ゲームクリア感想319_シチズン・スリーパー2:Starward Vector (PS5版)

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一作目の記事はこちら

こんにちは。いきなりですが今月は本記事のほかに2回更新を予定しています。4ヶ月ぶりの小作品不定期まとめ記事を来週あたりに、年一回の祭典である年間大賞記事を年末に更新予定です! よろしければ年末の総括までお付き合い願えますと幸いです。どちらも進捗がゼロに等しいので頑張ります。

文章がどうしても硬くなってしまうのですが、変にふざけて不快な文章になるのも不誠実ですし、もうこのまま文章が退屈なブログという方針を貫徹しようと思います。個人的にもここ数年、軽佻浮薄を脱してこういった退屈さや硬さを自他ともに再評価したいと思っておりますので……(ポジショントーク)

記事の本題に入ります。TRPG風味テキストアドベンチャーの続編です。
一作目である前作が素晴らしかったので、今年2月に続編が発売されるという報に触れたときは喜びました。ただ前作を遊んだXbox Game Passの期間が切れて更新予定もないため、一旦置いて家庭用日本語版を発売されるのを待つことに。いつの間にかPS5でも配信されていた一作目を購入して遊び直していたところ、なんと本作が年内配信ということですぐにスケジューリングした次第です。

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン ver.1.2.23
難易度 注意(Normal相当)
クリア時間 約  12 時間
トロフィー取得率 57  %

【良かった点】


◎正当進化


あまりにも正当で素直な続編でした。前作から基本のシステムや世界観は変わらず、純粋にできることが増えた内容です。
一ヶ所に留まらず複数のエリアを移動できるようになり、メインクエストやサブクエストでは仲間の力を借りてダンジョン探索する要素も登場しています。またゲーム進行の基本となるダイスにも耐久力が設定されたり、グリッチダイスという低成功率のお邪魔要素も出てきて終盤までハラハラさせられました。前作は序盤こそキツいものの軌道に乗ってしまえば生活が安定するのに対し、今作は序盤から終盤まで常にダイスの機嫌に左右されるので、ダレることはありませんでした。

また前作は街の中に拠点を持てましたが、今作では「リグ」と呼ばれる移動手段そのものが拠点となっています。ちなみに薬の定期的な服用は不要となったものの「負荷」というストレスレベルに比例してダイスがダメージを受ける、という設定に変わりました(ダイスはアイテム消費で修理可能)。


やっぱりこの画面ですね


新要素:仲間。ダイスは毎サイクル各2つ振れる


正直、システム面でも世界観でも前作のシンプルさが好みではありますが、このシステムでまだまだ出来ることがあるという可能性を感じました。ゲームバランスも難易度「注意」なら程よく、やはり前作同様に序盤がキツいものの、中盤以降は少し楽になってようやく前作のプレイ感に近くなりました。なんなら時間に追われがちな前作よりも余裕があるくらい。


◎高品質テキスト×「正しい」ストーリー


=感じるものがある王道展開。
序盤こそ専門用語と見知らぬキャラクターに翻弄されてピンと来ませんでしたが、他者の善性は信じるに値すると思えるような「正しい」内容をまっすぐに書き切っているのは好感を抱きました。クールなビジュアルイメージに反して、序盤から共にある親友と苦境を乗り越える少年漫画っぽさもあり、それが読み応えありかつ嫌味のない丁寧なテキストで綴られるので、正攻法の強さを感じます。なんならエンディングですら今回は(恐らく)一種類のみ。

はっきり言えば、ロールプレイの自由度は前作よりも下がったと思います。
代わりに仲間や登場人物との信頼関係に焦点が当たっており、周りから呆れられても他者を信用すること、誰かに裏切られたと感じてもその人物を助けに行くこと、信頼があれば意見が一度や二度対立した程度で離れたりしないことなど、人との関係の中で再構成されるロール、といったイメージが近いです(設定的にも、最序盤で主人公は記憶を失っています)。
また仲間も、なんとクエストごとにちゃんと別のセリフが用意されていて、これが一番驚きました。仲間は6〜8人(+任意で猫1匹)くらいいるので、全パターンを実装したと思うとかなりの気合いが伝わってきます。

やっぱり登場

話はずれますが、このシリーズ、ロールプレイ系では珍しく、逆張りで悪事を働くことの優位性がさほどないのも好みです。選択肢系アドベンチャーによくある露悪的なだけの選択にはそろそろ辟易しつつあったので、ここまでまっすぐでもいいんだ! と勇気づけられました。
また想像以上に前作キャラクターが出てくるので、後日談としても楽しめました。


◎感動的な日本語ローカライズ


そしてストーリーを支える日本語ローカライズも相変わらず高クオリティ。素人目にも膨大なテキスト量にもかかわらず不自然さが一切なく、最初から日本語で制作されたのかと思うくらい。


◎ゲームボリュームに大して控えめな容量


かなり遊べる内容にもかかわらず、容量はなんと666.4MBしかなくてストレージフレンドリーです。それでいて動作に不具合も起きませんでした。容量が軽いということはPS5や外部ストレージに常駐させやすいということなので、地味ながら周回プレイのモチベーションになっています。

振り返ってみると、このブログはゲーム容量への言及が少なすぎた気がします。これからはより着目していきたいです。


【気になった点】


△前作から失われたもの


上の各項目では絶賛しておいてどうした? と思われるかも知れませんが……
正直、個人的には街でひとり(+任意で猫1匹)生き抜く前作の方が好みでした。サイバー宇宙生活ロールプレイとしても楽しかったし、孤独だからこそ袖触り合うも多生の縁の関係性が儚くも美しかったし、アートワークも前作の鮮烈さと比較するとそこまで衝撃はなく。あの一仕事終えて食堂で飯を済ませてコンテナのねぐらに帰るという前作の流れが妙に中毒性あり、平日夜にまったり遊ぶのに最適でした。

対して今作は、王道展開とはいえ逃避行からの逆転劇というありがちな話で、高品質なテキストでカバーされているとはいえ、自分の巣を追われたような若干の寂しさがあります。



△操作のごちゃつき


新要素が増えたのに伴って、操作がごちゃごちゃしているのも少々気になります。
特にリグ(拠点)まわりで誤爆しがちでした。◯ボタン一押しでリグと探索(自由移動)を切り替えできるのですが、本作では◯ボタンは大抵キャンセルとして割り当られているため、これの切り替えが直感的に判別しずらくやや慣れが必要でした。
例えば「リグから探索に行きたい」という能動性から決定ボタンである✕ボタンを押すとそのままリグの施設を選択してしまったり、うっかり上にある「サイクルを終える」を押してしまい無駄にサイクル(一日)を重ねてしまったりということがありました。「リグ/探索に戻る」から「◯ボタンでキャンセル」と認識すれば暴発は減ったものの、終盤まで慎重に操作していました。

個人的な感覚ですが「サイクルを終える」はもうちょっとわかりやすくするか、なんなら確認メッセージが出ても良かった気がします。今作の場合、サイクルを跨ぐリスクが高いので……

【まとめ】

「正しさ」が鼻につかない、正攻法の続編。
王道ストーリーを高品質なテキストで表現するという正攻法を取ったまっすぐな勇気を称賛したいです。一番実力が試されるので。また、この手のゲームでよくある選択の葛藤も今回は控えめだった印象です。最序盤でサブクエストをひとつ諦めたこと以外は葛藤に苛まれることもありませんでした。

ただ、やっぱりどうしても前作の生活ロールプレイの感覚が忘れられず……完全に好みの話ですし、今作は今作で新たな面白さや一部キャラクターの後日談があるので総合的には満足です。ただどちらが好きかと言われたら、やっぱり前作と答えてしまいますね。

でも、前作がそうだったように、また日を置いて周回したくなると予感しています。ランダム要素がある仕様上、周回すればトロフィーを確実に取得できるわけでもないので逆に気軽です(最高難易度クリアのトロフィーを獲得できる気がしない)。焦らず、気に入った本を余裕のある時に再読するように、長く付き合っていきたいです。もちろん新作があれば楽しみにしています。


 

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