ゲームクリア感想122_ナイト・イン・ザ・ウッズ(PS4版)

公式サイト(PLAYIZM)はこちら

ゲーム情報サイトで知ってその設定に惹かれ、そのまま配信日に購入しました。

この序文に書く内容がいつも薄くなりがちで、更新のたびに一番悩んでいます。
というかこの悩みも何度か書いた気がする……


バージョン 1.02
難易度 設定なし
クリア時間 約12時間(二周分。一周目約8時間、二周目約4時間)
トロフィー取得率 43%


【良かった点】


◎(日本語版のみ)圧倒的な高クオリティローカライズ

 もうこれは作り直しみたいなものでは? というレベルで圧倒されました。
あらゆる媒体でこの点は強く推されていますが、それも当然で、訳の違和感どころか日本産ゲームの日本語テキストよりも面白かったです。
 というか比較するまでもなく素晴らしいですね。


◎BGM

 これが結構良かったです。流れるタイミングもバッチリで、心に響くテキストや浮遊感あるアクションパートなどと相まってすごく効果的に使われており、印象深いです。
 主人公のベース演奏時に音ゲー形式で演奏できる曲も良いですが、私は夢の中?で流れる曲が好きです。


◎ストーリー

 一見穏やかな田舎町の生活なのに、どこかしら不穏な雰囲気が通底していて、その不気味さが自分好みでした。中盤辺りから主人公一家や友達たちの問題が判明し、話自体も動き出して一気に不穏さが増してきます。ホラーなパートすらあります。
 ノリとしてはペルソナシリーズに近いですが、それよりもっとリアリティというか卑近な問題が語られているように感じました。
 また、ペルソナシリーズよりもシステムとして明確ではないものの、カレンダー形式の進行になるので、一日の内にやれることは全部やったほうが良いタイプのゲームです。
 
 エンディングが良い意味で盛り上がらないのも良いです。私はエンディングくらい派手に解りやすく終わってほしいと感じることのほうが多いのですが、本作に関してはこういう終わり方がベストだと感じました。
 ヒロイックな展開は滅多になく、エンディングも平熱で終わり、答えの出ないのが答え、という野暮なまとめ方もまた違う、そんな感じです。

 個人的にはサブイベントの「ジェニーの野原」の雰囲気が好きです。主人公の母が主人公に対して抱える想いに心当たりがあって……母との関係を描いたゲームシナリオは数あれど、本作のこれが一番身近に感じました。意図が掴めず、どこか釈然としないまま終わって日常に戻る辺りもほんのり不気味です。


○それなりの探索要素

 この辺りは期待していなかったものの、意外にも探索できる範囲が広く、二周目で初めて知ったルートも複数ありました。
 ジャンプアクションが肝で、一見背景にしか見えないオブジェクトでも登れたりするので、移動はジャンプアクション連打がおすすめです。と言っても、レフトアライヴのローリングでんぐり返しほどの連打は必要ないですが……



【気になった点】


×主人公及び一部キャラクターの言動・行動

 他のゲームでは散々犯罪を働いているくせに、本作では主人公の犯罪・迷惑行為に凄くモヤモヤしました。それだけ本作がキャラクターにリアリティを付与するのに成功している証左でもあるのですが、この主人公(と一部のキャラクター)はそれなりの年齢のくせに犯罪行為や迷惑行為を平然と行うDQNで、ゲーム中それを反省する描写もほとんどないので不快感だけが蓄積します。
 加えて、それを行う相手は札付きの悪でもなんでもなく一般市民なので、本当にDQNが暴れているだけです。
 しかもその行為は大抵ミニゲーム化されているので、ゲームを進めるためには嫌でもやらないといけない始末。

 ゲーム中一番不快だったのが主人公の同性に対する態度で、友人には窃盗を強要したり、楽しみにしていたパーティーを台無しにしたりして迷惑をかけ、母親には気分の悪くなる嫌味を言い、大人しい牧師相手に攻撃的な言葉でキレ散らかしたりと、お前周囲に甘えるのもいい加減にしろと言いたくなりました。
 ラストでちょっとだけ見直した部分もあったものの、全体的にその印象は最後まで変わりませんでした。
 本人も公式も、主人公と親友は「少なくともお互いには相応しい」(トロフィー名)と思っているらしいですが、どこが?

 兎に角、主人公が一番人を選ぶキャラクターになっているので、合わないと辛いです。私はそれなりの倫理観が邪魔をして、主人公には一切好感を抱けませんでした。

 なんでこのゲームの主人公の犯罪行為だけこんなに不快なのかを考えたところ、キャラクターの性格のリアリティの他に、作中でそれを咎められる描写がほとんどないのも原因だと思い至りました。主人公の親も友人も最終的には主人公に甘い上に、主人公はそれをいいことに言いたい放題なおで、プレイヤーとしてはコイツがなんでそこまでの待遇を得られるのか納得出来ない、というのが説明としては一番近いです。

 一応言うと、強制窃盗のミニゲームの後は最終的に品物を返す展開にはなります。それでも、自分だけではなく友人も巻き込んで窃盗をする主人公の印象は最悪なままですが。


△今一つ平坦な序盤のゲーム進行

 この手のゲームにしては意外に移動時間が多いのもあり、序盤は少々ダルさを感じてしまいました。
 話が動き出すのが中盤なので、それまでがちょっと単調です。個人的に面白かったサブイベントも中盤以降に配置されていたため、尚更そう感じました。


△周回プレイへの配慮がほぼ無い

 カレンダー形式なのもあり、周回しないと全てのイベントが見られない仕様にもかかわらず、イベントスキップやテキスト早送りなどがないので、ボリュームの割に二周目開始への心理的ハードルが高いです。移動時間が長めなのもネック。
 周回ではなくアクションへの配慮ですが、序盤のとあるアクションパートで、選択肢次第でスキップできる点だけが配慮を感じました。



【まとめ】


「生き辛さへの共感」みたいなものを期待すると厳しかったです。

 というのも、主人公が生き辛さを抱える繊細な人物というよりも、迷惑を顧みない破滅的なアート系あるいは海外版DQNの側面が強いので、YIIKの主人公みたいな文系ダメ人間を想定するとその傍若無人ぶりにうんざりする可能性が大です。
 作中でもDQNぶりを強く咎められることがさほどないのでフラストレーションが溜まります(YIIKの主人公も大概だったが、周囲からしっかり怒られるのでその辺りの不快感は薄かった)。

 主人公も自分のダメさは自覚しており、病名が明言されているわけではないものの精神的な疾患を抱えているっぽいので、あんまりこの辺を突っ込むのも藪蛇かなとは思う一方で、やっぱりそれ以前に自己中心的過ぎてついていけませんでした。制作者もちょっとやり過ぎに思えます。
 ただ、動物モチーフのキャラクターでなかったらリアル過ぎて相当感じの悪いキャラクターになっていたと想像するので、その辺のバランス感覚は素晴らしいです。

 ゲーム面では、音楽や探索などは誰でも楽しめる内容です。アクションやミニゲームで詰むことはほぼ無いです。
 とにかく主人公を許容できるかがポイントでした。その意味で人を選ぶため、あまり人に勧めたい内容ではないというのが感想です。ゲーム自体の完成度は高いので惜しい……

 余談ですが、今後「洋ゲーのダメ人間主人公」には警戒しようと思いました。
どうも「ダメ」=「単なるクズor単なる酒飲み」みたいな解釈をされているパターンが多く、そのDQNな行動・言動に不快になることが重なったからです。
「善良さと臆病さを履き違えているからダメ」みたいな捉え方が一番しっくり来るのですが、それはそれでリアリティがあり過ぎて嫌ですね……


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