ゲームクリア感想327_CAIRN (PS5版)

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同メーカー過去作の記事↓

作品名の読みは「ケルン」。山道で道標としての役割を果たす、小石を円錐形に積んだものを指すらしいです。開発はHAVENのThe Game Bakers。このメーカーの前作HAVENが好きだったこともあり、初報から購入決定でした。体験版から製品版発売までかなり間が開きましたが、その甲斐あってか体験版よりも操作性諸々が向上していたので、待たされた不満などはありません。説明が難しいゲームなので、詳細は公式動画や体験版などに回すとして、唯一無二の体験ができました。


サムネイル用。絵はがき感

【主なプレイ環境】

ハード PlayStation 5
バージョン ver.1.0.312p_1751
難易度 ALPINIST(Normal相当。二周とも)
クリア時間 
一周目 19:09:08、二周目 07:43:20
トロフィー取得率 89  %


【良かった点】


◎慣れると楽しい登攀システム


こちらの勉強不足で知らないだけかもしれませんが、こういう独特な操作のクライミングゲームを初めて遊びました。これまでクライミングといえばアサシンクリードやアンチャーテンドに代表される簡単操作のパルクールか、類似ジャンルで言えば同じ登攀もののJUSANTのような比較的とっつきやすいものしか経験がなく、両手両足を順番に運ぶ操作に慣れるまでが大変でした。ハッキリ言ってコツを掴むまでは面白さを見出せず辛かったです。体験版ですらどうやってクリアできたか記憶にないくらい。


この高さでも序の口


しかし何度も滑落して操作経験を重ねることで、次第にコツを掴んでくるとかなり楽しくなりました。まずは第一歩を踏み出す前にじっくりルートを観察し、自分の実力で登れそうなルートを選抜。食料品でバフをかけ、岸壁の亀裂に慎重に手足を伸ばして、文字通り一歩ずつ着実に登っていく操作感覚がクセになります。
また、ただ登るだけでなく、道中でピトンを岩壁に刺せばビバークとほぼ同機能を活用して休憩可能になると同時に、仮に滑落しても結んだロープを登ってそこから再開できます。数限られたピトン(平地に登ったあとすべて回収可能)をどのタイミングで使うかの見極めも面白いです。緊急時の避難としても使えますが、変なところで刺してしまうとリカバリが難しくドツボにハマりがちなので、そういう時は一旦別の足場までロープで下りたり、いっそロードして最終セーブ地点からやり直したりなど、臨機応変な対応もコツ。試行錯誤を繰り返してようやく登りきった時の達成感は格別です。


夜間登攀は危険だが寝て資源を消費するのも避けたかった。画像で見返しても怖い

ここ最難関すぎて一周目はアシスト機能を解禁してしまいました(二周目でリベンジした)


◎語らないが細かい親切さ


ガチゴチにシビアなクライミングゲームかと言うとそうではなく、這い上がれる崖がすぐ近くならある程度補正が効いて登れたり(たまに岩壁の判定が続いて失敗することもあれど)、水場の近くのビバークなら料理の際に料理画面から水を補給できたり、暗所ではランプがチカチカ点って必要性を知らせてくれたりと細部で親切です。なので単純作業がさほど発生せず、登攀や探索といったゲームの核に集中できます。テーピングや料理の温め直しが複数重なるとやや作業感があるくらいで、それすらも過酷なクライミングの没入感を高めていたと思います。

ビバーク中のこの雰囲気好き


また、全体ルートマップから各セーブ地点のデータをロードできるので、詰みそうになっても途中からやり直せるのも便利です。これに気づくのがゲーム中盤過ぎで遠回りしましたが……。意図的なのかは不明ですが、チュートリアルが最低限なので二周目にして初めて気づくシステムもそこそこありました。ビバークの時以外でもテーピングできるとか、飲み物の容器の中身を移し替えられるとか。


◎臨場感あふれるイイ雰囲気


AAAゲームのようなフォトリアルでないにせよ、遠景がかなり綺麗で見入ってしまいます。旅情あふれる、と言うには過酷すぎる環境ですが、山の雄大さと自然の美しさをこれでもかというくらいに堪能できます。そして、岩壁に一歩足をかけるとそれらの美しい自然が一気に恐怖の対象へと変わる落差も魅力です。個人的に一番好きなロケーションは中盤の「補給所」(でいいのか自信がない)です。
また、2Dアートも描き込みが細かくて見応えがあります。


サムネイルと同じ地域。この場所写真映えしますね


こうした山岳文化のロケーションもあり(JUSANTにもあったので一種の浪漫かも)



◎良質な日本語訳


翻訳・ローカライズが素晴らしく、言語の問題でゲームが詰まるなどは一切なかったです。昨今の世界情勢を思うと、海外製ゲームがここまで高品質に翻訳されるのは当たり前じゃないことを再確認しました。


◯ストーリー


そこまで期待を寄せていなかったところ、想像していたよりも印象深い終わりでした。別エンディングや別ルートなどの要素回収の意味でも、ネタバレ無しで二周推奨です。おそらく大半のプレイヤーが一周目は特定のエンディングに到達すると思われますが、エンディングのあとに二周目を始めることでオープニングの独白の解像度が上がります。

以下は感想です。
主人公のアーヴァは山や自然が好きと言うよりも、一般的な人間関係そのものが煩わしいと感じてしまうタイプに感じました。それならそういう人間は誰もいない自然の中でなら幸福を感じられるのか? エンディングでは明快な回答こそ示されないものの、アーヴァは山を介してしか納得のいくコミュニケーションができなかったのかも、と考えています。
現実逃避するために「山をやって」いるのではなく、自然と対話したい訳でもなく、ただ自分が納得できる人生が山にしかなかった、あるいは見いだせなかったといいますか。大げさなくらい性格がキツくすぐに手が出る(後述)のも、自分のアイデンティティが懸かっているのだから致し方ないなのかも知れませんね。


【気になった点】


△移動全般のファジーな判定


体験版よりも改善された肝心のクライミングですが、楽しいもののまだ粗削りに感じます。

足元の地形が主人公の足で隠れて見えづらく、接地ミスをして焦ることが何度もありました。

また、四肢の操作は自動が推奨されていますが、肝心な時に必要な手足が操作可能とならず、すべて一任するには頼りないです。

ついでに言うと足場の判定やスタミナ切れの条件も判然とせず、行けそうだと思った足場が足場じゃなかったり(逆も然り)、さほどスタミナ消費してないタイミングやスタミナ切れしにくい体勢でもアーヴァがプルプル震え出したりして、今ひとつ釈然としないです。

もっとも、この理不尽がリアルなのだと思います。ひとつの判断ミスで命を落としかねない世界を追体験できるだけでも凄いこと。


またクライミングだけでなく、通常の移動も歩き・小走り・ジャンプの助走ダッシュいずれも使いづらかったです。歩きは遅いし小走りは体力を消費するし、助走ダッシュは勢いが読めず滑落数を増やすのに貢献してくれました。せっかくステージの作りが細かいのに、これも相まって探索しづらいです。どのゲームでも探索大好きなのに、本作に限ってはあまり熱心にはやりませんでした。



△人を選ぶ性格の主人公


よく言えば求道者タイプ、悪く言えば自分勝手で、周囲の人間に対していちいち棘があってイベントのたびに嫌な気持ちになります。二周目、既知のイベントは全スキップでした。

特に不快なのが他人のもの含めて物をしょっちゅう破壊することと、ゲーム最終盤まで相棒のクライムボットにも悪態をつきつづけること。自然は攻略するもので、機械は人間に従うものといった西洋の人間中心主義の体現者なのかも知れません。比較的穏やかな性格の後輩クライマーが現れると対比でますます嫌な奴に。

製作陣が作劇上あえてそう設計しているであろうことを踏まえても、はっきり言って嫌いなタイプです。というか険しい山を前にしてなお他者(機械だとしても)と信頼を結べなかったり、物資が貴重な山で物を意図的に破壊するような業界人が生きていられるイメージが湧かないのですが……


一応、現地人には最低限の礼を尽くしたり、同業者や死者を悼んだりする心はあるのですが、これはこれで、これ以上人間関係が発生しない相手には優しくできるだけなようにも感じてしまいますね。マネージャーとか同棲相手とか後輩クライマーとかクライムボットとか、継続的な関係のある相手に限って塩対応という一番信頼関係を損ねるタイプ。だからこそ生きづらさを抱えたキャラクター、ということなのでしょうが、作中の粗暴な振る舞いはそれで免責される範囲を超えているというのが自分の感覚です。HAVENではこのあたりのヘイト管理というか配分もうまかったのに……



【まとめ】

人を選ぶゲームであると思います。一にも二にも体験版で操作を試したほうがよいです。
独創性とゲームのクオリティを両立させている名作だとは思いますが、個人的にはイマイチ刺さりきらなかったです。ファジーな操作にも主人公の性格にも制作上の理由があるのは承知の上で、それでもやっぱり気になります。

主人公に関して付記しますと、この手の自分勝手が許されるアスリートの苦悩よりも、そういう人間に振り回される外界の市井の人々の苦悩に寄り添いたいので、すべてのエンディングを回収した今でも主人公は苦手です。とはいえ愛着が湧かなかったと言えば嘘になりますし、なんだかんだエンディングには心動かされました。

なんだかんだ言ったものの、ゲームとして十分楽しめましたし、何よりもThe Game Bakersの新作が遊べたというだけでも喜ばしいです。


 

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