ゲームクリア感想267_プレイグテイル:レクイエム(XSS版)
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サムネイル用。フォトモードあり |
【主なプレイ環境】
難易度 ノーマル(一周目) 強くてニューゲーム(二周目。究極の難易度モードとのこと)
クリア時間 約 40時間(一周目25時間、二周目15時間程度)
【良かった点】
◎大ボリューム
予想していた倍のボリュームでした。RPGかと思うくらい。もうここでエンディングだろうという山場が3つくらいあって、それをすぎてもまだ続くので満腹になれました。
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そういえば今年は海どころか海岸にすら行かなかった |
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深層にある真相とは |
◎音楽
音楽は個人的に推しているOlivier Deriviere氏が前作から続投。弦楽器やコーラスが印象的な楽曲はどれも聴き応えがあり、操作を止めて曲だけ聴いていたこともしばしば。序盤で流れる「The Rage Within」とノリの良い「The Child」が好きです。更にインタラクティブミュージックを採用しており、発見されて戦闘BGMに切り替わった時は緊迫感で焦ると同時に燃えます。
◯大掛かりになった演出
ネズミの群れが前作よりもダイナミックになり、序盤から前作ラスボス戦並みの勢いと物量の集団が襲ってきます。アンチャーテッドシリーズみたいな全力逃走パートは場合によってはシビアで、間一髪になるように調整されており手に汗握ります。
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前作を思い出す光景。やっぱりこうじゃないと |
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無数のネズミの視線。まるで現代SNSの縮図 |
◯良くも悪くも親切なシステム
この手のゲームで面倒な点はある程度先回りして対策してある感じです。
【気になった点】
×一部ギミックの解りづらさと誘導・チュートリアル不足
ゲーム序盤、荷車をうまく操作できなくて詰みかけました。
左スティックで前進と後退、右スティックで画面のアングルを傾け進行方向変更なのですが、「画面を傾けるだけでそっちに進む」というのが直感的すぎて逆に把握しづらく。
あとは仲間への指示出しもチュートリアルでつまづきました。器具を操作した後にチュートリアルが表示されるので、てっきり自分がその器具を操作しながら仲間に指示を出すのだと思っていたら、一旦自分が離れて、仲間にその器具を操作してもらう指示を出す、というのが正解でした。
そして一番手こずったのが背景と同化しているギミック。特に船の碇上げと鎖の足場は諦めかけました。前者はハンドルの近く、後者は鎖の中央あたりにほんのり光るポイントがあるのでそこを壊すのが正解でしたが、どちらも視線誘導などがなく、この流れでそこに目を向けないだろうという場所にあるので苦労しました。
そして、これらギミックのわかりづらさと悪い意味で好相性なのが初回しか表示されず後で読み返せないチュートリアル。自分が見逃してなければ、過去のチュートリアルリストなどがないので、カンと記憶が残っているうちに一気にクリアするのがベターです。
自分の勘のにぶさは認めますが、割と独特な操作体系の割にチュートリアル・誘導がわかりにくいことが多かったです。なんなら最序盤のかくれんぼですら全部負けました。
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でもこの鏡を使った新ギミックは好き。その手があったかとテンション上がった |
×不快なストーリーと退化した主人公
ここまで不快な主人公、The Suicide of Rachel Foster以来です。
きょうだいというカテゴリならライフイズストレンジ2以来。
主人公姉弟が前作からなにも学んでいないのか?と思うほどあらゆる選択肢を間違え、周囲の諫言にも耳を貸さずひたすら状況を悪化させる。しかも実害が大きく、行く先々で災害を起こしてるのに碌に反省もせず周りに当たり散らしてますます不穏になる始末。
ここだけ読むと『火垂るの墓』みたいですが、本当にフランス版火垂るの墓みたいなノリです。
もちろん主人公姉弟だけが最悪なのではなく、ルカやソフィアや親切なモブなど人格者を除けば周りも大概なキャラクターばかり。母親でさえ前作の頼もしさはどこへやら不安定になってるし。もっとも主人公姉弟はその人格者たちですら1,2回はキレさせるので不快度はダントツです。
主人公が散々周囲の人間に世話になっておきながら「弟以外はどうでもいい!」と口に出した時には愕然としました。本当に前作からなにも学んでいない……まるで成長していないどころか退化している……勝手にその土地に押しかけたくせに災害を起こしたら「こんなところ早く沈んで欲しい」とか言い出したときはもうキレました。
そりゃ他の何を差し置いても家族が大事なのは理解できるし、疫病あり戦争ありと他人に愛想なんて振りまいていられる状況でもないですが、なんかこの主人公一家って家族愛と言うよりも共依存で共感できないですね。周りは無理解な奴らばっかりで家族だけが弟を救える! みたいなスタンスを公言して、あまつさえ周囲にもそれをうっすら強要するので本当にイラつくし、民衆の死を悼む発言なんかポーズに思えてしまう。弟の部屋に入らせてもらえない時の異常な苛立ちとか、愛情じゃなくて支配欲に思える。
もっともラストは因果応報とも解釈できるので、それまでの独善的な行動は良くも悪くも結実したと思います。かといってあの展開じゃ溜飲など下がるわけもなく、こんなことならスタッフロールを迎えず電源を落とすなり最終盤わざと死ぬなりで未完にしたほうがマシだったかも知れません。
本作、システム面だけでなくストーリーもラストオブアスパート2に似ているのですが、ストーリーの納得感、ひいては心に迫ってくる描写の迫力に差があるなと感じました。余裕のなさからくる感情の爆発ひとつとっても説得力が違うというか。
いや、もうやめましょう。前作の記事を見返すと当時からストーリーにモヤついていたので、このシリーズの倫理観と自分が合わないのでしょう。それでも前作のときはそんなに気にならなかったのですが。
△育成システムがうまく活きていない
パーツを集めて装備をアップグレードするよくあるやつと、特定の行動を取るとポイントが溜まって段階ごとに新たな能力を覚えるアビリティシステムがありますが、特定の条件が揃わないと効果がない、またはそもそも有用ではない手段が多くて、せっかく覚えても活用の機会が少ないと感じました。
たとえば序盤にステルスキルのチュートリアルがあり、基本的に非武装(兜を装備していない)の敵にしか効果がないと説明されるのは良いとして、それ以降の敵はほとんど武装しているというオチなのでろくに活用しませんでした。
そもそも非武装であれば遠距離からスリングなどで対処したほうが早く、ステルスキルといってもアサシンのように手早くいかないし音も立てるという高リスク手段なので、スリングやボウガンなどの遠距離攻撃さえあればほぼ不要です。
特定のアビリティをMAXまで育てるとナイフでフルアーマーの敵をステルスキルできますが、その頃には大抵クリア間近だし、ナイフはカウンターや貴重な宝箱を開けるのにも使うのでどうとでも回避できる敵に使う理由もなく。前作から通じる隠れながらの遠距離各個撃破が一番強いです。
△淡白になったステージ攻略
なんかこう、前作のほうがステージに多様性があってパズルもやり甲斐があったと思います。
本作はストーリー展開の都合上、廃墟や洞窟が多くて代わり映えせず、また前述の通り、ゴリ押しして先のエリアを通過してしまえばリトライの際にそこから再開するので、初回は達成感なく釈然としないままクリアしてしまうことが多かったです。
前作は比較的小さいステージで完結していたのもあってそんなに気にならなかったものの、広くなったことで妙に漫然としてやりがいのない攻略になったと感じます。前作よりできることが増えたけど前作よりつまらないです。
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