ゲームクリア感想297_ライフイズストレンジ ダブルエクスポージャー(PS5版)
【主なプレイ環境】
難易度 設定なし
クリア時間 約 20時間
【良かった点】
◎「いつもの」で通じる安定感
いつもの「あの雰囲気」は今回も健在です。今回からグラフィックやアニメーションが強化されてかなり綺麗。チルい(ネット用語?)音楽も相変わらず。アクセシビリティもより充実して苦手な表現ごとにON/OFFできるし、元の操作もそこまで複雑化していないので間口の広さもパワーアップしています。
裏を返せばこれらの表現があるということですが、選択肢があるというのは良い |
グラフィックは目に見えて美麗になった |
◎安定の日本語ローカライズ
初代からクオリティが落ちないの、相当凄いことだと思います。逆に原語だと違和感があるくらい。この職人技を味わうためにシリーズを追っているまである。
ここの訳文好き |
◯初代のその後に挑戦したストーリーの果敢さ
すでに単体(と前日譚BtS)で綺麗に完結している初代のその後のストーリーという難題に挑戦したこと自体は悪くなかったと考えます。当時どの結末を選んだとしても結局初代主人公マックス(と選択のボタンを押したプレイヤー)の人生は続くので、代償のあとの人生を描くのは意義のあること。それが成功するかは別の話となってしまうとはいえ、挑戦しないことにははじまらないので。
住処が初代の狭い寮室から格段に豪華になって羨ましい(借家みたいなものだけど) |
【気になった点】
×とんでもなく不快なヒロイン枠
この人はヴィラン枠? いくらなんでも所業が悪辣すぎて唖然として怒りが吹き飛びました。
序盤〜中盤までは、シリーズおなじみの「調子に乗ってトラブルを招いては主人公や周りとギクシャクして、特に反省もしない」ヒロイン枠だったのですが、ストーリーの真相がある程度判明してからの振る舞いがもうシリーズ最凶。クロエ・レイチェル・ダニエルあたりの歴代問題児は最終的に同情できる面もあったにせよ、この人の場合は生育背景を説明されてもなお全くそういう感情が湧かず、情緒不安定な他責わがままお嬢様にイライラしたままエンディングを迎えました。
ネタバレになるので詳細が言えないのがもどかしいのですが、他者を陥れるために特殊な手段で冤罪をなすりつけ職を失わせたり、特殊な手段で他者の親になりすまして子どもに暴言を吐いて(これが不快指数のピークだった)さしたる反省を見せなかったり、アサシンクリードやヒットマンあたりならゲス暗殺対象としてターゲットになっているレベルのカス。
そんなんでも終盤で良い感じに落ち着いたかと思いきや、今度は急に異常な易怒性を発揮するので、もう意味がわからず不快感すら恐怖に転じました。一応この情緒不安定にも理由らしきものがありますが、元からのムーブが最悪すぎてエクスキューズになっていないです。
推測するに、このヒロインの背景に関してはまた続編で深堀りする予定なのでしょう。ただ初登場となった今作ではそこまで掘られなかったので共感が難しいキャラクターになってしまった、というのが好意的な解釈です。また制作陣はすべての設定を把握しているので、この異常なキャラクター造型に違和感を覚えないどころか思い入れがあるのでしょうが、個人的にはもう関わり合いたくないです。真相が判明した後は遠慮なく敵対的な選択肢を取りました。
ヒロインだけが駄目というわけでもなく、他のキャラクターも2~3人除けばはじめから感じが悪かったり距離感が近かったりと、親密な関係になるのはご遠慮したい面々。おそらく続編でもこの面々が続投される可能性が高いので、どうなるやらという感じです。
△探索のテンポの悪さ
悪い予想が当たりました。案の定、2つのパラレルワールドを行き来するのが結構ダルいです。大して違いのないロケーションの探索を2回繰り返すので体感のテンポが悪いし、今どっちの世界にいるのかパッとわかり辛い。久々に「二つの塔で苦労も二倍だな」のネットミームを思い出しました。実際は苦労というより億劫さがあります。
ワールドの切り替えにしてもタイタンフォール2キャンペーンなみのテンポの良さがあれば別でしたがまぁゲームジャンルも違うので……
その上に片方の世界の観測システム(片方の世界での会話を別次元から盗み聞きして謎解きに活かすなど)も発生するので、頭でっかちなごちゃつき感だけが印象に残ります。
ロケーションもほぼ大学構内で完結するので、前作TCの豊かな街並みに比べると寂しめ。
そしてテンポを悪くするもうひとつの要素にモブ会話の長さがあると思います。会話が充実しているのは良いもののひとつが長く、更にはちょっと離れたり別行動したりすると消えるので、会話を聴くために3分近く隣で立ちっぱなしになる不審者になりがち。
△珍しく不具合が目立つ
このシリーズにしては珍しく不安定。キャラが表示されなかったり選択が日記に反映されなかったり、鍵が必要なオブジェクトが最初から開いていたりなど。
今回フラグが複雑かつ表現もパワーアップしたのでいつもよりちょっとグラつきがある。
△作品コンセプトと乖離したトロフィー/実績条件
これまでのシリーズ作品のトロフィー/実績は、1エピソードの収集要素をすべて回収するなど作中の大きな選択を阻害しない条件で統一されていましたが、今作から大きな選択を周回なり上書きチャプター選択なりでやり直さないとコンプリート不可になりました。
従来の収集要素全回収のトロフィーこそありますが、キャラクターと恋愛関係を結ぶか結ばないかを条件としたものが4つもあり、よりによってライフイズストレンジでそれを!? と困惑しました。正直、恋人候補の誰にも魅力を感じないのでそれとなくアプローチを避けていたら、誰とも恋愛関係を結ばなかったことを条件とするトロフィーが取れました。あと3つ取る気力はありません。
それ以外のやつも取得タイミングがエピソードの後半だったりして倦怠感が先立つものが多いです。周回必須な割にスキップできるパートとそうでないパートの差異が曖昧でリプレイ性は低いし……リプレイ性が低いのは初代からだし……
別にゲームを楽しむだけならコンプリート必須でもないですが、これまでのシリーズで築き上げてきた、プレイヤーの選択を尊重する価値観が変わってしまったような気がして、どうにも萎えてしまいました。
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