ゲームクリア感想115_ワンダと巨像(PS4版)

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「ICO」と「人喰いの大鷲トリコ」をやっているなら当然クリア済だろうと目されている(そうか?)このタイトルですが、私は2018年の終わりにようやく手を付けました。
PS2版もPS3版も今ひとつピンとこなくてずっと後回しにしていたところ、去年にフルリメイクの本作が発売されたのを最後のチャンスと思い購入して、2019年初頭の今になってクリアしたという流れです。

PS2版発売当時はよくCMが流れていた記憶があります。
今はよほどの大型タイトルでない限り、ゲームのCMといったらアプリになってしまいましたが……


バージョン 更新なし
難易度 NORMAL
クリア時間 09:26:26
トロフィー取得率 33%


【良かった点】

◎迫力と緊張感に満ちた戦闘

一戦のたびに手汗がびっしょりで、常に傍らにハンドタオルを置いて遊んでいました。

実際に遊んで、なぜ昔の自分がCMや作品情報に目を通してもあまり惹かれなかったかが解りました。
こればかりは自分の手で実際に操作しないといけなかったのです。
自分の手で巨像を倒さなければ解らなかったのです。

「握力」という能力をここまで上手にゲームに落とし込んだ作品はもう出てこないのではないかという気にさせられました。
また、私はゲーム中もあんまり声を出したりしないのですが、本作では言葉未満の呻き声や祈りの声をよく漏らしました。振り返ってみるとICOや人喰いの大鷲トリコでも同じような感じでした。
それだけ制作陣はプレイヤーを没入させるデザインが巧みなのでしょう。

全16体の巨像はいずれも攻略法が異なり、巨像自体やステージの特色、あとはヒントの声(設定でオフにも出来ます)などからそれを導き出すのが楽しかったです。
といっても、3体だけどうしても自力では解決できずに攻略サイトに頼ったのがやや心残りです。


◎ストーリー

オープニングとエンディングを除けば、16体の巨像を1体ずつ淡々と倒していくだけの流れです。それにも関わらず、ストーリー自体には単調さを感じなかったです。

なぜなら巨像との一戦一戦が"ストーリー"だから……

と言うとストレート過ぎて照れますが、広大な平野を愛馬のアグロと共に駆け抜けて、時たま探索したり休んだりして、戦いながら攻略法を推測して、手汗をかきながら巨像の体毛(?)に必死にしがみついて、失敗して呻いたりしながらやっと最後の一撃を弱点に喰らわせる……という一連の流れだけでもう思い出深いです。

今まで定義がよく解らなくて使うのを避けていたのですが、こういうのがゲーム業界用語で言う「ナラティブ」というやつなのでしょうか。

もちろん基となるストーリーにも心動かされました。
エンディングのパートははもうちょっと操作したかった……


◎美麗グラフィック

フルリメイクなだけあって、PS2やPS3の面影は全く感じさせないほど綺麗でした。
最初は単なるHD版だと勘違いしていたので、フィールドの美麗さに度肝を抜きました。
綺麗なグラフィックのおかげで、単調に感じる移動時間もそれほど退屈しなかったです。


【気になった点】

×後半の一部巨像攻略が理不尽

まず第11と第14の巨像の転倒ハメは修正レベルだと思うのですが、私が下手なのがいけないのでしょうか?
起き上がり即ローリングでギリギリ抜け出せるものの、巨像のほうが速いので抜け出した先でまた転倒させられて蹴鞠状態のままゲームオーバーを迎えました。
これだけで×をつけました。

この2体だけなく、第9の巨像からラストまでは第8までの巨像攻略のような程よい楽しさは薄れ、理不尽を感じることの方が多かったです。

第9の巨像はとにかく誘導に時間がかかって単純にダルく、アグロの独特な操作性(後述します)もあって、ここで一度挫折しました。

第10の巨像もアグロ必須で、更に時間制限付き馬乗射撃まで要求されて本当に泣きたくなりました。ここでも挫折しかけました。

第16の巨像は画面が暗い・巨像上の行動時間が僅かしかない・最終目的地へのルートが自力だと全然解らない・体力が多い・一度ミスしたら最悪一番下から登り直し、とこのゲームの理不尽を集約したような存在で泣きました。

第9・10・11・14・16以外の巨像攻略は気がつけない自分が悪かったレベルなのですが(第15の巨像もやや理不尽ですがなんとか許容範囲)、この後半5体は本当に辛かったです。


×カメラワーク

設定である程度は弄れるものの、最初から最後までこれに悩まされました。
なんと言えばいいのか、自分の意志が反映されないというか、放っておくと意図しない方向に動き出すので勘弁してほしかった。
特にアグロ騎乗時はその操作性の独特さも相まって理不尽。アグロ騎乗が要求される巨像との戦いは正直憂鬱でした。


△騎乗の操作性

乗ったらまず拍車を掛ける操作から始めないと走り出さないというリアル志向なので、ゲームを始めた時は動かし方に戸惑いました。走り出しても思い通りに操作するにはかなり慣れが必要で、本当に苦労しました。
巨像と戦うだけで精一杯なのに中盤からはアグロ必須の戦闘もあるので、何回かクリアを断念しかけました。

この独特な操作が負担で、フィールドの探索はほとんどしませんでした。
森や谷などの狭い所は下りて移動した方がノーストレスです。

ワンダ(主人公)の操作は、泳ぎが遅いのとジャンプが気になるくらいです。


△「待ち」が何かと多いのでワンミスが大きい

確かに戦闘の緊張感や迫力は凄いです。
一方で、プレイヤーからは大した介入ができない時間が結構あるように思います。
巨像の特定のモーション待ち、一旦離れたアグロ待ち、前述した第9の巨像の単調な割に時間のかかる誘導など……

そもそも急いでやるようなゲームでもない、とも思いますし、待ち時間自体は別に良いのですが、このゲームはそれがそこそこ長く、一度振り落とされたりしてミスすると長めの「待ち」からやり直し、というパターンがほとんどです。

はっきり言って私のような下手くそにはワンミスのペナルティが大きすぎると感じました。安全地帯でしゃがんでいれば体力ゲージが自然回復するのにペナルティもなにもないだろとは思いますが……また一からやり直しみたいなのが多くて……


【まとめ】


「ままならない」というのが本作全般の感想です。システムもストーリーも含め。
振り返ってみると「ICO」や「人喰いの大鷲トリコ」もそんな感じの感想でした。

もっとも、その「ままならなさ」が愛しかったのは「人喰いの大鷲トリコ」だけで、ICOと本作は理不尽を感じることのほうが多かったです。また、三作すべてクリアした今、個人的に一番好きなのも「人喰いの大鷲トリコ」です。
かなり個人的な好みで恐縮ですが……

もっともゲーム自体の完成度は非常に高く、高評価なのも当然な内容だと思います。
巨像との戦いではこのゲームでしか味わえない体験ができました。
ただでさえ出来の良いゲームに高品質なフルリメイクを施したので、良質な内容になるのも頷けます。
リメイクしたのは外注の会社(Bluepoint Games)ですが、原作への愛すら窺える気合の入りようで、もう他の安易なリメイクとは志から違いを見せつけられた感じですね。

ということで、旧版プレイ済の方が遊んでも楽しめると思います。
逆に完全新規だと好き嫌いが別れてしまうかも。

ともあれ、一度体験しておいて良かったと思います。
私としてもこれだけ未体験だったのが心残りだったので、今回ようやく遊べて満足しました。





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