ゲームクリア感想219_スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE(XSS版)


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前作の記事はこちら (6年半前の自分が親切にシリーズ歴の振り返りをしてくれています)


近況としては、もう一ヶ月近く体調を崩しています。かといってコロナウィルスでもない様子で、今月は仕事も繁忙期なのでいつもとさほど変わらない生活です。だから長患いしているのかもしれませんが……仕事は一段落ついたので、来週は休みを取って通院することにしました。

実を言うと、年々体調や集中力の問題で大作ゲームがしんどくなっています(このへんは今年のまとめ記事でも言うと思います)。誰に言われるまでもなく一時間ごとに休憩しないと身体がもたない始末で、もう若い頃のように3~4時間ぶっ続けでドハマリするというのは難しそうです。それでもシリーズファンとしてスターオーシャンだけは外せなかったので、絶対年内にはクリアするぞ! という意気込みでした。

しかし正直、スターオーシャンに次のチャンスがあるとは思いもしませんでした。前作5の評価もふるわず、次に配信されたアプリの「スターオーシャン:アナムネシス」も良かったのは最初の一年半くらいで、そこからは炎上に次ぐ炎上……という状況だったので。
アナムネシスは自分もそれなりに遊んでいた時期があったものの、この手の課金アプリによくある人気キャラ偏重に失望して一年と少しやって引退しました(炎上事件は自分が引退したあとに起こった)。ちなみにアプリ自体も既にサービス終了しています。戦闘だけはスマートフォンとは思えない完成度で面白かった一方、育成のために無限に思える周回が必要だった記憶……

というわけで、自分の中ではアプリ削除とアプリ自体のサービス終了をもってすっかり一区切りついたシリーズだったのですが、昨年、突如として本作が発表された時は流石に驚きました。今となっては5やアナムネシスにも美点はあったと思いますが、両作のあの評価ではもう厳しいだろうとばかり……
しかし現実に新作は発売されたので、これで前作と同じ過ちを繰り返しているようなら改めて このシリーズに区切りをつけよう、という気概で購入。少し時間はかかりましたが、レイモンド編をクリアしてエンディングを見ました。

結論としては、開発会社のトライエースを見直す出来でした。従来のトライエースらしさ良くも悪くもやや影を潜めているものの、そのぶん一作のゲームとしての完成度が高まった感じです。


【主なプレイ環境】
ハード XBOX Series S
バージョン ver.1.03
難易度 GALAXY(ノーマル相当)
クリア時間 63:12:53
実績取得数 26/54


【良かった点】


◎RPG史上でも最高レベルに快適な移動


 ちょっと大きく出ましたが、ここまで移動がノーストレスなRPGはそうそうないと思います。
ただでさえ生身のダッシュが速いのに、最序盤でDUMA入手後は縦横無尽に高速移動できるようになって本当に爽快です。探索範囲も広がるし、敵の視界外から急襲してシームレスに戦闘に移行できるのもロマンがあります。これを知ってしまうと、もうシンボルエンカウントからの画面切り替わりなんて過去の遺物のように感じます。アクションアドベンチャーの移動を快適な形でRPGに採り入れた感じで、6年前にFF15あたりが本来やりたかったことはこれでは? 




また、戦闘中でもアイテムが拾える&宝箱を開けられるという珍しい仕様があります。「宝箱は戦闘が終わったから開ける」という自分の中の長年の固定観念に気付かされました。

ちなみにファストトラベルも充実しており、序盤から活用できます。とは言っても初回は移動中の会話を聞くためにあえて通常移動していました。移動中会話がある時は、ファストトラベルしようとすると注意喚起ウィンドウが表示されるので、聞き逃しもないです。


比較的安定した動作


シリーズにしては珍しく、フリーズや不具合に見舞われませんでした!! 前作も安定していたので、これは5から引き継いだ美点。XBOX 360版の4で戦闘リザルト画面のたびフリーズに怯えていた日々は過去のものになりました。

DUMAで空から降下時に地形にひっかかって抜け出せなくなることはありましたが、それも数秒放置していると自然と治るので、これが原因で再起動したことはないです。なんならファストトラベルで抜けられる。


◎セーブ機能の充実


5の時に何故か無くて不満だったオートセーブがしっかり導入されていて安心しました。緊張感が売りのホラーゲームでもないのに、2016年の段階でないのはおかしいとすら思っていたので。
それに加えて、ほぼいつでもどこでもセーブ&ロードができるようになっています。セーブ周りの不満はすっかり解消されています。


◎ストーリー・テキストの改善


これがかなりモチベーション維持に寄与しました。プロ作家を起用した甲斐があって安定して楽しめる内容だと思いました。正直、過去作みたいなインパクトには欠けるきらいはありますが、それなりに臨場感はあるし、自然と話の続きが気になる運びになっており、エンディングまで興味が持続しました。

なによりテキストの言葉選びが良いですね。とってつけたような美辞麗句や直截的すぎるメッセージみたいなシリーズ特有のテキストは激減して、スッと自然に頭に入ってきます(SO3DCは名作だと思うがこの点は酷かった)。

あと過去作の一部ヒロインみたいな、常に誰かの顔色を伺っているような主体性欠如した仲間キャラクターがおらず、当世の価値観がやっとシリーズに反映された印象を受けました。基本的に悪役として消化されるだけのスカッとジャパン的な悪人がほぼおらず、所謂なろう系の雰囲気はイメージに反して希薄です。シリーズお馴染みの未開惑星保護条約の設定が活きている……? とはいえ、キャラクターデザインなどはそういう系の文脈とは思いますが……

テキストの雰囲気が変わるだけでゲームの印象がここまで変わるものなんだ、という気付きがありました。キャラクターの情緒も安定しているし、シリーズの中で一番民度が高いと思います。初期のミダスなんかはちょっとイラつくキャラクターでしたが、それくらいです。

そして、かねてから不満の声が上がっていた「スターオーシャンなのに未開惑星ばっかりで星の海感がない」というシリーズの問題も少しだけ改善され、おそらくシリーズで一番か4と同じくらいには先進惑星を移動できるようになっています。

これでも初代マスエフェクトには及ばないと思うけどそれはそれとして良かった




洗練されたバトル


先に言ってしまうと、個人的には前作までのようなスキル連打で爽快感が味わえる方が好みです。しかし4のサイトアウトをとっつきやすく進化させた本作のバトルはこれはこれで面白かったです。
XBOX 360版の4は任意のターゲッティングがしずらい仕様も手伝って思う通りにサイトアウトを出せず、終盤などの硬い敵がストレスだったのですが、本作は4とは比較にならないほど狙いやすくなっており、時間制限で息切れもしないので本当に楽になりました。


画像の通りこの4人がスタメンです



あと、リソース管理しながらのバトルで少しエンドオブエタニティを思い出しました。というか、エンドオブエタニティの戦闘をスターオーシャンで解釈するとこういう形になるのかもしれませんね。これは私がふと思っただけで、実際はエンドオブエタニティ本家ほどの突き抜け感はないですのでご注意ください。

余談ですが、エンドオブエタニティとスターオーシャンの邂逅はなにげにアナムネシスが秀逸で、前者のコラボキャラを使うと、スターオーシャンの戦闘フォーマットでエンドオブエタニティのバトルの感覚が再現されていて感動した思い出があります。


【気になった点】


△UIがまだまだ不便(現バージョンではやや改善)


現行バージョンに更新される前、レビューなどで散々指摘されていた点ですが、私も同意します。

まずアイテムが探しにくい。特にアクセサリー類が地獄で、大量のポーンや強化度違いの同一アクセサリーの山から目当てを探し当てなければならず、ここに「一時的に離脱したキャラクターのアクセサリーが自動で外れる」というありがた迷惑機能が加わってそれはもう酷いことに。アップデートで解消されて安心です。もう付け替えがだるすぎて、他のゲームであれば難なくできるアクセサリーの付け替えをろくに行いませんでした。


あと、これは文字の小ささに起因するところもありますが、そもそものメニューデザインがどうにも直感的ではないように思えます。

最初、店でユーズアイテム以外のものも買えるのに気が付かず、そこそこの期間まで初期装備のままでした。

また、クエスト一覧は素直にメニューから見られればなと思います。マップ画面にあるとは……



△ICがシリーズで一番つまらない


これに限ってはあの5よりつまらなくなっていないか? と思います。極論すると、ICの種類と作れるアイテム数が少なくなった状態で1や2の見るだけ仕様に戻ったため、必需品だけ作って終わるような寂しいことになっています。良くも悪くも無駄が省かれていて、無駄こそが魅力だった時代が懐かしいです。終盤〜クリア後にかけてはフル活用することになりますが、それでも面白さは過去作に及んでいないと感じました。


ファンには不評だったのも把握していますが、3や4のライン作業制が結構好きでした。


貴重品作成となると結局セーブ&ロードが安定となってしまう



△中盤あたりまでのお使いが目立つ導線


目的地に行って引き返して、行って行って引き返してまた行って……の繰り返しという印象です。サイドクエストではなくメインストーリーでこんな感じなので、モチベーションが保つか少し不安でした。主な舞台になる惑星は特に目新しいものもない、シリーズおなじみの中世風世界なのでなおさらダレがち。中盤少しすぎから多少お使い感は改善されるのが救いです。

ファストトラベルで移動はほぼショートカット可能ですが、移動中会話で基本的な世界観解説がなされたりするので、聞き逃すのももったいないし……



△回復役が実質ひとりしかいない


回復系の理術(いわゆる回復魔法)を使えるのがニーナひとりしかおらず、実質半固定のような状態です。上手い人なら戦闘システムをつかいこなして無傷で進めたり、スキルやファクター合成で回復を賄ったりできるのでしょうが、どれだけ苦戦するかわからない初周を回復役なしで進めるのは不安なので、半固定という表現を用いました。他の理術系キャラクター(アベラルド・ミダス・マルキア)のうちあとひとりくらいは回復系スキルを修得できても良かったのではと思います。回復性能はニーナに及ばずともよいので。



【まとめ】

シリーズの信頼回復には十分成功したと思います。正直トライエースとスクウェア・エニックスを見直しました。アプリのサービス終了でシリーズの幕を閉じるのはやはり早かったし、自分も見切りが早すぎました。

内容は旧作みたいなダイナミズムに欠けるものの、一本のRPGとして完成度が高いです。オートセーブやファストトラベルは当然のように使えるし、DUMAにしても一通りの機能を最序盤から扱えるので、移動・探索・戦闘いずれも最初から最後まで低ストレスです。

ただ、改善されたとはいえそれでもまだ不親切な点は多いと感じました。
前作の反省もあってようやくユーザーフレンドリーを採れ入れたものの、スタートダッシュの遅れが響いて今ひとつ追いついていない感はあると思います。肥大化するアイテム欄とか、説明不足極まるお使いサイドクエストとか……

5でも感じましたが、他の大手RPGと比べるとやはり低予算感は残ります。賞レースにノミネートするような人気ゲームも超大手か少数精鋭インディーに二極化して、この手の中規模RPGが一番舵取りが難しい……というのを改めて認識させられました。また、トライエースといえば無駄アイテムいっぱいのICに代表される「物量」のイメージがあったのですが、シリーズの今後を考えるならそこにいつまでもこだわるのはマイナスかもと思いました。かなり割り切った作りのエンドオブエタニティもしっかり面白かったので、そこは今後ある程度削られても仕方ないかなと(寂しいけど)。

おそらくDLCはないと思うので、次があるとすれば続編やアプリ第2弾(第3弾?)になるのでしょう。続編の目があるなら素直に期待したいです。あと、未開惑星スタート・流行病・序盤の鉱山街その他諸々、シリーズの要素を踏襲する展開が多かったので、次はもうちょっと外れてもOKです。

最近のスクウェア・エニックスは以前に比べると過去のタイトルの再活用に積極的なので、なんとなく続編もあり得る気がします。なんならもう制作が進んでいる可能性すらあると思っています。


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