ゲームクリア感想290_ファイアーエムブレム エンゲージ


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※アプリのヒーローズは7年間続けています

発売日にダウンロード版を予約購入していましたが、思う所ありクリアは一年半後の今となってしまいました。
結論から言うと、美点はあれど心身ともに負担の大きいゲームでした。次に起動するにしても時間を置く必要があると考えています。

何がそんなにストレスかというと、風花雪月で新機軸の打ち出しと弱点たるストーリー面の克服に成功したのを台無しにするような内容で、ここまで来て時計の針を逆戻しする選択を公式がしてしまったというのがストレスです。またFEは暗黒時代に逆戻りの可能性が高いのではという不安をもたらすゲームでした。

もちろん技術的には最新作のこれが一番高いだろうし、その意味で時計の針は進んだままなのでしょうが、ここからは気持ちの問題なので、エンゲージが大好きという方はこの記事どころかこのブログ自体のアクセスをお控えになった方がよろしいです。今後ファイアーエムブレムの一作として素直に受け入れられるかどうかもわからないので。

何をこんなに絶望しているのかといえば、シナリオライターの問題が大きいです。詳述は避けますが人間性やプロ意識、そして成果物の品質に疑問を抱かざるをえない社員ライターが本作のストーリー主要部分を担っているからです。この人物、裏垢での公私混同告白や、客と職場の悪口が発覚して炎上してからすっかり外されたと思っていたのですが甘かったです。
実のところ、発売時期に遊ばなかったのはこの理由が大きいです。ダウンロード版を予約購入していざ起動、というタイミングでシナリオライターが誰なのか知った時には絶望しました(発売前には公表されなかった)。 そこでやる気が失せ、発売から約一年経過したのを機に積みゲー整理の勢いで思い切って起動。複数回の休止を挟んでストレス管理を行いながら、なんとかクリアと相成りました。

もう本当にスターウォーズの名台詞「選ばれし者だったのに!」という気持ちです。風花雪月のあとがこれ?


【主なプレイ環境】
ハード Nintendo Switch
バージョン ver.2.0
難易度 ハード・クラシック
クリア時間 約 125:20(放置引くと90時間くらい?)


【良かった点】


◎音楽


相変わらず良かったです。このシリーズはここだけはまず外さないので安心。思えばインタラクティブミュージックを最初に意識したのはこのシリーズでした。オープニングテーマは原曲こそアニソン風で気恥ずかしいものの、同じ旋律を使ったアレンジバージョンだと良い感じ。

中でも白眉なのが「砂塵と爛漫」およびそのアレンジの「砂塵舞い踊る爛漫」「ソルムの野営」。シリーズ史上でも語り草になる名曲で、これを輩出しただけでも本作の意義があるくらい。拠点BGMはずっと「ソルムの野営」にしていました。外伝で流れる各旧作アレンジ曲も好みです(FEヒーローズで先に聴いていた)。終盤マップの「誓いの地へ」や最終マップの曲も佳境感あって最高です。


この砂漠の街ステージは曲とシチュエーションがバッチリ合致していて印象的。



◯秀逸なUI


ごちゃついており直感的とは言いがたいですが、ここも相変わらず取り回しは良いほうだと思います。
特に自由探索はエコーズや風花雪月より改善されていて、会話の既読/未読が吹き出しアイコンの色で判別できる上に会話の頭のテキストも表示されるので無駄に話しかけてしまうことがほとんどないです。

拠点に関してはかなり整備が行き届いていて、風花雪月よりもさらに親切です。基本どこにでもファストトラベル可能かつその場にいるキャラクターを示してくれるので目的を果たしやすいし、支援アップのアクティビティ3ヶ所はそれぞれ回らなくてもどこか1ヶ所から実行可能。ソラネルでの料理は参加者共通の好物を自動で一番上に表示してくれるのでスクロールの手間も少ないです。


◯安定して面白い戦闘


目玉システム「エンゲージ」によってかなり大胆な戦術を取れるようになったので、リスクの取り方が幅広くなったのは良いと思います。

またゲームバランスも良いと感じます。ハードクラシックの難易度で遊びましたが、同レベル帯であれば敵将は取り巻きの対処含めてエムブレムエンゲージを活用してギリギリ勝てるレベルで調整されていると感じました。これによってなかなか白熱する体験ができました。あと、ビジュアル面が格段に進化したのもあり見た目だけでも楽しいです。戦闘アニメはずっとONでした。


←主人公に次ぐ最強キャラだった(紋章士リンも強い)


自軍No,3だった。被弾しやすいが一発がデカい


静止画だと奮わないがこのゲームはアニメーションが秀逸



◯王道のストーリー展開


本作に思うところは沢山はありますが、中盤過ぎあたりからのストーリー展開はそんなに悪くなかったです。大体想像つくとはいえこれまでの伏線を活かして王道展開に繋げる20章あたりなんかも良かった。

あと、メインストーリーや支援会話において、出自や過去の呪いに囚われなくていい、これまで結んできた絆を大事にせよという価値観が一貫していたのだけは良かったと思います。とはいえ、それだって主人公に限れば序盤から周囲に持ち上げられ世話を焼かれ、仲間も貴族やその臣下が大半で他者の善性を信じる余裕と下地があったからかなり早く立ち直れた話だよなとも思いますが、まぁノブレス・オブリージュがないよりはマシです。ifと違って人殺し自体を愉しむような不快な味方キャラも今回はいませんでした。別の方向で不快なキャラはいましたが(後述します)。


【気になった点】


×既視感あるストーリーと稚拙なテキスト


先述したようにストーリー自体に見るべき点はあるものの、やっぱりこのライターは好きになれません。良いところ探しをした上でそういう結論に至りました。


ストーリーライン自体はそこまで悪くないと思います。序盤は苦痛ですが上の項目でも書いたように中盤過ぎから多少マシになるし、全体として勘所は抑えている感じ。


ただ、なんか覚醒やifで見たような流れや設定でまったく新鮮味がなく、王道展開も相まって先の展開がおおよそ読めてしまい、全体としてはストーリーの引力がかなり弱かったです。記憶喪失の主人公! 王族きょうだい! 退場フラグが立っている母親! 変節してしまった父親とそれを悲しみながらも従う姉妹! 青白カラーリングのマスコット! ぜんぶ前に見ました。これでもごく一部で、ライターが邪魔者を排して書き上げたifのリメイクストーリーと言われても頷けるくらい。


このライター、キラキラ王族とその臣下という関係性が相当ツボなのか今回も飽きずに繰り返しており、まだifでやり残したことでもあったのかと邪推するくらい。比較的好感を抱ける(あるいは無難な)キャラクター付けをされているのは救いですが。


そしてテキストも、教養をほぼほぼオタクコンテンツだけから得ましたといった風味で、風花雪月とは比べるべくもなく、ifよりは多少マシな程度といったところ。これで戦争ものというのが輪をかけてキツい。

一番血圧上がるのは戦場での「かわいい」「かっこいい」概念の連発。そういうキャラクターがひとりだけならともかく複数人いるし、覚醒やifですらここまでではなかったので高確率でキラキラライターの趣味が反映されたものと見ています。命の奪い合いをしている最中で、やれ自分がかわいいだのあなたのほうが可愛いですよとかの下らない戦闘会話が発生した時には本気で馬鹿かと思いました。


ちょっと話がズレますが、そもそもの世界自体も時計回りに一周して下さいといわんばかりのあからさまな地形で、その辺を繕う余裕すらないのかと思います。


とつらつら書きましたが、まぁ悪いところばかりでもないです。メインストーリーは先述の通り中盤以降に盛り上がるし、支援会話もたまに愉快なノリのやつがあって気楽に読めるしで予想よりもストレスは低めでした。ただそれを踏まえてもなにひとつ前作の風花雪月には及んでいないという感想です。



△旧作に比べ魅力に欠けるキャラクター


本作のファンの方が「エンゲージはシステム面が優れている」と仰っておられるのをよく見かけ、自分もそこは同意する面もあるのですが、そもそもキャラクターの魅力が乏しいか不快なので優れたシステムであってもモチベーションが湧かないんですよね。それが浅いと言われればその通りです。


興味が湧いたのなんて3、4人でした。ストーリーの主軸となる王族ですら興味湧いたのスタルークくらいで、あとは全員テンプレ的なキャラ付けで印象に残らず。敵も同様で、あんないかにもな「ねーねーコイツら殺っちゃっていい?(暗黒微笑)」系の敵幹部なんて久々に見ました。主人公は不快ではないにせよ周りに持ち上げられてそれに応えようとしている善人、という感じで、ストーリーより戦闘で活躍していた記憶しかないです。



覚醒以降FEのこういうノリのテキスト、たまに面白い時があるのは認めている



あと、このライターがいかにも好きそうな(過去作にもいた)、軽薄長髪美形属性の男キャラがまた複数人いた挙句キャラ造型まで被っていて失笑しました。アンバー・フォガート・パンドロとか加入タイミングもほぼ同時期(アンバーだけやや早いくらい)なので余計にあからさまというか。

まぁ想像よりも不快度は高くなかったので、ストーリーに比べればマシでした。



△ローディングが長くテンポが悪い


近年のFEといえばサクサク動作と認識していましたが、本作はローディングの長さもあって全体的に間延びしてダレやすいプレイ感覚です。



△拠点のアクティビティがチマチマ面倒


なんかこう、細かいタスクがチマチマ散らばっていて、支援上げやアイテム拾いの楽しさよりも面倒さが勝ちます。

風花雪月の拠点は仲間からモブキャラまでほぼ毎回台詞の内容が変わる上にテキストの質も高く、アクティビティも釣りなどを除けば通常ゲームの延長線上かつお茶会など作り込まれたものもあってむしろ楽しめた一方、本作は質より量で、会話もストーリーが大きく動いた時の関係者以外は終始固定。紋章士との絆会話にリソースが割かれたので仕方ないとは思いますが、ルーチンワーク感が強まってダレました。


攻略に関わる鍛錬や支援上げなんかはそこまで苦でもないですが、釣りやドラゴンシューターなんかのミニゲームはワンプレイがそこそこ長いし、内容によってはやJoy-Conを酷使するので途中からやらなくなりました。筋肉体操の腕立てとスクワットはミニゲームの中では比較的マシなので、それだけはやってました。


そして負担が大きいのは指輪磨き。序盤はともかく人数が増えてくると結構な作業感で、最大12人にもなります。磨いたキャラと紋章士の絆レベルが微増するだけなので別にやる必要はないといえばそうですが、指輪に人が宿っている手前汚いままにしておくのも気が引けて……指輪なので判定が狭いのもまたもどかしい。もどかしいついでに言うとソラ(マスコット的存在)の世話もボタンのレスポンスが指輪磨き同様に悪く地味にモヤモヤが溜まるポイント。



【まとめ】

 
この場で宣言いたします。
今後、シナリオライターが判明するまでこのシリーズを新作で購入することは控えます。別開発である風花雪月の続編であっても同様です。新作において本作シナリオライターの参加が明らかになったら以後は購入せず、長年追ってきたこのシリーズからは手を引きます。今回、シリーズファンだからといって無批判に予約購入するのは危険という良い勉強になりました。

本作自体は終わってみれば良くまとまっていたと思いますが、だからこそシナリオライター続投の瑕疵が目立つというか。もう終わったことなので、次へ向けた技術デモのようなものと思うことにします。
お好きな方には申し訳ないけど、これをひとつのシリーズ作品として迎えるのすらやや抵抗があるのが正直な感想です。アプリのFEヒーローズでもこれから実装が増えると思うので、元より惰性で続けていたところにますますログイン頻度が減りました。余談ですが、現在更新中のヒーローズのメインストーリー第8部でも「変節してしまった父と姉妹」の展開になっており、2回やってまだ飽きないのか!? と驚いています。

とにかく「風花雪月の次がこれ」というのが思った以上に辛くて仕方がない。繰り返しとなりますが、ほぼ他社開発とはいえかなりの高評価と話題性を得てようやくシリーズの次の展望が拓いたのに、また「いつもの」ノリに戻ってしまった。
だったらずっと風花雪月してろと言われるでしょうが本当にその通りで、支援埋めがてら風花雪月の周回を始めるのも良いなと考えています。とにかく、

それにしても、開発のインテリジェント・システムズは社員にチャンスを与え続けるホワイト企業ということが明らかになったので、そこは皮肉ではなく素晴らしいと思います。


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