ゲームクリア感想272_シチズン・スリーパー(XSS版)

公式サイト(メーカー公式)

同開発元の前作の記事はこちら


とにかくビジュアルセンスが群を抜いているJump Over The Ageというメーカーですが、先に知ったのはIn Other Watersではなくこちらでした。2022年にXbox Series Sを入手してXbox Game Passを色々見ていたところ、ひと目でビビッとくるアイコンが目を引き、それが本作でした。
その時は日本語未対応なのもあって、のちのローカライズを期待して眺めるだけで終わり、そのかわりにNintedo Switchで予習がてらIn Other Watersをはじめたという流れです。そしてめでたく日本語ローカライズが発表され、初遭遇から約一年半を経て遊びました。本当に楽しみにしていたので喜び勇んで起動しました。


【主なプレイ環境】

ハード XBOX Series S(Xbox Game Pass)
バージョン ver.1.4.7
難易度 設定なし
クリア時間 約 22:40:00(放置ぶんを引くと約16時間くらい?)
実績取得数 21/27

【良かった点】


◎生活感ある宇宙労働者ロールプレイ


RPGの字義どおりのロールプレイ(この辺の言葉は取り扱いが怖い)をしている感覚が味わえました。寝床で起床するとまずサイクル(一日)のダイスが振られ、その結果をもって各地のタスクをこなしてストーリーを進めていきます。
基本的にダイスの数字が大きいほど成功率が高く、中には特定の数字でしかクリアできないタスクもあり、時限クエストの場合は引きが悪いと焦ります。そしていずれかの寝床で就寝して次のサイクルに移る、という流れです。


基本画面。これは右下の枠でマツタケを換金しようとしているところ



時限要素があるのはクエストだけではなく、そもそも主人公自体が「安定剤」を定期的に服用する必要がある体で、1サイクルごとに毎回ゲージ1つずつ劣化していきます。一定数減るごとに振られるダイスの数も減るので、可能なら早めに回復しないとどんどん不利になります。自分の場合は半分~3分の1くらいまで減ったら満を持して「安定剤」を使っていました。ストーリーとは別に、この「安定剤」の入手を定期的に行う必要があります。あと空腹ゲージもあり、これが0になるとゲージが消費されてしまいます。

そんな境遇の主人公にこの世界は厳しく、序盤はカツカツの資金のなか過酷な労働を重ねて、寝て、起きて、また働いて……の繰り返しです。ダイスの出目が悪くて仕事ミスして白い目で見られつつ働き、たまの贅沢に食堂でキノコ汁を喰らい、また金を貯め、ボロボロの体で信用できないクリニックに行って、全財産の9割をはたいて安定剤を買ってコンテナのねぐらで休む、という宇宙労働者のロールプレイは予想以上に没入感がありました。

この店主の店で食べるキノコ汁が沁みる


序盤は単調さがありましたが、ストーリーはそんな労働の中にうまく組み込まれているので、日々のタスクをこなしていく内に少しずつストーリーが進んでゆき、そこで出会った人々が働き口を与えてくれたり値引きしてくれたりで生活も緩やかにマシになりスキルも強化できて、だんだんこのロールプレイにハマっていきます。ちょうどその頃に自分の居住ユニットも持てました。

中盤〜終盤は良くも悪くもお金や安定剤に困ることはなくなるので、ストーリーに集中できます。サバイバル要素が薄れるので賛否両論とは思いますが、個人的には各ストーリーに集中できるので有り難かったです。


自宅を手に入れると野良猫と触れあえる


◎ストーリー・世界観


もうこれはゲーム名やビジュアルからイメージする通りでした。
ストーリー自体は奇を衒った要素はないものの、純粋にテキストが良いのでしっかり読みました。わかりやすい希望はそうそう示されないものの、出会いと別れのなかに少しだけ明るい兆しや新たな可能性がある感じで、ちょっと前向きな気分になれました。

世界観はもう、こういうのド真ん中という感じ。インディーだったらCloudpunkNeo Cabあたりが好きな人は感じるものがあるでしょう。アンビエントなBGMも、その合間に流れる生活音や機構の稼働音も最高の雰囲気を醸し出しています。Cloudpunkの記事の文言を流用するなら、夢に見た「あの」世界観です。

あと、DLCのストーリーが予想以上に重要そうな内容だったので、日本語版では最初から同梱されていて有り難いです(かなり長めかつタスクの分量も大きいのでゲーム内アナウンス通り終盤推奨)。


◎日本語ローカライズ


鮮烈な世界観やUIのなかに違和感なく組み込まれているので、いっそう没入感が高まりました。


【気になった点】


△やや把握しづらいUI


ここはIn Other Watersの頃からあまり変わっていないように思えます。ゲーム開始してすぐ動かし方がわからずフリーズする程ではなかったにせよ、最序盤はどの操作で何がどう変化するのか予測がつかず戸惑いました。とはいえ最序盤に苦戦しただけで、慣れるとなんてことなかったです。


すみません、スキル強化画面だけは最後までなかなか慣れなかったです。どの枠を押せば強化されるのか迷いがち。



最初何事かと思ったUI


【まとめ】


不安だったのは序盤だけで、中盤から最終盤にかけて一気にハマりお気に入り作品になりました。ボイスもなくアクション戦闘もなくひたすら淡々としたゲーム進行だからこそ一介の労働者の日常が際立つというか。出会うキャラクターもそれぞれにバックストーリーがあり、それを知ったとして距離を縮める必要もないし縮めてもよいという大人のノリが心地よく感じます。性愛的なシーンも自分が見た範囲ではなし。
そして世界観。

強いて言えば、スタッフロールが流れるいくつかのメインストーリーラインのオチが被りがちかもと思いましたが、ストーリーに関してはそれくらいです。

この記事一番上の開発元サイトにある通り、ナンバリング続編がすでに発表済みなので、そちらも楽しみに待ちます。




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