自体はエリアの繋がりなんかも練られていてなかなか丁寧に作られているのに、ゲーム中は通過点でしかないのが惜しいです。
こういう場所での語り合いとかがあるだけでも違った |
【まとめ】
良くも悪くも発売前の予想に近い内容でした。ホラーも戦闘もストーリーも突出して目新しい要素はないが、既存のゲームシステムの翻案力とペース配分、ビジュアルデザイン力などが優れているため、それらがマッチして体験としてはかなり良かったです。
ただこのボリュームだと割高かも?というのが正直な印象。4時間以内クリアのトロフィーが設定されているくらいには一周が短く、トロフィーもおそらく最低3周(約15時間)でコンプリートできるので、よほどのやりこみ目標を立てない限りはあっさり感が残りそう。私はダラダラ探索して進めましたが、普通にやると初回ですら10時間かからなさそうです。
自分の場合、最高難易度クリア時点で個人的には満足しました。多忙な毎日の中でもゲームの最高難易度をクリアした実績を持ちたいとかのニッチな需要に応じていると言えるかも……というのはさておいて、ゲームとしての完成度は高いので気になっているならおすすめです。
可能なら続編やストーリーDLCが欲しいですが、これで完結していると言われればその通りなので望み薄と捉えています。でもストーリー面では色々やり残しが感じられるんだよな……
せっかくなので、ラスボス戦の攻略メモを備忘録として残します(ネタバレ注意)。
- ラスト突入前に消耗しない程度に探索を済ませ、回復アイテムをフル補充しておく。
- 有効武器はよくわからない。炎のムチが一番効いている気がする。切れたらセージスティック。
- 超能力が使えなくなるが、ある程度頭数減らせば戻る。とはいえラスボス相手には効きが悪くてあまり使わなかった。姿消せる能力だけ終盤に使ったくらい。
- よく観察してみると攻撃パターンが決まっているので、そこまで焦らなくてもOK。むしろ道中の敵より大振りで見切りやすい。
- 投擲アイテムは無駄に投げず、離れた場所から接近するときに怯ませて一気に距離詰めて近接攻撃。オイルは後のために温存。
- 注意すべきは体力より精神。中盤あたりバトルが白熱してくると回復が疎かになり、最終局面でジリ貧になりがち。なにもない時は中央の魔法陣から動かず少しでも回復する。
- 吹き飛ばしが発動したら回避連打で堪える。無回避時にエリア境界の棘に刺さったらほぼ即死。
- アイテム現地回収は敵が移動している間などに済ませる。
- 終盤追跡者が召喚される。捕まらないようにある程度距離を置き、オイルで足止め。その隙にラスボスを全力攻撃。深追いせず、追跡者の接近音がしたら即離れる。特殊能力で姿消すのもありだがオイル足止めよりも拘束時間が短いので注意。
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