ゲームクリア感想297_ライフイズストレンジ ダブルエクスポージャー(PS5版)

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シリーズもおおよそ5作目となる長寿と化した人気シリーズ。約二年に一度の間隔でコンスタントに発売されるので、初代から長い付き合いになっています。
でも今回が一番発表されて驚きました。予想していなかった初代主人公の再登場という展開に期待が高まる一方だったのですが……


【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン ver.1.002
難易度 設定なし
クリア時間 約 20時間
トロフィー取得率 63%

【良かった点】


◎「いつもの」で通じる安定感


いつもの「あの雰囲気」は今回も健在です。今回からグラフィックやアニメーションが強化されてかなり綺麗。チルい(ネット用語?)音楽も相変わらず。アクセシビリティもより充実して苦手な表現ごとにON/OFFできるし、元の操作もそこまで複雑化していないので間口の広さもパワーアップしています。


裏を返せばこれらの表現があるということですが、選択肢があるというのは良い


グラフィックは目に見えて美麗になった


◎安定の日本語ローカライズ


初代からクオリティが落ちないの、相当凄いことだと思います。逆に原語だと違和感があるくらい。この職人技を味わうためにシリーズを追っているまである。
たまに字幕とボイスに差異があるものの些細なことです。


ここの訳文好き


◯初代のその後に挑戦したストーリーの果敢さ


すでに単体(と前日譚BtS)で綺麗に完結している初代のその後のストーリーという難題に挑戦したこと自体は悪くなかったと考えます。当時どの結末を選んだとしても結局初代主人公マックス(と選択のボタンを押したプレイヤー)の人生は続くので、代償のあとの人生を描くのは意義のあること。それが成功するかは別の話となってしまうとはいえ、挑戦しないことにははじまらないので。


住処が初代の狭い寮室から格段に豪華になって羨ましい(借家みたいなものだけど)


肝心のストーリー自体は、キャラクターの魅力に欠けることを除けばそこそこという感想です。終盤、マックスの自撮り趣味がここぞといったタイミングで発揮されるのはグッときました(その設定自体を忘れていたことはご寛恕を)。もうちょっと内面が成熟していても良いのでは? と思わなくもないですが、初代主人公だからこその説得力が輝く場面もしっかりあったので、初代の続きものの体裁は保たれていると思います。

今思うと、2でもTCでも初代のキャラクターが再登場していたので、いずれ初代主人公の再登場は以前からの既定事項だったのかもしれません。ファンサービスだったとしてもやはり初代は重要な位置づけにあるのでしょう。これまでもこれからも。


【気になった点】


×とんでもなく不快なヒロイン枠


この人はヴィラン枠? いくらなんでも所業が悪辣すぎて唖然として怒りが吹き飛びました。


序盤〜中盤までは、シリーズおなじみの「調子に乗ってトラブルを招いては主人公や周りとギクシャクして、特に反省もしない」ヒロイン枠だったのですが、ストーリーの真相がある程度判明してからの振る舞いがもうシリーズ最凶。クロエ・レイチェル・ダニエルあたりの歴代問題児は最終的に同情できる面もあったにせよ、この人の場合は生育背景を説明されてもなお全くそういう感情が湧かず、情緒不安定な他責わがままお嬢様にイライラしたままエンディングを迎えました。

ネタバレになるので詳細が言えないのがもどかしいのですが、他者を陥れるために特殊な手段で冤罪をなすりつけ職を失わせたり、特殊な手段で他者の親になりすまして子どもに暴言を吐いて(これが不快指数のピークだった)さしたる反省を見せなかったり、アサシンクリードやヒットマンあたりならゲス暗殺対象としてターゲットになっているレベルのカス。

そんなんでも終盤で良い感じに落ち着いたかと思いきや、今度は急に異常な易怒性を発揮するので、もう意味がわからず不快感すら恐怖に転じました。一応この情緒不安定にも理由らしきものがありますが、元からのムーブが最悪すぎてエクスキューズになっていないです。


推測するに、このヒロインの背景に関してはまた続編で深堀りする予定なのでしょう。ただ初登場となった今作ではそこまで掘られなかったので共感が難しいキャラクターになってしまった、というのが好意的な解釈です。また制作陣はすべての設定を把握しているので、この異常なキャラクター造型に違和感を覚えないどころか思い入れがあるのでしょうが、個人的にはもう関わり合いたくないです。真相が判明した後は遠慮なく敵対的な選択肢を取りました。


ヒロインだけが駄目というわけでもなく、他のキャラクターも2~3人除けばはじめから感じが悪かったり距離感が近かったりと、親密な関係になるのはご遠慮したい面々。おそらく続編でもこの面々が続投される可能性が高いので、どうなるやらという感じです。



△探索のテンポの悪さ


悪い予想が当たりました。案の定、2つのパラレルワールドを行き来するのが結構ダルいです。大して違いのないロケーションの探索を2回繰り返すので体感のテンポが悪いし、今どっちの世界にいるのかパッとわかり辛い。久々に「二つの塔で苦労も二倍だな」のネットミームを思い出しました。実際は苦労というより億劫さがあります。

ワールドの切り替えにしてもタイタンフォール2キャンペーンなみのテンポの良さがあれば別でしたがまぁゲームジャンルも違うので……

その上に片方の世界の観測システム(片方の世界での会話を別次元から盗み聞きして謎解きに活かすなど)も発生するので、頭でっかちなごちゃつき感だけが印象に残ります。

ロケーションもほぼ大学構内で完結するので、前作TCの豊かな街並みに比べると寂しめ。


そしてテンポを悪くするもうひとつの要素にモブ会話の長さがあると思います。会話が充実しているのは良いもののひとつが長く、更にはちょっと離れたり別行動したりすると消えるので、会話を聴くために3分近く隣で立ちっぱなしになる不審者になりがち。



△珍しく不具合が目立つ


このシリーズにしては珍しく不安定。キャラが表示されなかったり選択が日記に反映されなかったり、鍵が必要なオブジェクトが最初から開いていたりなど。

今回フラグが複雑かつ表現もパワーアップしたのでいつもよりちょっとグラつきがある。



△作品コンセプトと乖離したトロフィー/実績条件


これまでのシリーズ作品のトロフィー/実績は、1エピソードの収集要素をすべて回収するなど作中の大きな選択を阻害しない条件で統一されていましたが、今作から大きな選択を周回なり上書きチャプター選択なりでやり直さないとコンプリート不可になりました。


従来の収集要素全回収のトロフィーこそありますが、キャラクターと恋愛関係を結ぶか結ばないかを条件としたものが4つもあり、よりによってライフイズストレンジでそれを!? と困惑しました。正直、恋人候補の誰にも魅力を感じないのでそれとなくアプローチを避けていたら、誰とも恋愛関係を結ばなかったことを条件とするトロフィーが取れました。あと3つ取る気力はありません。

それ以外のやつも取得タイミングがエピソードの後半だったりして倦怠感が先立つものが多いです。周回必須な割にスキップできるパートとそうでないパートの差異が曖昧でリプレイ性は低いし……リプレイ性が低いのは初代からだし……


別にゲームを楽しむだけならコンプリート必須でもないですが、これまでのシリーズで築き上げてきた、プレイヤーの選択を尊重する価値観が変わってしまったような気がして、どうにも萎えてしまいました。



【まとめ】

 
Not for Meと穏便に済ませたいところですがやめました。音楽やグラフィック以外の要素がほぼすべて退化しており、シリーズの中でも明確に低品質だと思います。ただでさえゲームラッシュのなか優先して遊ぶ必要はなく、なんなら続編が出てからノルマ的に履修する温度感で程よいと感じます。

良くも悪くもシリーズ過去作で味わったような体験は希薄でした。衝撃だった初代、ラストの選択のやるせなさが思い出深いBtS、わがままな弟に苛つかされつつも濃厚だった2、田舎町に溶け込んでいく感覚が居心地の良いTC、個人的に印象深いものがどれもありませんでした。
ゲーム面も一部練り込み不足で、美点だった丁寧さがゲーム刷新のもとで一時的に失われた印象。次回作以降に向けての基礎固めのような荒削りさがあります。勝手にシリーズ完結編とそれに相応の熟成した内容を想像していたので、ここで挑戦に転じたのが予想外でした。
実際、シリーズの転換期となる作品だとも思うので、個人的な好みを差し引いても初代の続編という難題に挑戦したこと自体は良いと思います。いつまでも初代を神格化してばかりもいられないし、初代キャラクターにまた降りてきてもらったのは悪い判断ではななかった。ゲーム内容が少々追いつかなかったのが少々残念ではあります。

なるべく好意的に捉えるようにしたものの、初めてこのシリーズでプラチナトロフィー取得を断念しました。そこまでこのキャラクターたち相手に頑張りたいと思えない。
これまで初代以外は発売日に購入してきたシリーズですが、次回作もこの調子なら優先度は下がるかも? というのが正直なところです。
それでも約5作も続けて日本市場向けに展開してきてくれたのは感謝しています(日本で売れた様子を見たことがない)。スクウェア・エニックスがこのシリーズだけは展開を続けているの、個人的には好感を持っています。

冷静に考えると優先度も何も、そもそも以前からこのシリーズは露悪的なストーリーだったし、歳を重ねるたびに露悪が苦手になる自分にとっては元から向いていなかった作品群なのではという疑惑すら浮上しています。ついでに言うと冤罪ものも苦手なのでますますこの説は強化され……(2とかよくクリアまで耐えられたと思う)











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