ゲームクリア感想181_Visage(PS4版)
※注意※
雰囲気としてはこんな感じ |
難易度 設定なし
クリア時間 約35時間
トロフィー取得率 72%
【良かった点】
◎ひたすら怖すぎる
もう何よりもこれ。
動静混在した恐怖演出が本当に怖く、ゲーム終盤までなんだかんだ緊張が続きました。
白眉だと思ったのが、ホラーゲームでおなじみの防衛手段である「別画面を呼び出して一時停止」が実質無効化されていること。
メニュー画面を呼び出しても実際はしっかり時間が流れており、暗闇で放置していると「正気度」が急速に下がっていき、やがてゲームオーバーを迎えます。PS4本体のトップ画面を呼び出しても同様です(おそらくインベントリ画面も)。
ゲームを一時停止したい時は、メニュー画面の「ゲームの一時停止」を選択する以外にほぼ方法はなく、それ以外は常にゲーム内時間が流れているという徹底ぶり (手動セーブ画面も大丈夫そうですが確信はないです)。これにせよホラー演出にせよストーリーにせよ、何をするにも「容赦のなさ」がこのゲームの特徴です。
ホラー演出に関しては斬新というよりも、ベタだけどしっかり怖いものが多いです。良質なホラーゲームお馴染みの「不意の突き方」が巧く、何回か本気で飛び上がりかけました。
「何かが起こるのは予測できるけど、実際出てきたものが予測の何倍も怖かった」というパワフルな脅かしが多く、これはこれで素直に怖いです。
また、ストーリーの重さもかなりのものです。このゲームで人が話しだしたらほぼ確実に心が暗くなります。
○そこそこのボリューム
この種のゲームにしては結構なプレイ時間になりました。章仕立てになっており、章の合間に屋敷の自由探索も出来ますが、章にせよ自由探索にせよ探索難易度がかなり高めで、クリアまで8~10時間程度を見込んでいましたが結果としては相当ずれ込みました。
ゲーム自体が合わなかったり怖すぎたりで続けられないことはあっても、すぐ終わって物足りないということはないです。寧ろ早く恐怖の屋敷から解放されたいくらい。
難易度に関しては、各章の謎解きは8割方自力でなんとかなるレベルで、最終章の自由探索が自力では不可能でした。
【気になった点】
理想としては自力でクリアしたかったですが、この陰鬱な世界と長時間向き合うのは精神衛生上問題ではないかという思いもあり、クリアを最優先としました。
×過剰な暗闇、そして相性最悪な導線の悪さ
オプションで調整してもまったく解決しないレベルの暗さで、攻略に望まぬ支障を来していると感じました。そもそもフラグが判りにくく、目を凝らして探索しないと先へ進めないゲームなのに、このせいでますます難易度が上がっています。
当然照明器具はありますが、固定照明はランダム演出で消され、ライターやロウソクは有限な上になかなか手に入らない(ランダム再配置)。屋敷中の照明を付けて回ってもそもそもが暗いので、次へ進むフラグがどこにあるか見当がつかず、最初は怖かったランダム演出も、屋敷を彷徨っているうちにワンパターンすぎてイライラが募るだけ。
そして最悪なのが、攻略中に屋敷自体のブレーカーを落とされるイベントです(おそらく一回限り?)。
「電気室の鍵」を入手してブレーカーを戻さない限り、ずっとそのままで急速に難易度が上がります。鍵の在り処のヒント自体はかなり解りやすいのですが、暗すぎてそのヒントを見逃したが最後、ドツボにハマる可能性大です。
暗すぎる→電気室に入って電源回復しないと→鍵のヒントが不明→仕方ないので総当り→暗すぎて苦戦しているうちにアイテムが尽きる→アイテムを探そうにも暗すぎて見つからない→鍵も見つからない→詰み
などという結果を迎えてしまい、一度途中セーブからやり直しました。
もうライターは固定装備で良かったのではと思います。制作者は詰み防止のために手動セーブを分けて対策を講じろという思想なのかも知れませんが。
そもそも、屋敷中の電源を点けっぱなしにしてもなお怖いので、過度な暗闇に頼ること自体が疑問でした。制作中に感覚が麻痺してしまった、というのは邪推として、ここまで暗くしなくても充分すぎるほどホラーになっているから安心して欲しいところです。
△うまく働いていないリソース管理要素
リソース管理を推していますが、大変申し訳ないけどうまく機能しているようには感じませんでした。「ライター」「薬」「蝋燭」「電球」の消費アイテムのうち有用なのは前者2つくらいで、後者2つは拾わなくても困らないレベル。蝋燭はあっという間に消えるし、電球はチュートリアル以外の場所で使った覚えがありません。
そもそもリソース管理と難度高めの探索の相性が悪いと思います。なかなか次へ進むフラグが見つからず、探索に集中したいのに時限・ランダム要素に邪魔されるのが思った以上にストレスでした。
△ロードが長め
これも地味にフラストレーション。体感だとかなり理不尽にゲームオーバーになる割にロードが15~20秒程度と長めです。
△煩雑・あるいは雑な操作性
非直感的で釈然としないというか、感覚で操作しづらい。特にアイテム周りがごちゃついていて、両手持ちアイテムは片手持ちはできるけど使用には両手を空けておく必要があり、それでは…と片手に持ったアイテムを収納しようとすると両手持ちアイテムの方が反応して「両手持ちアイテムは収納できません」という旨のエラーメッセージが表示され、一旦アイテムを捨てて拾い直したりなんやかやしたりで、スムーズに扱えた覚えがないです。終盤あたりで、こういう場合は「手の持ちかえ」ボタンで片手に持ったアイテムだけ収納できることに気づきました。
あと、オブジェクトを調べる際の判定も釈然としないです。とあるイベントで薬の錠を拾うとき、錠が小さすぎてうまく拾えないと思ったら変なところに判定があったり。
【まとめ】
良い意味:悪い意味が8:2くらいで再プレイはご遠慮させて頂きたいゲームでした。
完成度自体は高いです。特に屋敷の完成度はホラーゲームの中でも随一。こんなお屋敷に住んでいても心が救われなかったらただの空間ですね(6畳ワンルームから書いています)。
ただちょっと詰め込みすぎに感じます。これは声を大にして言いたいのですが、
そもそも屋敷自体が充分に怖いので、過剰な暗闇やあからさまなホラー表象に頼らなくても良かったのではと思います。どんなおぞましい異世界よりも、窓一枚隔てた先に人間世界(らしきもの)が広がっている屋敷の方がずっと怖かったです。異世界に関してはだいたい既視感がありましたし……ランダム演出もバリエーションが少なく、ソングオブホラーのランダム演出を体験した後だとすぐに慣れてしまいます。
また、あまり機能しているとは思えないリソース管理要素や、アイテム管理の操作性、理不尽な死の後の長いロードなど、ゲーム面での難が予想以上に多かったのもちょっと予想外でした。これに関してはプレイ前から過剰な理想像を形成していた自分も悪いのですが……
すごく陰鬱な内容でしたが、不思議とクリア後の感覚は悪くなかったです。
本当に最後の最後、真実(即ち恐怖)と最後まで向き合った主人公とプレイヤーにだけ見える光がありました。叶うならば自力でそこへ達したかったところです。
エンディングが救いなのかどうかは解釈が分かれそうですが、プログレスルームに飾ってある十字架や向き合ってきた数々のことを思い返すと、やはりそうであって欲しいと思います。あれだけの容赦ない恐怖と向き合ったのですから……
興味がある方は、注意喚起の繰り返しとなりますが、財布や時間よりも自分の健康状態と相談したほうが良いと思われます。
かなり実生活に影響を及ぼすタイプの表現が多く、下手すると引きずり込まれます。家族がおかしくなってしまったことに対する周囲の家族の反応や困惑が相当リアルで、私も色々と私事を思い出し辛くなりました。
もしプレイに着手するつもりなら、攻略を見てもいいのでエンディングまで遊んだほうが良いです。主人公を屋敷に取り残したまま中途半端に放置してしまうのが一番良くないように感じます。実生活に侵食してきそうで
いずれにせよケースバイケースですね。
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