ゲームクリア感想不定期まとめ(2024年① 273~277)

● 前回のまとめ



今年最初のまとめです。新作ラッシュを迎える前の時期なのもあって、そこそこ多く遊びました。バンセンナイツ以外の4作品はすべてホラーゲームです。


273_バンセンナイツ (PS5版)【新作】

274_Silent Hill: The Short Message(PS5版)【新作】

275_Close to the Sun(XSS版)【新作】

276_女鬼橋 開魂路 (The Bridge Curse: Road to Salvation)(PS5版)

277_奇天烈相談ダイヤル(Mac版)【新作】


273_バンセンナイツ

前々作(モスメン:1966)の記事はこちら
前作(ヴァーニーレイク)の記事はこちら

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン 1.002
難易度 設定なし
クリア時間 約 3 時間
トロフィー取得率  67%


ピクセルパルプシリーズ3作目。おそらく最終作だけあってボリュームも表現力も一番でした。
相変わらず含蓄あるテキストが良い。エンディングも良い意味でシリーズらしからぬ爽やかな終わり方でスッキリしました。

ゲームとしては過去2作とテイストは変わらず。テキストとミニゲームが8:2くらいの割合で、いくつかはクリアしなくてもストーリー進行にさほど支障ありません。既読スキップも爆速で、選択肢回収にまったく困りません。

白眉なのは、この既読スキップを活かしたアイテム入手のギミック。これは意表を突かれたあと心から感心しました。もしかしたら他のゲームで採用済みかもしれないけど、これがあったか! と膝を打ちました。確かにこの手のゲームにはほぼ搭載されている機能なのでギミックを仕込む余地があるし、ゲーム中この機能を疑うことはまずないので本当に巧い。


274_Silent Hill: The Short Message

前々作?(ダウンプア)の記事はこちら
↑の考察記事はこちら 

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン 1.0
難易度 設定なし
クリア時間 約 3 時間
トロフィー取得率  設定なし


サイレントヒル、いよいよゲーム単品として復活しました。今年発売が有力視される「2リメイク」に未だ詳細不明の「Townfall」そして同じく詳細不明ながら初の日本舞台となる「f」とプロジェクト自体は発表されているものの、先鋒としてやってきたのは発表と同時に無料配信された本作でした。

ゲームとしてはシリーズお馴染みの三人称視点ではなく、インディーホラーやウォーキングシミュレーターによくある一人称視点の探索もの。戦闘なしの短編で、すでに発表済みの新作群に向けてのプロモーション作といった趣です。舞台設定も現代で、いじめ問題やSNS、ネグレクトなど現代病理を扱っています。

無料なので過度な期待はせず始めたところ、想像以上にしっかり作られた内容でなかなか興味深かったです。これなら1,200円程度の有料でも問題ないくらい。

約3時間程度の短いボリュームの中に探索やクリーチャーとのチェイス、簡単な謎解きなどが詰め込まれており、サイレントヒルというシリーズはどういう要素があるのか、どういう雰囲気なのかがしっかり示されています。
割とインディーゲーム的な文脈に則ったつくりで、個人的には馴染みやすかったです。操作や探索の感じはGone Homeあたりが近いかも。シリーズ的にはP.T.を挙げるべきかも知れませんがあそこまで怖くはないです。

ホラーといってもそこまで過度な怖さはなく、心臓が跳ねたのはチェイスの際に思いがけない近距離でクリーチャーと遭遇した時くらい。舞台となる廃墟マンションは雰囲気がよく出てるとはいえ、そこまでホラーではなく割と控えめな感じです。ジャンプスケアもほとんどなし。
なのでホラーが苦手でもクリアできる範疇かなと思います。無料な上にボリュームも小さく、ゲームオーバーになってもすぐに入口手前から再開できるのでリトライ性は高いです。

唯一手こずったのはラストの鍵を解放しながらのチェイス。2つ目までは安定するけどそこからが複雑な地形で毎回迷いました。最後の鍵を解放するとクリーチャーが出なくなるか近くにいなくなる(恐らく)のが救い。

ストーリーに関しては、過去作に比べると説明過多に感じたものの、今の時代に必要な話を伝えるにはこのくらいでちょうどいい按配に思えます。
変に気取ってよくある雰囲気ゲーに落ち着くよりかは、多少俗っぽくなってもメッセージを示せるストーリーにした方が良いかなと思いますし、そもそも本作自体がシリーズ未経験者や若年層をターゲットにしている様子なので、また売れなくなってひっそり消えるよりかは可能性ある選択だと捉えています。お金とってもおかしくない出来なのに無料にしたのは、それだけ今後のシリーズ継続に本気ということだと受け止めました。

また、別にシリーズらしい要素が薄れたわけでもなく、今後のシリーズ新作に繋がりそうな要素や過去作オマージュが散りばめられているので、そこはしっかり楽しめました。

この内容で無料は大判振る舞いです。シリーズ再始動に期待が持てる内容でした。今はしばらく音沙汰がなかったシリーズが続々リブート成功しているので、サイレントヒルもうまく続いてほしいところです。


275_Close to the Sun

【主なプレイ環境】

ハード XBOX Series S(XBOX GAMEPASS)
バージョン 1.0.0.2
難易度 設定なし
クリア時間 約 6 時間半(クリア後実績回収で約11時間)
実績獲得数 26/29


今年(2024年)1月3日付でXBOX GAMEPASSに対応した一人称ホラーアドベンチャー。ほかハードでは好みの世界観だったので始めました。ニコラ・テスラの発明により完成した超巨大船舶に世界中の優秀な科学者が集められ、そこに招かれた妹に手紙で招待された主人公が単身現地へ赴く、というのがストーリーの始まりです。ビジュアル的には見ての通りバイオショックが近いです。

ホラー要素はそこそこ激しめで、ジャンプスケアや臓物の飛び出た死体などいかにもな要素があり、どちらかというとじんわりくる恐怖よりも嫌悪感が煽られる感じ。ただ過剰にしつこくはなく、個人的には程よいです。

美点としては探索の面白さ。
戦闘などのシステムがない代わりに、探索にほぼ全振りしています。エリアがそこそこ広く、読み物やコレクタブルも豊富で探索が楽しいです。日本語訳も違和感なし。
いくつか簡単な謎解き要素があるものの、何時間も詰まるような内容ではなく適度なアクセントという範囲。
他には敵とのチェイスがあります。想像以上に苦戦しました(後述)。

グラフィックも綺麗な方で、序盤の美術館エリアや居住エリア、劇場エリアは見応えがありました。

船内美術館エントランス



船内劇場エントランス


ただ、気になる点も多いです。まずオートセーブ間隔が比較的遠めなこと。本体を落とすとソフト自体も落ちるので区切りの良いタイミングに中断しないと進捗が巻き戻りがちです。
次にライトがないこと。ゲーム開始からエンディングまでずっと暗いです。
3つ目はイベントスキップがないこと。会話によってはそこそこ待たされます。
最後に、敵とのチェイスが設定距離ギリギリで、RTAのごとく最短距離で走る必要があること。かなり余裕のない設定で、終盤なんかはどう考えても何度やっても間に合わず不具合かと思いました。出来うる限りの最短距離で走ったらそれが正解でした。


珍しくこの手の実績を取得した


とは言いつつも個人的にはお気に入りです。戦闘がなく不確定要素がチェイスくらいしかないので、私のようなヌルいタイムアタック初心者に最適なゲームとなっています。イメージに反してアーケード感覚で楽しめました。個人的には好きです。

ただ人には勧めないです。グロテスク描写やジャンプスケアなど人を選ぶ要素もある上にストーリーが特筆して興味深いわけではない(加えて未完と思われる)ので、バイオショックを期待すると肩透かしです。GAMEPASS加入済みで探索が好きなら選択肢のひとつという感じ。


276_女鬼橋 開魂路 (The Bridge Curse: Road to Salvation)

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン 1.6.0
難易度 設定なし
クリア時間 約 7 時間
トロフィー取得率  100%(プラチナ)

台湾ホラー映画「呪われの橋」を原作にした一人称ホラーゲーム。6人の大学生たちを入れ代わり立ち代わりで操作する群像劇っぽいストーリー進行です。戦闘はなく、ステルスと探索と謎解きとチェイスがあります。ジャンプスケアもあり。
謎解きは探索さえしっかりこなせばそこまで難しい要素はなく(最序盤の付箋探しが手間取った)、ステルスもフェイントはないので恐怖心を乗り越えパターンを見極めればOK、チェイスだけはいわゆる初見殺しなので何度かトライ&エラーが必要でした。そうそう詰むことはないと思われます。

世界観としては台湾の大学構内という舞台が新鮮でした。台湾への留学経験どころか渡航経験すらないので、建物自体は日本と同じような造りでも、そこかしこに覗く文化や言語の差異が目新しかったです。台湾が舞台のゲームというと返校-Detention-ですが、同じ学校舞台のホラーでもこちらは現代寄りで身近な恐怖という感じです。
ホラーとしてはなかなか雰囲気が出ていて怖かったです。ステルスパートででなかなか安全地帯から動けないというありがちなやつが再発しました。怪異的存在の動きがちょっとコミカルなのも、むしろ恐怖と紙一重なものを感じて不気味でした。


常に薄暗い大学寮。子供の頃はこのタイプのベッドに憧れていました


ストーリーもなかなか凝っていて、複数の時間軸で発生した出来事をコレクタブルやテキストを頼りに読み解いて真相(らしきもの)にたどり着けるようになっている感じです。映画未視聴なので完全には理解していませんが……群像劇モダンホラーの要素を汲むとSIRENっぽさもあります。Steamのレビュー欄で詳述されているレビュアーがいらっしゃるのでクリア後に読んで頷きました。個人的にはエンディングが好きです。色々な解釈ができて。

ゲーム自体は一人称ホラーゲームのフォーマットから大きくは外れない感じで、操作もあっという間に慣れました。操作キャラクターの入れ替わりに伴ってメニュー画面の役割を果たすスマートフォンがそれぞれ違ったり(壁紙やメッセージも異なるので要チェック)、自動販売機から入手できるアイテムが違ったりして、短いプレイ時間でもしっかりパーソナリティが理解できました。

中でもキャラクターが立っているのは一年生の鄭 琳恩(てい りんおん)で、キャラクター紹介で「一度も神仏を拝んだことがない」と明記される剛の者。キャラクターの中でトップクラスに気が強く、怪異的存在に対して正論で啖呵を切りついでに足も出します。
ほかの5人が真面目だったり腹に一物抱えていたり臆病だったりといかにもホラーが似合うタイプなので、このキャラクターがひとりいるだけで、恐怖のシチュエーションに見舞われながらどこかコミカルというゲーム自体のオリジナリティにも繋がっています。キャラクター造型というのはこうでなくてはと思いました。中国語音声だとより強そうなのでおすすめ。

ロード中に表示されるキャラクター紹介


武闘派


総合すると良作でした。
ちなみに次回作がすでに発表済みのようです(Steamリンク。デモ版もあり)。今度は別の大学のようですね。


277_奇天烈相談ダイヤル

【主なプレイ環境】

ハード Mac(Boothの投げ銭版で購入しました)
バージョン 1.8.0(1.03)
難易度 Normal
クリア時間 約 3 時間


当世風に言うとPapers,Pleaseライクが近いです。怪異についての相談事を承るコールセンターでボランティアの新人職員となって電話を受け、7日間のあいだ資料を参照しつつ相談された怪異が本物か否か判定するというのが大まかな流れです。このジャンルとホラーをかけ合わせたゲームを望んでいたので、知った時はすぐダウンロードに走りました。


不穏なワードでいっぱいの画面


翌日に短い後日談あり



まずゲームとして完成度が高いことに感銘を受けました。これを無料で遊んだら罪悪感に耐えられなかったと思うので、投げ銭版にして良かったです。
感心したのはメモの扱い。相談者から聞いた話の概要を画面左端のメモに残せるのですが、量が多くなるとメモ枠を広げた際にテレビ電話(という設定)の画面を覆い隠してしまい、相談中によそ見ばかりしていたなどのクレームに繋がります。その場合、仮に正解してもハート(ライフゲージのようなもの。基本は仕事の成功でしか回復しない)が減ってしまいます。話を聞くのは大事ですが、聞き過ぎてもいけないというバランスが巧いです。

気になる点としては、何が無関係な質問なのかわかりづらいことくらい。関係ありそうだから質問したのに「ちゃんと話を聞いて下さい」と相談者から呆れられることしばしばで、ワンミスのたびにハートが削られてゼロになり泣く泣く退職(ゲームオーバー)……というのを何度も重ねました。
このゲームオーバー展開が結構リアルで、業務中に心が折れて泣き出して、そのまま事務員さん以外にろくに挨拶もできないまま惨めな気持ちでドアを閉め出ていく……という心痛む展開です。泣き出した時の事務員さんの励ましも妙にリアルで身につまされます。正直怪異よりこっちの方が心が痛むので怖かったです。

何事も慣れで、回数を重ねていけばなんとなくコツが掴めてゲームオーバーも少なくできます。この点以外はすべて良好で、長く遊べそうです。


【まとめ】

 
相当ホラーづいた期間でした。個人的に気に入ったのはClose to the Sun、未来に希望が持てるのはSilent Hill: The Short Messageと女鬼橋の次回作発表済みタイトル2作、感慨深いのはバンセンナイツ、まだ遊び足りないのが奇天烈相談ダイヤルといった感じです。
ここから更に抜き出すならClose to the Sunと奇天烈相談ダイヤルです、前者は手に馴染んだ、後者はホラーとして一番怖かったというのが理由です。怪異の直接的な描写はないのに、間接的に伝え聞いて情報を整理していく作業が着実に怪異に接近しているようで、じわじわと不気味な気分になります。

もうこのままFF7リバース発売の2/29までホラー一色で行こうかとも思っていますが、そろそろ気分転換して明るめのゲームか大型タイトルに着手する予定です。それにしても今回一作の文章量が多くなったので、それぞれ単体記事化しても良かったかも。長めの記事にお付き合いいただきありがとうございました。


【余談】
今回久々にサイレントヒルの記事が出たので。

ありがたいことに、当ブログでとても多くの人に読んでいただいたのが上のサイレントヒルの項目にリンクを張ったサイレントヒルダウンプアの考察記事でした。この場を借りて御礼申し上げます。
約11年前に遡る記事で拙いところもあると思いますが、当時は頑張って書いていた気がします。ゲーム自体は賛否両論ですが、ホラーオープンワールドとして今でも好きなゲームです。



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