ゲームクリア感想289_ Still Wakes The Deep(XSS版)



オイルリグ(海上の石油採掘施設)を舞台にした珍しいホラーアドベンチャー。同開発の「Everybody Gone to the Rapture〜幸福な消失〜」(以下EGttR幸福な消失)というウォーキングシミュレーターがお気に入りだったので、発表時から楽しみにしていました。
ゲーム自体が小規模なボリュームとなるため、数ヶ月ごとのまとめ記事に項目を設けようと思っていましたが、予想に反して文章量が多くなったのでこちらに回しました。

【主なプレイ環境】

ハード XBOX Series S(Xbox Game Pass)
バージョン ver.1.2.1
難易度 スタンダード(ノーマル相当)
クリア時間 約 21時間(一周約10時間を二周分。それでもこんなに時間掛からない筈なので放置含む)
実績取得数 30/37


【良かった点】


◯手堅いゲーム内容


パニックものホラーとして、不意の突き方や脅かし方、緩急の付け方がうまく、ダレることなくエンディングまで突き進められました。オイルリグという、下手すると人生で一度も足を踏み入れることのない舞台なのも新鮮でした(知らないだけで見学ツアーとかあるかも知れない)。個人的にはもう少し探索要素強めだと好みですが、いわゆるストーリードリブンの体験に特化しているのでこれはこれで楽しめました。ただちょっと堅実過ぎるのが気になるのも確か。

比較的平和な頃の雰囲気が最高

曇りの日の午後2時15分ごろの誰もいない休憩室の雰囲気、こんな感じ



◯余韻の残るエンディング


正直ストーリーの本筋は良くも悪くも王道で、ハリウッドのディザスタームービー感が強いです。ただエンディングの余韻がとても良く、家族や親しい人たちに連絡を取りたくなりました。


◯クリーチャーデザイン


事前情報から察する雰囲気からして、恐怖の主体は舞台それ自体にあってクリーチャーは出てきたとしてもそこまで凝った感じではないんだろうな、と勝手に想像していましたが甘かったです。これが想像以上に凝ったデザインかつ悍ましい見た目で、はじめて姿を至近距離で見た時にはその迫力と存在感に感動しました。こればかりはネタバレ画像を避けますが(実際ゲーム内で動いている所を見たほうが良い)、方向性としてはSIREN2やSIREN:NTあたりが近く、どこか懐かしさすらありました。

ついでに言うと、全体的にSIREN度がかなり高いです。抵抗手段に乏しく、クリーチャーは片言ながらも人語を呟いたり、四方を海に囲まれた場所が舞台だったりと、TPSとFPSの違いはあれど懐かしいプレイ感。もうSIREN新作は諦めたので、その精神を継承している後輩たちの作品でSIREN的な体験を補充することが多く、本作もそのひとつとなりました。


ダメージ判定のあるオブジェクトの近くにいるとエフェクトがかかる


【気になった点】


△微妙な操作性


ダッシュや高速泳ぎの反応が悪く、チェイスパートや水中パートは思うようにいかないことが多かったです。特にダッシュのスティック押し込みの反応が他の同ジャンルと比べても固く、ダッシュしなくてもそこまで困らないのであまり走らなかったです。それを見透かしたようにダッシュ時間制限の実績まである始末。キビキビ走れるような環境でもないのでリアリティはあるものの、前作に引き続いて歩き操作がデフォルトなスタイルは開発のこだわりすら感じます。



△一部の誘導のわかりにくさ


全体的にはわかりやすく誘導されており、黄色のオブジェクトを辿っていけば先に進めます。一方で何ヶ所かわかりにくい場所(背景と同化している・燃え盛る炎の近くにドアがあって行けない扉と誤認するなど)があり、若干詰めの甘さを感じます。



△あっさりめなお話


エンディングは良かったものの、ストーリー全体としてはちょっと薄味で物足りなかったです。「EGttR幸福な消失」が良かったからなおさら。各地に散らばったテキストを読むといった探索要素も控えめで(クルーの死体探しなどの実績は用意されている)、サブキャラクターの背景もなんとなく想像するしかなく、何においてもよくわからないままエンディングまで。そのクトゥルフ神話的な理不尽さがセンスオブワンダーを表現しているといえばそうなのですが…


比較的自由なウォーキングシミュレーターから映画チックなストーリードリブンものになったのは良いとして、そのストーリーがウォーキングシミュレーターだった頃よりもあっさりした感じなので印象が薄くなったという感じ。



【まとめ】

 ゲームとしては手堅い佳作〜良作の中間くらい。一周やるだけならディザスター映画一本観る感覚で無難に楽しめると思います。オチも余韻があって好き。ただ、やっぱり「EGttR幸福な消失」の秀逸な終末感や探索のやりごたえには及んでおらず、そこは正直期待はずれでした。また同開発の次回作に期待します。

そして話題の日本語訳は「なるほど、こういうアプローチなんだ」という感想を抱いたくらいでこれといった不満はないです。その方言のネイティブではないので確かに理解に惑うテキストもありましたが、ニュアンスである程度理解はできました。全員が全員方言使いなので、何人か標準語使いが混じったほうが多様な感じになるのではと感じるものの(良識ある眼鏡おじさんやイヤな上司あたり)、そもそも開発元の意図を反映させてこうなったらしく、それならもう特に言いたいことはないです。


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