ゲームクリア感想202_Stray(PS4版)

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 リーズナブルな可処分時間と値段で満足感を味わえるゲームのパブリッシングでおなじみのメーカーといえばAnnapurna Interactive社。これまでも「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」 「Gone Home」 「Kentucky Route Zero」 「Last Stop」A Memoir Blue」と遊んできましたが、いずれも高品質な体験でした(Kentucky Route Zeroだけは困惑した)
 
 そして最新作となる本作は、同社作品のなかでもトップクラスの満足度でした。
ストーリー主導の雰囲気ゲームのように思えてなかなかガッツリとした作りで、猫になってのんびり街を散策するパートと、不穏なシチュエーションを猫の特性を活かして攻略していく緊張感の緩急が程よかったです。
 主人公の猫も相棒のドローン(?)も可愛いし、登場人物に嫌な奴はほとんどいないしストーリーも綺麗にまとまっているので、気持ちよく遊べるのも大きい。

 余談ですが、ちなみにXbox Series Sを入手してXbox Game Passにも加入したので、今後は「Telling Lies」「Twelve Minutes」などの同社作品も機を見て遊びたいと思っています。
 タイミングよく「The Pathless」のXbox版や「Solar Ash」のGame Pass対応などが発表されたので、それらも楽しみです。ちなみに同発表の中で公開された新作の中では「The Lost World」が気になります(日本発売するかどうか不明ですが)。



【主なプレイ環境】
ハード PlayStation 4
バージョン ver.1.02
難易度 設定なし
クリア時間 15:26:49(プラチナトロフィー取得)+01:51:28(トロフィー取得用)
=約17時間。クリアだけなら約10時間程度。
トロフィー取得率 100%(プラチナトロフィー取得)


【良かった点】


◎予想以上に緻密な世界観・ボリューム


 事前情報にあるようなネオン煌めくサイバーパンク都市だけではなく、街が複数あります。いずれも作り込まれており、ちょっとした依頼ごとも発生したりして、探索が楽しいものとなっています。中に立ち入れる店や住宅もあり、その一軒一軒に生活感や人の形跡が残っているので、より画面の中がリアルになっています


 ボリュームも、個人的には予想以上でした。街がかなりの作り込みで、初回プレイは探索やトロフィー回収でかなり時間を使うため、なんだかんだ10時間を越えました。


 あっさり終わる雰囲気ゲーではなく、割とガッツリとゲームしているのは好みが分かれるかも知れないが自分は好きです。

 ちょっとゲーム的な都合があからさまな点(不自然な場所に移動ショートカット用のバケツがあるなど)もあるものの細かいことで、全体としてはギミックと世界観が自然に溶け込んでおり、スクリーンショット撮影が捗りました。現時点ではフォトモードがないのが惜しい。







スクリーンショット、撮影した時と貼る時とで見え方が違う(ド素人)



◎ストレス要因を排除したバランス感覚


 まずステルス攻略が楽です。かなりゴリ押しダッシュが効くうえ、仮に発見されてもその場から逃げれば即諦めてくれるので、詰まる心配はまずないです。警戒解除までに何十秒も待つ必要はないです。

 また落下死も存在しません。どんな高所でも下に飛び移れる場所がなければその場で止まります。あった方がリアルかも知れないけど、工数をかけて表現したところで誰も喜ばないどころかマイナス評価になりかねないので、堂々と廃して正解だと思います。探索のストレスもこれのお陰で薄れています。

 少し話がずれますが、二足歩行のキャラクターを生身の人間ではなくロボットにしたのも優れたバランス感覚だと思います。
 生身の人間だと変な生々しさが強まってしまうというか、動物と人間のヒューマンドラマの文脈が生じてしまい、相棒ドローンとの絆が薄れてしまうので。
 獣人にするとケモナー的な文脈が強すぎてしまうし、かといって完全にゴリゴリのロボットでも無機質すぎるので、所作が人間くさい人型ロボット(異形頭ジャンルにも近しい)にした采配は素晴らしいです。


◎安心のチャプター選択機能


 あるかどうか不安だったのですが、ちゃんとありました。クリア後限定ではなく一周目から選べます。チャプターごとの「メモリー」の取得数/配置数も表示されるので取り逃した際も安心!


◎愛らしい猫


 もはや説明不要。群れの中でも好奇心旺盛な若いオス、というイメージで捉えています。モーションが愛らしく、ゲームに登場する動物特有のぎこちなさはほとんど感じることがなかったです。
 こればかりは自分の撮影技術だと伝わらないので、ゲーム内で確認した方が早いです。




【気になった点】


△ジャンプにまごつきがち


 段差の上り下りに顕著で、なかなかジャンプ操作ボタンが出現せずカメラを微調整する操作が高頻度で発生します。中途半端な位置で微調整せず、段差ギリギリで行きたい方向を意識してスティックを傾けると比較的スムーズに飛び移れる気がします。



△イベント・ムービーがスキップ不可


 いずれもそこまで長くないのが救いにせよ、トロフィー収集などで再プレイ時はやはり気になります。実際はムービーよりも、同行者の移動に合わせるパートが長く感じます。急ぐゲームでもないですが……



△若干ロードが長め(PS4)


 これはトロフィー収集を始めると気になってくる要素です。ゲーム中はほとんどロードが発生しないのでさほど気にならないですが、チャプター選択から再開したりゲームオーバーからリトライする際には7~8秒程度の微妙に長いロードが挟まるので、地味に負荷がかかります。ゲーム自体を嫌いになる前にプラチナトロフィーを取得できたので良かったですが……こだわりがなければトロフィー収集をしないのも一手です。ちょっと判定が曖昧なのもあるので……(爪とぎとか)



【まとめ】


 猫・動物・異形頭・ポストアポカリプスなどが好きな人、即ちオタクにはおすすめです。
ゲームに慣れている必要はありません。複雑な操作はなく謎解きも容易で、ごく一部のパートで発生するバトルもゲームの腕はほぼ不要です。いわゆるライトユーザーを相当に意識した遊びやすいつくりになっているので詰まることはほぼないです。
 ストーリーに関してはある程度予測のつくオチですが、それでも最後は目が潤みました。主人公が猫なのもあって、テキストやボイスで語りすぎないのがとても効果的な演出となっています。

 トロフィーに関しては簡単なのと難しいのが両極端ですが、少しやる気になればプラチナトロフィーに届くバランスです。
 ロード時間やイベントスキップ不可など、周回にあまり向いていないのが気になる点ではありますが、そこまで求めずともストーリーを追うだけで楽しめます。

 また、発売時期にTwitter上でデマ拡散騒動があったようです。それに関する誤解はほぼ解けた様子ですが、思うに、このゲームで発生するすれ違いは、主役の取り違えにあるのではないでしょうか。

 この作品はまず大きな箱庭の世界観ありきで、主人公の猫ちゃんはそこに放たれたに過ぎず。故に世界のすべてが猫に優しいというわけでもなく、撃たれたり敵に群がられたりしてゲームオーバーを迎えたりします。猫は確かに可愛いものの猫だけを愛でるゲームにはなっておらず、どちらかと言えばロボットたちとの交流に重点が置かれているように感じます。

 「猫のお散歩ゲーム」は本作の一側面に過ぎず、本作はあくまで世界観ありきの作風なので、かわいい動物ゲームを期待するとミスマッチが起こる可能性があると思います。すごく雑に括ると、動物ゲーというより、世界のリアリティやクールな雰囲気を重視する洋ゲーの文脈にあります。

 とはいえ、生物に無関心な世界を猫らしく気ままに散歩するプレイは十分楽しめるし、ダメージ描写も露悪的なものは一切ないので、過剰な心配は不要です。
 一方的に虐待されたり、やたらしつこく怪我や被弾を描写したりはないので大丈夫です。強いて言えば、ムービーで避けられないダメージ描写があったり、一部のロボットの言動があたりが強かったりするくらい。もっとも痛々しい描写は早々に暗転したりであっさり終わり、怪我もすぐに治癒するので不快感が頭にこびりつくことはなかったです。

 それでもどうしても気になってしまう人のために、気がついた限りで記事の末尾にまとめました。
文章で読むと大事っぽいですが、実際の描写は拍子抜けするほどあっさりなのであまり深刻に捉えないでください。

 それにしても本当に満足度が高かったです。フルプライス(約8,000円台)でも感想は変わらないか、と言われると自信はないですが(貧困層なので)、いずれにせよ価格を忘れる出来でした。

 続編は今すぐにでも遊びたい! という気持ちです。ただあの美しいラストを思うと、野暮な気もします。でも一作で終わらせるにはもったいないコンセプト・フォーマットなので、なんというか会社の主力シリーズになって末永く続いて欲しいですね。


↓以下微ネタバレ注意!!






【Stray 気になる人向けの不穏描写まとめ】


1.ゲームオーバー描写 小さな生物に一定時間群がられる、あるいは警備ドローンにテーザー銃みたいなもので撃たれると短い鳴き声と共に倒れ、画面が赤くなる。食べられたり死体撃ちされたりする描写はなくて倒れるだけ。

2.イベントで強制的なダメージ ゲーム最序盤と中盤で後脚を挫いてしまう。ある程度動くと治癒してすぐに走れるようになる。また、ゲーム終盤のムービーで前述の警備ドローンに撃たれる。鳴き声のみですぐに次のシーンへ移行する。

3.不気味なオブジェクトあり ややホラー風味なチャプターが存在する。謎の目玉や卵などの生々しいオブジェクトが配置されており、前述の小さな生物の登場頻度も高く不穏なパートではある。ある程度ゴリ押しで突破可能。

4.一部ロボットの言動 後半の街に登場するロボットの中にはやや強めの口調の個体もいる。直接的な暴力などはなし。

5.収監描写 収監される。すぐに打開できる。

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