ゲームクリア感想291_Dustborn(PS5版)
【主なプレイ環境】
難易度 設定なし
クリア時間 約 30 時間
【良かった点】
◎アメリカ大陸横断の旅情
設定はいわゆるロードトリップもの。とある施設から重要情報を盗み出した四人組が、その情報の届け先である東海岸に向けてアメリカ大陸横断の逃避行を図るといった筋書きです。作中でのアメリカはディストピアじみた世界になっており、複数の組織に追われる身となった主人公たちはツアー中のバンドという体で大型ツアーバスを駆り、各地で仲間を増やしたり追手と戦ったりして世界の真相に迫っていきます。
トイレ・流しつきのバス |
ゲームにおける「ビジターセンター」という存在が好き |
旅程 |
左上のアイコンが会話必須キャラクター |
◎バックログが充実している(戦闘中の会話も! )
バックログが実装されているゲームは数あれど、戦闘中の会話までカバーしているゲームはそうそうないので有り難かったです。本作はアクション戦闘かつ英語音声のみのため、duolingoを一日5分やっているだけの非英語話者には追いつけない面がありました。もちろん字幕はあるものの、アクション中に画面下ばかり注視しているわけにもいかないので…
◯バンド演奏(音ゲー)
詐称としてのバンドとはいえ、ゲーム中に何回か演奏する流れになります。ここではいわゆる音ゲーが展開され、画像の通り十字四方向から流れてくるボタンをヒットさせることでスコアが上がります。本格的な音ゲーのように細かく設定できないかわりに、難易度は低めかつ失敗しても特にペナルティはないです。未確認ですがゲーム進行にも差し障りないと思います。
毎晩のキャンプ等で繰り返し遊べる(練習できる) |
【気になった点】
✕会話スキップができない
何よりもこれが本当にキツかったです。「言葉」をテーマとしてる作劇上あえてスキップ機能を入れなかったとも推測できますが、それは尊重するとしてこの膨大な音声体験をこちらでコントロールできないのは正直ストレスでした。
「バックログが充実しているなら会話を垂れ流して後でまとめて確認しては? 」と思いましたが、会話中に時間制限つきの選択肢が表示されるので、結局ゲームと別作業8:2くらいの配分で会話を眺めていました。
そして会話自体もそんなに愉快なものではなかったです。似たような身の上話を繰り返されたり、前の章でうまく和解したと思っていた相手から妙に辛辣に当たられたり、その気もないのに厳しい態度の選択肢しか表示されなかったりと、会話のたびにモヤモヤが残るリアリティ重視の仕様。
もちろん、押しては引いての舵取りを続けるのが人間関係とも思うので、こうしたリアルな人間模様はある意味で誠実とも感じますが、なにぶん物量が多いので辟易しました。本当に興味深い会話なら飛ばさないので、ここはもう少しユーザーを信頼して欲しかった。
△戦闘がつまらない
面白いと思えた瞬間は一度もなかったです。アクションの割にとにかく動きが硬く、ボイス(特殊能力)も効果のほどがハッキリしない上に効果時間が短い(と感じる)ため爽快感とは程遠い内容で落胆しました。最初に惹かれたのがこの要素だったので…難易度が低めなのが救いといえば救いです。後半の戦闘以外はそうそう敗北を喫することもないですが、仮に敗北してもペナルティなしで即HP満タンで復活できる上に何回か負けると戦闘スキップの選択肢まで出るため、本腰入れて頑張るパートではないと思います。少なくともこのゲームで美しい勝ち方とかにこだわる必要はない。人生は有限ですので。
△一部の誘導が不親切
ゲーム中盤で壁越しに仲間を誘導するやつ、人によっては詰みかねないのでもう少しわかりやすく正解の場所を示したほうが良いと感じました(凹んだ壁が正解なのだが背景と同化していて判別しづらい)。
△ストーリーが消化不良
この手のゲームはストーリーさえ良ければ最終的には良作くらいの評価に落ち着くのが常。
しかし最後の砦ともいえるここも残念ながら消化不良に終わりました。それまで旅の経路一点一点でじっくり話を進めていたのがゲーム後半から駆け足になってイヤな予感がしたのですが、それが的中してしまいました。もうバス旅もキャンプもできない終盤で新加入キャラクターが登場(それもまったく好感が持てない)したので、本来ならまだ旅が続いていたのを大人の事情でカットしたのではと邪推します。
そこからは好感の持てるキャラクターから先に退場し、ラスボス的な存在を退けられたのかどうかも明らかでなく、あとひと展開ありそうなところでスタッフロールに突入しました。結局、伏線や謎は残ったままで、次回作に続いても続かなくてもどうとでもなる終わり方に落胆を覚えつつ、ひとつのゲームをクリアしたという事実だけが残りました。
この設定なら、もうちょっとヒロイックかつダイナミックな展開にできたようにも思えるので、妙に大人しい終わり方を迎えたのが惜しく感じます。
あとキャラクターの話が出たので言ってしまうと、このゲームには典型的な白人表象(金髪碧眼的に象徴されるような)の人物がほぼ登場せず、してもごく一部のモブや創作物としてのみだったと思います。仲間に至ってはゼロです。仲間に加わらないのは良いとして、モブですらほぼ出てこないのは世界観設定に上手い具合に組み込んでしまったほうが丸くないか? という疑問があります。もしかしたらそのあたりの設定が語られる会話を見逃しているのかも知れませんが。
もちろん自分もその描写の意図は理解しているつもりで、DEIを強く意識しているゲームであることを承知した上で購入しましたがここまで徹底しているとは思わず、自分の勉強不足もあって困惑するところが大きいです。いえ、別に設定に組み込んだところで特定の属性がほぼ登場しないのは変わらないのですが、なんかもうちょっと荒れない策を採用する手もあったのではと……
なんというのでしょうか。自分はゲームを通じた社会的意義のある活動に理解のあるつもりでしたが、やっぱりゲームとしての完成度に寄与していないとその限りではないかもと自覚しました。
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