ゲームクリア感想193_Papers,Please(Steam版)
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約9年半も続けた当ブログ初となるSteam配信ゲームの記事です。ちなみに今年の9月25日で開設10周年となるので、感想記事以外になにかしようかなと漠然と考えています。現時点では考えただけで終わる可能性のほうが高いですが……
アカウントだけ取得して長年放置していたSteamの動作確認も兼ねて遊びました。
ゲームをやっていてSteamを放置することある? と我ながら思うのですが、コンシューマーとスマートフォンだけで可処分時間が埋まるので、気がついたら放置状態でした。
本作を選んだのは、前々から気になっていたのと、マウス&キーボード環境でも操作にさほど支障を来さないと思ったからです。
また、フォロワー作品とも言えるフー・イズ・ゾンビからのポロロッカ(原作→外伝やフォロワー作品という流れではなく、その逆を潮の逆流にたとえて表すスラング。出典?の『さよなら絶望先生』は中盤くらいまで読んでました)となりました。
また今更言うまでもないとは思いますが、あの名作Return of the Obra Dinnと同じ作者さんです。自分が遊んだ順番が逆なだけで、このPapers,Pleaseの方が先に配信されました。
【主なプレイ環境】
ハード(プラットフォーム) Steam
バージョン 1.2.76クリア時間 約19時間半
実績アンロック数 12/13
エンディングは20個のうち10個到達しました。
【良かった点】
◎ワンシチュエーションによるストーリーの語り口
ブースの中でひたすら審査する作業ゲーかと思いきや、固有イベントや会話がちょくちょく発生していいアクセントになっています。賄賂や規則外の取引を持ちかけられたりして倫理観と引き換えに臨時収入を得られたり、審査中に突如としてテロリストの襲来があったりで、なかなか賑やかです。特に収入につながらないミニ会話などもあり、ほぼほぼ審査ブースの中でストーリーや世界観が提示されていく語り口が巧みです。
個人的に、接客業における「向こうのペースで話を進めてくる客」の出現頻度がリアルだと思いました。ちょうど体感でルーチンワークになりかけたタイミングで出てくるので……
オープニングもエンディングもあっさりしたものですが、それに至るまでの中身が濃厚なので満足感は充分です。
◎中盤まで耐えれば何とかなるバランス
審査業務と支出管理のバランスの取り方が巧く、 審査項目が増える中盤辺りからは金銭的に余裕ができて審査業務に集中できるようになりました。
金銭的には序盤が一番辛く、最初のプレイは3日くらいで破産しました。ただ中盤からは審査難易度が高くなる一方で、賄賂やら狙撃ボーナスやらの臨時収入の機会が増え、それまでカツカツだった生活を立て直せるようになりました。
◎ローカライズ良好
審査対象となる国名の文字違いなどもしっかり反映されているので、ゲームを進める上で困ったことは一切ありませんでした。一部のキャラクターのちょっと現代的な口調も、深刻な世界観に対して堅苦しくなりすぎず程よかったです。
○セーブが多めに取れる
これが地味に助かりました。やり直しのみならず、エンディング回収にも役立ちました。
仮にゲームオーバーになっても失敗したと思われる日からすぐにやり直せるため、毎回初日からやり直す必要はないです。
○繰り返しにより審査精度が向上するつくり
提出された審査書類をマニュアルと突き合わせて確認しハンコを押す、と書くとあっさりしていますが、実際の仕事と同様でなかなか奥が深かったです。
不備見逃しなどのミスがあった場合、対象者を通して数秒後にエラー通知が送られてくるので、自分がどこを見逃したか、まだどの箇所を見逃しやすいかを把握して以降の審査に繋げられます。私の場合は「パスポートの発行地」「書類の捺印の有無」「ワクチン接種証明書の必要ワクチン」あたりをしょっちゅう見逃していたので、そこを意識して審査していくうちに精度が向上しました。
また、遊んでいるうちに自分なりの効率的な書類配置方法を編み出すのもやりごたえに繋がりました。時間経過しない出勤時に指名手配犯の顔写真は画面右端、銃の鍵も画面右端上、見逃しやすいパスポートの発行地をチェックするために地図のページを開いて画面中央やや左においてスタンバイしてようやく業務に入り、書類が提出されたら文面だけだと判断しにくい身長や体重をまず突き合わせ、次に入国目的と滞在期間、間違えやすいパスポートの発行地、次に有効期限、次に氏名……といった風に、自分なりのルーチンを組んで取り組むのが没入感の高まりに寄与していたと思います。
ただ、現実の仕事を彷彿とさせてあまり気分転換には繋がらないのが玉に瑕……(入国審査官ではないです)
【気になった点】
△エンドレスモードの解放条件
エンドレスモード(10分の時間制限が設けられたスコアアタック)の解放には特定のエンディングを達成する必要があり、せっかく多様なエンディングが用意されているので「最終日クリア」とかでも良かった気がします。その特定のエンディングは金銭的補助に乏しくやや難易度高めなので、条件にしたいのはわかります。
【まとめ】
名作の評判通りでした。今更自分がなにか付言することもないくらい。
この作者さんは発表した二作両方ヒットさせて、そのどちらも独創性に溢れているというのが素晴らしいし、本物のクリエイターという感じですね。
正直「これがウケるのはわかるけどnot for me」というゲームはそこそこあるのですが、この作者さんのゲームは評判通りに面白いし自分にも合っていました。
この作者さんは発表した二作両方ヒットさせて、そのどちらも独創性に溢れているというのが素晴らしいし、本物のクリエイターという感じですね。
正直「これがウケるのはわかるけどnot for me」というゲームはそこそこあるのですが、この作者さんのゲームは評判通りに面白いし自分にも合っていました。
日めくりで規則が変わるディストピアのなかで、家族のために理不尽を堪えて業務に徹するか、平身低頭で従って他国脱出の準備を整えるか、それとも反政府組織と通じて革命に助力するか……あっさりした描写なのでそこまで選択の悩ましさはないものの、いずれも審査業務を通じて目標達成に至るという語り口なので、業務時間外に接触があって……という展開よりもリアリティがありました。イレギュラー事態発生のあと、次の審査対象を呼ぶまでの情報整理や机の片付けを行う時間が妙にリアルで好きです(私物を掲示していると上司から注意されるので、なにげに整理整頓も重要)。
気になった点で挙げたエンドレスモードの条件は強いて言えば程度で、体感ではマイナス点0です。動作は安定しているし、失敗しても気軽にやり直せるし、ボリュームもそこそこだし、内容も遊びごたえがあるので、遊べる環境があってまだ手を出していない方は今からでも是非遊んでほしいです。
後発のフー・イズ・ゾンビがスピードを競う審査スタイルなのに対し、こちらはじっくりと情報を突き合わせていく審査スタイルで、審査ゲーのなかではうまく棲み分けできていると思います。もっとも審査ゲーをこの二作しか知りませんが……
ただ全体のオリジナリティでいえば、先発の本作が圧倒的です。
フー・イズ・ゾンビのほうも悪くない設定なのに、ストーリーがあってないようなものなのが惜しかったですね。
長年気にしているばかりで手つかずだった名作を楽しく終えられて、今とても満足しています。審査ゲー、今後もチェックしていきたいと思います。
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