ゲームクリア感想214_SIGNALIS(Switch版)

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(※追記 XBOX GAME PASSでも配信されています)


年末、と言うには時期尚早ですが、2022年末の推し新作です。

これはもう、発表当時から発売日購入を決めた期待作でした。ジャンルは「コズミック・サバイバル・ホラー」と銘打たれており、そこから想像される通り、リソース管理しつつ閉鎖エリアの探索を進め、時には謎解きをしながら次のエリアを目指すというご存知の内容です。

ホラーといえば、バイオハザードは復活成功して長いですが、零も少しずつリマスターで様子を見つつ再起動し、今年はとうとうサイレントヒルまで大々的に復活と、ホラーゲームがにわかに騒がしくなってきましたね。バイオハザードをこの流れに含めることに異論はあるでしょうが……

なぜこうして大手タイトルの名を連ねたかと言うと、本作がその影響下にあるからです。
PS1~PS2時代の、今にして振り返ると劣悪な操作性と粗いグラフィックだったがとにかく怖かったあの時代をかなり的確に再現しているからです。似たコンセプトのものにデイメア:1998などがありますが、あちらがバイオハザードの系譜だとすると、本作はサイレントヒルの影響が強いです。サイレントヒル:バイオハザードで7:3か6:4なイメージです。
と言ってもそのまま真似してる訳ではなく、ゲームとしてはピクセルアートで描かれた見下ろし型画面で、世界観はディストピアSF風という点で独創性は確保してあります。

ビジュアル面では「新世紀エヴァンゲリオン」の影響を感じますが、そちらはあまり詳しくないので……(未だに「シン・エヴァ」すら観ていない)


【主なプレイ環境】
ハード Nintendo Switch
バージョン ver.1.2
難易度 ノーマル(一周目)、
サバイバル(二周目) いずれも「戦闘難易度」という扱い
クリア時間 33:25:52(一周目。放置や謎解きの詰まり含む)、08:56:51(二周目)

一周目リザルト(戦闘難易度ノーマル)



二周目リザルト(戦闘難易度サバイバル)


【良かった点】


◎懐かしくも色褪せない緊張感


サイレントヒルやバイオハザードのフォロワーは数あれど、全盛期の「あのプレイ感」をここまで再現しているものは今作くらいでしょう。そのくらい近いです。新エリアに入ったら敵に怯えつつまずはセーフルームを探し、落ち着くBGMを聴きながらアイテム整理で小休止、セーフルームを拠点にして探索し、敵の不意打ちにボコボコにされつつもようやくキーアイテムを入手したと思ったらアイテム数入手制限(本作はたったの6つしかない)で泣く泣くセーフルームへ戻り……というサバイバルホラーおなじみのプレイ感が色濃いです。

しかもオートセーブはなく、すべて手動セーブ管理という徹底ぶり。それでいて懐古主義に留まらず、現代のゲームとして問題なく遊べます。Switch版にしましたがローディングはほとんど気になりませんでしたし(ゲームオーバー後の再開がやや時間かかるくらい)、コンフィグも充実しています。


◎予想以上のボリューム


価格帯からして5~10時間程度と想定していましたが、その2倍は楽しめました。あっさりエンディングを迎えたと思いきやそういう演出だったのも良い思い出です。


雰囲気作りの巧さ


SF監視社会の不気味さとサバイバルホラーの文脈がうまく混合して、世界観がしっかりと表現されていると感じました。最先端バリバリの3Dではなくピクセル表現だが、並みのホラーゲームよりも雰囲気が出ている。基本的にジャンプスケアは少ないどころか、ホラーゲームおなじみの脅かし専用の演出というのがほぼない硬派な作り。

また、メインビジュアルにこそ二次元女性表象(人間ではないのでこう書きます)を置いているものの、アニメノリは皆無で、オープニングからエンディングまで口数少なく淡々と進みます。あまりにも硬派すぎて、男性表象のキャラクターが実質ひとりしかいないことも気にならなりませんでした。

ピクセルアートの雰囲気がとても良い


◎日本語ローカライズが高クオリティ


世界観的に多言語が用いられているにも関わらず、必要な箇所だけ的確に翻訳されていて謎解きやシステムの把握で困ることは一切ありませんでした。


○謎解きの程よい難易度


 一周目は2,3ヶ所ほど詰まりましたが、よく探索・観察すればちゃんとヒントがあるので理不尽さは感じませんでした。解けるまでのイライラも解法に至った途端吹き飛びました。
強いて言うと、序盤の鍵穴合わせの謎解きは鬼門かも。プレイヤーの視力や画面の解像度次第では基準点が見えにくいので。


(微ネタバレ)一番苦戦した謎解きは序盤のこれです

【気になった点】


△UIの使いづらさ


世界観を反映させた作りで凝っているのは良いものの、マップの拡大縮小や移動にワンボタン必要だったり、モジュール画面(無線やコレクタブル関連)が初見だと操作を把握しづらかったり、そもそものレスポンスが悪かったりとそこそこのストレスでした。特にマップは頻繁に見るので、なるべく取り回しのいい仕様にして欲しかった。


また一部謎解きのUIも混乱しました。特に空白のカードキーのところはカーソルが解りにくくて、二画面あることに気付きませんでした。



△操作感の固さ


アイテム拾得およびドア通過の判定が狭く、一旦離れてやり直したりとまごつくことが多いです。施錠されているドアの解錠直後とかスムーズに行ける時とそうでない時があり……


あと上でも言いましたがボタンやスティックのレスポンスが悪い気がします。キャラクターの操作だけならあえての仕様ということで理解できるのですが、頻繁にアイテム整理するシステム上、メニュー画面まで全体的にもっさりしているのは気になりました。


次は操作というか動作面で、一周目のエンディングでフリーズしてラスボス戦をやり直す羽目になりました。オートセーブを採用していない仕様が見事にマイナスに働いてしまいました……それ以降は一度も起きていないので運が悪かっただけだと思いますが……



△戦闘関連


変に凝ったシステムではない点は好きです。

ただ敵の復活が割と早く、探索に集中できないのは参りました。何度も避けているうちに恐怖は薄れて煩わしさだけが残ります。燃焼系の武器で倒せば復活しない(多分)ので、セーフルーム前など頻繁に通る場所の敵だけ倒すなど対策はありますが、燃焼系の武器はそこまで量が手に入らないので、基本はスルーが前提なのでしょう。


あと、一部の固定敵は画面エフェクトで妨害してくる難易度の上げ方をしてきます。

それも短いエフェクトが一瞬とかではなく、画面の敵が認識できなくなるレベルの結構強めなノイズがかかるので、初見だと被ダメが避けられないでしょう。一応、コンフィグではブラウン管風のノイズなどはオフにできるので、そういったもので軽減はできると思います。



△無邪気すぎるオマージュ


 エピゴーネンとまでは言わないものの、ちょっとサイレントヒル1~2や初期バイオハザード、エヴァンゲリオンなどの影響を隠さなすぎてハラハラします。特にサイレントヒルは敵のデザインやBGMに留まらずまんまなシーンがあり、創作は模倣から始まるといってもちょっとなぁ……と思います。そこまでオマージュに頼らなくても、このゲームを作り上げた制作陣ならもっとオリジナリティを出せたように思えます。


【まとめ】

 このジャンルに思い入れがある故に気になるところが目立つ、というこちらの勝手な事情はあるものの、それを抜きにしても今年トップを争う良作でした。日本語ローカライズは高品質で、イメージよりもかなりボリューム多め。謎解きや戦闘も自力でなんとか超えられる難易度で、世界観も興味深いです。

ストーリーに関しては、一周しただけだと輪郭を掴めてきたところで終わる感じでしたが、二周してようやくおぼろげに話を把握できた感覚があります。短いセリフや各種コレクタブル、環境ストーリーテリングから想像を膨らませるタイプの話作りで、口数の少ないノリも自分好みでした。

今更ながら、サバイバルホラーというジャンルは自分に向いているかもと思いました。最高難易度をクリアできるジャンルなんて(S)RPGとこれくらいしかありません。少ないアイテムをやりくりしていく緊張感や最適なルートを模索する面白さが貧乏性に合っているし、ストーリーや世界観も好みである場合がほとんどなので。その割に代表格のバイオハザードはさほど遊んでいないのですが……

というわけで、続編やDLCがあれば楽しみにしています。一作で終わるにはもったいない世界観だし、次はオマージュから少し離れたものを見たい気持ちがあります。


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