ゲームクリア感想247_Weird West:Definitive Edition(XSS版)

公式サイト(やや重いかも)

※スクリーンショットは上記公式サイトを参考にしてください。自分では魅力的なものがうまく撮れませんでした……

昨年3月にXbox Game Pass対応で配信された作品。ジャンルとしては見下ろし型視点のアクションRPG。上の公式サイトによると『Dishonored』と『Prey』の制作者が開発しているとのことで、ひとつの課題に複数の解決手段が用意されているあの感じが色濃いです。

とにかく遊ぶタイミングに難儀しました。
上記のPreyが好きだったのもあって配信日に購入する気満々だったのですが、配信予定日が昨年1月から同年3月に延期してスケジュールに狂いが生じてしまい泣く泣く見送り、その数ヶ月後にXBOX Series Sを購入して早速Xbox Game Passでダウンロードするもなかなか遊ぶタイミングがなく、今年1月にようやく序盤だけ進めてまた中断し、そうこうしている内にDefinitive Editionにアップグレードされ、機運が高まってきた今月に再開して、本来の配信から約15ヶ月経過した今やっとクリアに至りました。そろそろXbox Game Pass適用が終了するのではないかと(無根拠に)戦々恐々としていましたが、無事間に合いました。


【主なプレイ環境】
ハード XBOX Series S(Xbox Game Pass)
バージョン 1.05
難易度 ノーマル
クリア時間 22時間14分
実績取得数 34/53


【良かった点】


◎興味深い世界観・ストーリー


いわゆる「Weird West(奇妙な西部)」ものの世界観で、大胆にもジャンル名をそのまま冠しています。ざっというと西部劇にホラーやオカルトやモンスターやクトゥルフ神話的な要素を加えた雰囲気のジャンルです。専門家に怒られそうな雑説明で恐縮です。
普段大して小説を読まないくせにジョー・R・ランズデールは好きなので、比較的馴染み深い世界観でした。

いかにもな西部劇っぽいスイングドアの酒場(兼宿屋)、先住民の集落、人外種族が棲む村、不気味な洞窟や謎の遺跡まで興味深いロケーションが盛り沢山。
敵も野生の獣からギャング、カルト信者、怪物、ゴールドラッシュに狂った人間など幅広いです。

そして誰一人信用できないようなシビアな世界。
身内であろうと仲間であろうと耳障りの良い言葉は滅多に聞けず、あるのは裏切り・失望・嘲弄・険悪・愚痴……といったものばかり。勿論そればかりではなく、メインクエストやサブクエストの結果によっては信頼関係を築けたり、比較的穏当な展開になります。
また、自分の選択の結果やクエストの結末は新聞にまとめられるので、ちょっとした達成感があります。

メインストーリーもなかなか面白かったです。主人公が交代制(かつ不可逆)な点にも説明が付けられていて、自分の選択を最後まで貫ける流れでした。また、ちゃんと一作で完結します。
(強いて言うならもうちょっと黒幕相手に戦いたかったけど……)


主人公ごとに選択の結果が表示されます。それにしても全体的にアートワークが良い


◎程よいボリュームの自由


「広大無辺な世界で悪行も善行もオールOK! 」みたいなの、今となっては負担に感じてしまいそこまで魅力的な惹句ではなくなってしまいました。一方で本作は約20時間の中で程よく自由で、程よく縛られていて予想よりも快適に遊べました。

基本的に、その時操作している主人公と一部NPC以外は誰が死んでもストーリー進行に支障ありません。交代前に操作していた前主人公も例外ではなく、むしろゲームのチュートリアルに沿って装備回収がてら仲間に入れたらすぐに戦闘で死にました(今後を考えてリセットしましたが)。主人公ですらこの始末なので他サブキャラはもっと命が軽く、シビアな世界で信頼を預けていたキャラクターと袂を分かつことも多々。ストーリー進行の結果旧知と決別し、ギャングに堕落し指名手配された旧知を保安官に引き渡す時はちょっと切なかったです。

またクエスト類の攻略に関しても、どういう解決手段を採用するかは自由です。依頼主の態度が気に入らなかったらその場で射殺してクエスト自体を無にしても良いし、ギャングの領地をステルスで着実に攻略しても良いし、当然大暴れしても良いし……という感じです。

中でもステルスは序盤の強い味方。背後から接近してステルス攻撃を仕掛けると敵は気絶しますが、このゲームは「気絶した仲間を叩き起こす」という行動を誰も取らないので、ほぼステルスキルです。

ついでに言うと索敵もあっさりしたもので、仮に発見されても少し走って岩陰や草むらに逃げ込めばすぐに諦めてくれます。


そしてゲーム自体のボリュームが程よいため、こうした自由に疲れる前にクリアできます。
実のところ、ある程度戦力が整ってしまえば攻略にさほど変化はなく、サブクエストも序盤〜中盤に集中しているので、終盤になったら自然とメインに集中できる構成になっていると感じます。

また、いわゆる「オープンワールド疲れ」みたいなノリで書きましたがオープンワールドではなく、全体ワールドマップで目的地を指定して現在地から移動する形式です。
ファストトラベルはなく、一部のロケーションから一方通行で特定のロケーションに飛べる程度。移動途中に野営して回復したり、獣やギャングの襲撃、商人との遭遇などのランダムイベントも発生します。
色々な種類のイベントがあるものの、頻繁に移動を阻害されるほどの発生頻度ではない上に一部はスルー可能なので、ランダムエンカウントのストレスはさほど感じなかったです。とにかくダレにくい作りになっていて、エンディングまでモチベーションを下げずに遊べました。

ちなみに襲撃ですが、ギャングやカルト信者など人間の敵はボス格を殺すと主人公への復讐を誓ってその場から逃走し、移動中や探索中に襲撃してきます。ほぼ強制戦闘となりますが、戦闘中に物陰に隠れるなどすればやり過ごして逃げることも可能です。一番良いのは逃走中に始末することです。



◎手軽なトライ&エラー


この手のゲームのご多分に漏れず、敵から警戒されていなければ基本いつでもどこでもセーブ可能。クイックセーブ&ロードもあるので色々なアプローチを試せます。
敵に勝てなければステルスで気絶を狙うなど攻略法を変えてもいいし、金や装備が心許なければ夜中にキーピックを用いて店に侵入することもできます。
リソースの少ない序盤で試行錯誤を繰り返し、初めて敵地攻略&賞金首撃破に成功した時は嬉しかったです。


◯意外と愛着が湧くキャラクター


主人公5人や一部のサブキャラクターたちは不思議と愛着が湧きました。主人公はストーリー進行に伴って交代し、前主人公を傭兵として無料で仲間にできるのですが、その時に口調を初めて知ったりして見え方が変わってくるのも面白いです。

ただ言うなら、3人目と4人目の主人公は仲間にするとやたら愚痴っぽくて気が滅入ります。その意味でも比較的ノリが明るい2人目の主人公はお気に入りで、どの主人公でも連れ歩いていました。

画面中央の痩身半裸半ケツ獣頭男性がピッグマン



【気になった点】


×終盤で仲間の装備回収不可の危険あり


最終盤でいわゆるキーファの種、エリィのエーテルダブルに代表される「離脱による装備ロスト」が発生する可能性が大です。最後の主人公のストーリー後半でとある場所に主人公たちで集合する展開があり、そこでその場所に行くよう主人公たちに指示したが最後、その主人公は再加入不可となり、所持アイテムが実質回収できなくなります。

イベント前にそれっぽい示唆はされますが強い注意喚起ではないため「イベント終わってからでも回収できるだろ」という甘い見通しでイベントを進めると悲しいことになります。私は貴重な星5装備を複数ロストしました。


対策としてはイベント前に貴重品を回収しておくに尽きます。

イベントが起こるのは最終盤で、後はほぼほぼクリアするだけなのでアイテムロストによる戦力喪失はそこまで多くないですが、心理的なショックは大きいです(自分が知らないだけでどこか回収できる地点があれば教えていただけると幸いです)。


また関連すると、クリア後の概念もないです。

クリア後は5人の主人公からひとり選んでクリア後世界を探索できるんだろうな、と思い込んでいましたが甘かった。設定が特殊で、5人の主人公はバトンタッチ制なのでそういうのが難しいのは解るのですが、もうそのセーブデータでは前主人公たちと冒険できないのが寂しいです。最後の主人公はストーリーの舞台装置としての役割が強く、キャラクターとしての魅力には欠けるので。



△あんまり楽しくない戦闘


自由なアプローチが売りのゲームは戦闘面に難ありという傾向からは逃れられなかったという印象。

見下ろし視点なのもあってキャラクターが小さくて戦況が把握しづらく、気がついた時には囲まれてボロ負けすることもしばしば。またアビリティが直感的に発動し辛い上に威力も微妙で、実質仲間にオートで使わせるものとして割り切りました。


またリソース不足な序盤こそ戦闘難易度が高いものの、結局そこから敵戦力の大幅な底上げはないので、リソースも揃ってゲームにも慣れてきた中盤からは単調さが増します。人間型の敵なら銃弾と端金、比較的高値で売れる星3以上の武器を漁ることも可能ですが、それ以外となると……


加えて、仲間を強化するパーク「リーダーシップ」をマスターしてしまえば戦闘の悩み事は激減します。トライエース製のRPGばりに強化されて肉壁バーサーカーと化した仲間がバンバン暴れてくれるので、仲間に指示出しできないという仕様すら気にならなくなります。少なくとも難易度ノーマルでは。楽といえば楽なのでマイナス点かというと微妙ですが……




最優先で覚えるべきだったかも



△操作の取り回しの悪さ


見下ろし視点は良いとして、小さいアイテムや他の物と干渉したアイテムが画面上の豆粒と化して拾いにくかったり、地形ハマりがそこそこありました。モニターと顔が近い環境が前提になっている感じです。



【まとめ】

遊ぶタイミングが遅れてしまって申し訳なくなる良作でした。いまいち操作が合わず肩が凝りがちな本家Arkene Studios作品よりも自分好みでした。
何かと忙しない日常のなか、ベセスダ系オープンワールドRPGは重厚長大すぎて手を出しにくいと感じる昨今(約2ヶ月後に出るStarfieldもそれが最大のネック)、本作はあらゆる要素が程よくまとまっていて遊びやすいです。

いつGame Passから外れるか不明なため、気になっているなら早めに始めるのがおすすめかも。XboxならGame Pass、PSならPlayStation Plusプレミアムのゲームトライアルと試しに手を出しやすい環境にあります。プレイ時間も15~20時間とお手頃です。



ちょっと脱線しますが、本作やアノー・ミューテーショネムChernobyliteとかのあたりの価格・ボリュームともにミドル帯のゲームはゲームメディアから過小評価されがちな向きにある気がします(ついでに言うとソングオブホラーとかHAVENもこのあたり?)
確かに大手同ジャンルのジェネリック感は否めない側面もあるとは思いますが、高メタスコアの超大作やアイデア勝負の小規模インディーに挟まれて割を食っているのではないかと。よく言われる中堅どころのJRPG減少にも近いです。

とは言えDESPERADOS 3みたいにしっかり評価されているものもあるので、自分が勝手にそう感じているだけの話ではあります。このミドル帯のゲームは身の丈にしっくり来ることが多いので、今後も注目していきたいところです。
(※このミドル帯という括りは私が勝手に言っているだけでメーカーの公式見解ではないです)

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